一番観測し易いのは、連星系のブラックホール(候補)です。連星系とは太陽のような
核融合を起こして光輝く恒星が複数個、お互いの重力によって引き合い、共通の重心の
まわりを回っているもののことです。簡単に言えば太陽さんがいくつも集まっている
のですね。恒星の半分以上はこの連星系だそうで、太陽のような単体での恒星はむしろ
珍しいのだそうです。
光さえ飲み込んで、引き込まれたら二度と出られない。ブラックホールの
イメージはそんなところですが(やですね、そんなもんに巻き込まれたら)、
未だに「多分あそこにある」という段階で、実際には目の当たりにされて
ないんです。以外でしょ?
一体ブラックホールってなんなんでしょう?ちくとばかしまとめてみやした。
つまりそれがブラックホールなのです。
ブラックホールの中心には「特異点」と呼ばれる密度、重力が無限大の点があり、
ここではすべての方程式、法則が破綻します。その手前には「事象の地平面」が
存在し、ここを越えてしまうとすべてのものは一点にとどまっていることが
出来ずに「特異点」へと引きずり込まれてしまいます。もし、ブラックホールに
出会ってしまったら、「事象の地平面」から先へは決して踏み込まないよう
気を付けましょう(^^)
そもそもお星様は生き物です。人間がだんだん年をとって死んでしまうように、
お星様もやがては死んでしまいます。その時太陽の3倍以上の質量を持つ恒星は、
最後に一花咲かせるのです。「超新星爆発」ですね。どかーん。
(注:太陽の3倍以下の質量の恒星は、爆発せずに白色矮星(はくしょくわいせい)
になって冷えていくだけなのだ。)
その爆発で星の内部は中心に向かって収縮していきます。あ、重力崩壊です。
ほ〜ら、ブラックホールが出来ちゃった(^^)
ただし、太陽質量の3〜8倍のお星様の場合は超新星爆発で吹き飛んでしまい、
なにも残りません。質量が8〜30倍のお星様は中心に中性子星を形成します。
そして30倍以上のお星様がブラックホールになれるのです。ぱちぱち。
この、連星系内の恒星一つが超新星爆発を起こし、ブラックホールを形成したとします。
やがてそのご近所の恒星も年寄り化して、赤色巨星(温度が低く、名の通り赤く巨大な
星。オリオン座のベテルギウスさんはこれ)になります。するとブラックホールの
引力圏にまで赤色巨星のガスがひろがり、ブラックホールに引き込まれ始めます。
しかし赤色巨星のガスは回転エネルギーを持っているので、すぐさまブラックホールへ
は落ちません。ブラックホールのまわりをぐるぐる回り、降着円盤という
平べったいガスの固まりになっていきます。回っているうちに摩擦で回転エネルギーが
失われ、ブラックホールへと飲みこまれるわけですが、この間ガスは摩擦熱によって
高温になり、X線やガンマ線を放出します。それからまだメカニズムはわかっていない
のですが、降着円盤の中心からプラズマの放射ジェットがブラックホールの回転軸に
沿って現れます。つまりこの降着円盤とプラズマジェットのおかげで、地球から
ブラックホール(候補)が観測されるわけですね。
しかしブラックホールの(理論上の)発見者は彼ではなく、カール・シュバルツシルト
というドイツの天文学者でした。彼は1916年、アインシュタインの有名な一般相対性
理論の難解にもほどがある方程式を初めて解いた人物ですが、その答えを基にしたら
面白いことがわかりました。空間の一点に集中した物質は、そのまわりに奇妙な
境界面をつくるのです。この境界面より内側にはいると、光ですら脱出できないという
答えです。そう、その境界こそ先に述べた「事象の地平面」であり、彼は理論上とはいえ
ブラックホールの存在を予言した偉い人なのであります。