東京交響楽団第144回新潟定期演奏会
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2025年11月16日(日)17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:ジョナサン・ノット
コンサートマスター:景山昌太郎
 
ドビュッシー:「夜想曲」より シレーヌ
デュリュフレ:3つの舞曲 op.6
  T.ディヴェルティスマン
  U.タンブラン
  V.ダンス・ラント

(休憩20分)

ラヴェル:歌劇《子どもと魔法》
(演奏会形式/全1幕/フランス語上演/日本語字幕付き)
  第1部 昼下がり、ノルマンディーの家
  第2部 夜の庭

  子ども:小泉詠子
  お母さん、中国茶碗、とんぼ:加納悦子
  肘掛椅子、木:加藤宏隆
  柱時計、雄猫:近藤圭
  安楽椅子、羊飼いの娘、ふくろう、こうもり:鵜木絵里
  火、お姫様、夜泣き鶯:三宅理恵
  羊飼いの少年、牝猫、りす:金子美香
  ティーポット、小さな老人、雨蛙:糸賀修平
  合唱:にいがた東響コーラス
  合唱指揮・指導:キハラ良尚、駒井ゆり子
 

 前回の10月19日の第143回新潟定期演奏会からまだ4週間しか経っていないというのに、早くも今回の定期演奏会の日を迎えました。これが2025年最後の定期演奏会となり、次回は来年3月29日ですので、4か月以上も間が空いてしまいます。
 毎年このようなアンバランスな日程が組まれており、改善を期待したいのですが、来年度もすでに同様の日程が決まっています。その理由は分かりませんが、このパターンを解消する予定は全くないようで、残念に思います。
 このような日程では、リタイヤ世代を除いて、毎回行ける人は限られるように思いますし、定期会員を維持するのもためらわれるのが実情です。一般ののチケット販売にも影響が出るんじゃないでしょうか。こんな不満を感じているのは私だけとも思えませんけれど。

 そんな不満は別にして、今日は今年度で東京交響楽団の音楽監督を退任するジョナサン・ノット氏の新潟最後の演奏会です。
 個人的には、来週予定されているサントリー定期のマーラーの交響曲第9番を持ってきたら、新潟最後の演奏会にふさわしいと思ったのですが残念でした。

 でも、今回のプログラムもラヴェルの歌劇「子どもと魔法」という珍しい演目を演奏会形式で上演するというのが注目されます。チラシにも力が入っていて、見開きになっています。
 この曲は2013年のサイトウキネンフェスティバルで上演されていて、ライブ録音されたCDはグラミー賞を受賞していましたので、その存在は知ってはいましたが、実際に聴いたことはありませんでした。

上演される機会が少ない作品ですので、今日の演奏会を逃しますと、この曲を新潟で聴く機会は、私が生きている間にはないと思われますので、冥途の土産にもなりそうです。
 また、これまでの東京交響楽団新潟定期演奏会の長い歴史の中でも、オペラの演奏会形式での上演は今回が初めてになりますので、その意味でも貴重な演奏会であり、大いに期待したいと思います。

 こんな11月半ばの日曜日、昨日来の好天で、今日も朝から晴れ渡り、清々しい晩秋の陽気になりました。今日は日曜日ながらも仕事でしたので、12時からのロビーコンサートは聴けず、13時30分からの友の会の有料会員向けの公開リハーサルにも参加できず、この演奏会だけに絞りました。
 
 某所での仕事を終えて、一旦家に帰り、晴れ渡った空のもと、西日を背に受けながら、りゅーとぴあへと向かいました。昨日と同様に白山公園駐車場は混雑していましたので、コインパーキングに車をとめて、白山神社を眺めてりゅーとぴあ入りしました。
 開場まで少し時間がありましたので、好天に誘われて東ロビーから外に出て、信濃川べりを散策し、過ぎ行く秋を楽しみました。沈もうとしている夕日が川面を照らしてオレンジ色に染め、その中を水上バスが通り過ぎました。
 こんな穏やかな日がもう少し続くと良いのですが、明日から天候は崩れて寒くなり、山間部では雪も予想されています。束の間ではありましたが、貴重な晩秋の夕暮れを満喫しました。

 りゅーとぴあに戻りますと、既に開場されており、私も入場して席に着きました。ステージ上には左にアップライトピアノらしき物(後でプリベアド・ピアノであることが後で判明)、チェレスタ、グランドピアノ、ハープが2台、右に様々な打楽器が並び、ローラー状の見慣れない楽器もありました。ステージの上方の正面、左右の計3か所に字幕装置が設置されていました。

 16時半になり、榎本さんと廣岡団長による恒例のプレトークが始まりました。例によって、軽妙な楽しいトークで楽しませてくれました。
 今日のオールフランス物のプログラムのことや、プリペアド・ピアノが使われることなど、楽しく聞かせていただいきました。
 団員紹介コーナーはコントラバスのローリー・ディランさんでした。そして、退任するノットさんの話があり、団長への質問コーナーでは、首席奏者はどうやって決めるのか(オーディションによります)、給料は違うのか(これについてはノーコメント)など、楽しく拝聴しました。
 最後に、今日の演奏会後のアフタートークに、ノット氏が参加されるとの発表があり、客席にどよめきが起こりました。

 その後、この原稿を書きながら開演を待ちましたが、客席の入りとしましては、いつも通りで、最安席は埋まっていましたが、ほかは空席が目立ちました。定期演奏会でしか聴けない珍しいプログラムであり、ノット氏の最後の新潟での演奏会でしたので、もっと多くの人に聴きに来てほしかったです。

 開演5分前のアナウンスとともに、女声合唱(47人)がP席に入場して着席しました。そして、拍手とともに団員が入場し、全員揃うまで起立して待ちました。
 最後に今日のコンマスの景山昌太郎さんと、次席に着いた小林壱成さんが入場し、大きな拍手が贈られてチューニングとなりました。ダブルコンマスというのは凄いですね。弦は対向配置の12型で、コントラバスとチェロが左に並びました。

 ノット氏が登場して、1曲目は、ドビュッシーの「夜想曲」から「シレーヌ」です。ハープと女声合唱で始まり、以後女声合唱(ヴォカリーズ)は、楽器のようにオケと絡み合い、深遠でミステリアスな雰囲気を醸し出し、森の中を彷徨うかのようでした。女声合唱もオーケストラも透明感のある演奏で、極上のサウンドで魅了しました。

 女声合唱団が退場して、金管楽器や打楽器奏者が増員され、2曲目はデュリュフレの「3つの舞曲」です。ノット氏が登場して第1曲の「ディヴェルティスマン」で演奏が始まりました。
 清廉な美しいサウンドで始まり、その後は軽快に駆け足したかと思うも、穏やかさとともに立ち止まり、そして再び走り出しました。
 ゆったりと雄大に音楽が流れ、小さな波が大きなうねりとなり、緩急を繰り返して、美しく透明感のある音色で魅了し、ゆったりと穏やかに曲が終わりました。
 第2曲の「ダンス・ラント(ゆったりとした踊り)」は、ハープとともに静かに始まりました。静かにリズムを刻み、木管が優しく歌いました。
 静寂に中に金管が鳴り響き、大きなうねりが作り出され、波が強弱を繰り返しながら大波となりました。そして、ゆったりとした流れとなり、静けさが訪れて、ミステリアスなヴィオラの響きとチェレスタとともに、消え入るように曲が終わりました。
 第3曲の「タンブラン」は、せわしなくリズムを刻み、舞台裏も含めて多彩な打楽器群が総動員されてました。駆け足するようなリズムに乗って、アルトサックスが相反するようにゆったりと歌いました。
 その後もせわしなく駆け足を続け、打楽器群が鳴り響き、どんどんとエネルギーを高めて、波を作り出すも、スピードは緩みません。さらに続くと見せかけて、唐突に曲が終わりました。
 初めて聴く曲でしたが、各曲とも心地良いリズムが馴染みやすく、多彩な楽器が駆使されて音響的にも美しく、大いに楽しめました。
 拍手に応えて、ノット氏は真っ先にアルトサックスを立たせて演奏を讃えました。その後に各パートを起立させて大きな拍手が贈られ、前半のプログラムが終了しました。

 休憩後の後半は、いよいよラヴェルの歌劇「子どもと魔法」です。


 以下、制作中です。しばしお待ちください。

 

(客席:2階C*-** 定期会員:S席¥7400)