オーケストラはキミのともだち
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2021年7月31日(土)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
オーケストラ:東京交響楽団
指揮・話:永峰大輔
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 
小室昌広編:ディズニーのメロディによる管弦楽入門

ネッケ:クシコス・ポスト
オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲 より “カンカン”

ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」より “ワルツ”

近藤浩治(栗田信生編):「スーパーマリオブラザース」より

パデルト:映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」メドレー

アンダーソン:ワルツを踊る猫(ワルツィング・キャット)
アンダーソン:狂った時計(シンコペーテッド・クロック)

スッペ:喜歌劇「軽騎兵」序曲

(アンコール)
久石 譲:「天空の城ラピュタ」より 君をのせて

 新潟市内の小学校5年生全員が、りゅーとぴあに招待され、コンサートホールで東京交響楽団の演奏を聴くという「わくわくキッズコンサート」が毎年秋に開催され、その内の1公演は「りゅーとぴあ得割コンサート」として一般人も聴くことができ、私も楽しませていただきました。
 しかし、新潟市の財政難から2018年度から中止され、それに代わって企画されたのがこのコンサートです。「子どものための芸術文化体験事業」という位置付けですが、ジジイの私も、昔は子どもだったということで、2018年の第1回から聴かせていただいております。

 「ディズニーのメロディによる管弦楽入門」を中心にして、その他は毎年曲目が代わっていて、重ならないように配慮されています。
 指揮者は、2018年2019年は、当時の東響正指揮者だった飯森範親さんでしたが、2020年は、飯森さんの後を次いで正指揮者に就任した原田慶太楼さんでした。
 当然今年も原田さんかと思ったのですが、今年は何と新潟市ジュニアオーケストラ教室でお馴染みの永峰大輔さんです。活発な活動でお忙しい原田さんに代わって、永峰さんがどんな演奏を聴かせてくれるのか楽しみでした。

 今日は、11時開演と14時開演の2公演が開催され、プログラムは同じでしたが、11時の回は3歳以上、14時の回は小学生以上を対象ということで、14時の回に参加させていただきました。

 雑務を終わらせて、上古町で昼食を摂り、猛暑の中、汗を拭きながらりゅーとぴあ入りしました。中に入りますと、開場の列が長く伸びており、ロビーは家族連れで賑わっていました。こんなに活気溢れるりゅーとぴあも久しぶりです。

 ホールに入りますと、子供たちがたくさんおられ、開演を待つワクワク感で満ちていました。日頃の高齢者ばかりのコンサートからは感じられないパワーと生命感を体感できました。サイド席も含めてたくさんの親子客。コロナ禍がうそのようです。

 ただし残念なことがありました。開演10分前から石丸由佳さんによるオルガンのウェルカム演奏があるはずだったのですが、中止とのアナウンスがありました。配布されたプログラムを見ますと、マリルの「カリヨン」が演奏されるはずだったのですが、急遽中止となりました。
 りゅーとぴあが誇る大オルガンの壮大な響きを子供たちに聴かせてあげて、オーケストラとともに音楽の素晴らしさを知る貴重な機会でしたので、残念な気持ちでいっぱいでした。石丸さんはどうされたのでしょうか。

 開演時間となり、団員が入場。最後にコンマスのニキティンさんが入場してチューニング。オケは通常の配置で12型、今日の次席は廣岡さんです。

 指揮の永峰さんが登場して挨拶があり、1曲目は毎年恒例の「ディズニーのメロディーによる管弦楽入門」です。今年もナレーションは、りゅーとぴあの榎本広樹さんです。
 お馴染みのメロディーに載せて、オーケストラの各楽器が順に紹介され、最後は全体での壮大なフーガで締めくくられました。
 ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」のオマージュ的な作品で、良くできており、毎回楽しく聴かせていただいています。榎本さんのユーモアを交えたナレーションも手慣れたもので、タイミングもバッチリ。
 毎年聴いてきましたが、指揮者が代わって、これまで聴いた感じより、生き生き感にあふれ、透明感あるオーケストラサウンドになっていて、楽曲として聴いても新鮮な喜びを感じました。なお、今日のハープ奏者は、景山さんではなく、新潟市出身の山宮るり子さんでした。これもサプライズということでしょうか。

 永峰さんと榎本さんの楽しいトークがあって、続いては、運動会でお馴染みの「クシコス・ポスト」と「天国と地獄」序曲が2曲続けて演奏されました。軽い印象の曲ですが、東響のしっかりした演奏で聴きますと、味わい深いですね。

 次は、「仮面舞踏会」よりのワルツです。怪しげな照明効果もあって、雰囲気たっぷりに、重厚なワルツで魅了しました。これまで聴いたどの演奏より良かったです。

 続いては、往年のゲーム音楽のはしりである「スーバーマリオブラザース」の音楽が、編曲の良さもあって、フルオーケストラで、聴き応えある音楽に生まれ変わりました。現役の子どもたちというより、親の世代には楽しく聴けたものと思います。

 続いて、「パイレーツ・オブ・カリビアン」を迫力いっぱいに演奏し、プロのサウンドで、子供たちにオーケストラの醍醐味を知らしめてくれました。

 次は、重厚な音楽の後の口直しに、アンダーソンの「ワルツィング・キャット」と「シンコペーテッド・クロック」をユーモアを交えて演奏して、会場を和ませました。

 そして、最後は「軽騎兵序曲」を客席の手拍子と拍手を交えて演奏し、大きな盛り上がりの中に、予定のプログラムは終了しました。

 アンコールは、毎年恒例の「天空の城ラピュタ」から「君をのせて」。劇的な出だしからお馴染みのメロディへと移り、しみじみとした感動の中に終演となりました。

 永峰さんの流れるような楽しいトークも素晴らしく、子供たちも喜んでくれたものと思います。今日初めてオーケストラを聴いた子どもたちもたくさんおられましたが、オーケストラの素晴らしさを、耳だけでなく、視覚で、肌で感じとってくれたと思います。生演奏の迫力は家庭では味わいようがないですものね。

 初めて聴いたオーケストラが東京交響楽団というのは良かったですね。日本を代表する一流のオーケストラで、多彩な楽器の素晴らしさ、生の演奏の素晴らしさ、それらが集合してのオーケストラの素晴らしさ、そして音楽の素晴らしさを体験してくれたものと思います。

 もちろん、大昔に子供だったジジイも童心に帰って、新鮮な感動をいただき、理屈なしに楽しみました。やっぱりオーケストラっていいなあ・・・、音楽っていいなあ・・・。

 

(客席:2階C2-9、¥1500)