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野村萬斎 with オーケストラ・アンサンブル金沢 in 新潟 |
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2026年3月14日(土)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール |
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演出・主演:野村萬斎
指揮:松井慶太
管弦楽:オーケストラアンサンブル金沢
フラメンコギター:徳永兄弟 |
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徳山美奈子:交響的素描「石川」より 第3楽章 海の男
フラメンコギター:徳永兄弟
(休憩20分)
ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」
1.序奏と情景 2.洞窟の中で 3.悩ましい愛の歌 4.亡霊
5.恐怖の踊り 6.魔法の輪 7.真夜中 8.火祭りの踊り
9.情景 10.きつねの火の歌 11.パントマイム
12.愛の戯れの踊り 13.フィナーレ 暁の鐘
[演出・亡霊]野村萬斎
[振付]中村壱太郎、花柳源九郎
[舞踊/カンデーラ]二代目 花柳ツル
[舞踊/ルシーア]工藤明子
[メゾ・ソプラノ]秋本悠希
[舞踊]若見匠祐助、藤間豐彦、花柳克昂、花柳梨道、藤間礼多、吾妻君彌
吾妻春瑞、吾妻玉輝、吾妻玉輝、吾妻春真彌、吾妻美保
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私のような一般人にとりまして、一番知名度が高い狂言師として野村萬斎の名前を挙げることに異論はないでしょう。狂言のみならず、TVでも活発に活躍しておられますので、その名を知らない人はいないものと思います。
今日の公演は、この野村萬斎さんがオーケストラアンサンブル金沢(OEK)と共演し、能・狂言と日本舞踊、フラメンコ、オーケストラがコラボしたステージを届けるというものです。
メインプログラムはファリャ生誕150周年記念として、ファリャの「恋は魔術師」が演じられます。野村萬斎さんは、石川県立音楽堂のアーティスティック・クリエイティブ・ディレクターを務めておられ、オーケストラアンサンブル金沢とコラボした創作舞台「萬斎のおもちゃ箱」シリーズを制作し、その一環として2024年に「恋は魔術師」を初演しています。
今回は、その「恋は魔術師」を改良して再演することになり、バージョンアップした形で全国ツアーを開催することになりました。
昨年12月13日(土)に堺市で最初の公演を行い、時間が空いて3月11日(水)に本拠地である石川県立音楽堂で公演し、それに引き続いて今日の14日(土)は新潟、明日の15日(日)は郡山、そして17日(火)はサントリーホール、24日(火)は愛知県芸術劇場と公演は続きます。
各公演ともメインの「恋は魔術師」は共通ですが、なぜか前半の演目は異なります。また、新潟公演には新潟出身のフラメンコギターの徳永兄弟が出演します。
ということで、野村萬斎さんのプロデュースによって、日本の伝統芸能と西洋音楽がどのようにコラボされるのか楽しみであり、チケットを買ってしまいました。
個人的には、生の野村萬斎さんは今回が初めてであり、OEKは2024年11月の「能登半島地震
復興応援コンサート」以来になります。
指揮者は、2025年4月よりOEKのパーマネント・コンダクターを務める松井慶太さんです。松井さんは東京音大を卒業したての若い頃に、2007年から2015年まで、長期に渡って新潟ウィンドオーケストラを指揮して一時代を築いてくれましたので、新潟でもおなじみの指揮者です。
私も何度か聴かせていただきましたが、今こうして立派になって新潟に凱旋してくれて、デビュー当時を知る者としましては、我が子を見るように、勝手にうれしく思っています。
今日は昨日来の雨が止み、曇り空ながらも比較的穏やかな天候になりました。いつものように、掃除・洗濯、ネコの世話、ゴミ出しを終えて、某所で簡素な食事を摂り、りゅーとぴあへと車を進めました。途中から小雨が降リ出して、気分が晴れないままに白山公園駐車場に到着しました。
車をとめて、りゅーとぴあへと歩く途中に桜の枝を見ましたが、まだ蕾は固かったです。陸上競技場では女子サッカーの試合が行われていて、応援団の熱い声援や太鼓が響いていました。
アルビレディースの健闘を祈りながら館内に入りますと、ロビーはたくさんの客で溢れていて、チケット売り場には、長い列が伸びていました。
既に開場されており、私もそのまま入場しました。ホワイエでは、OEKや野村萬斎さんのグッズ販売がされていて賑わっていました。OEKの定期演奏会やガルガンチュア音楽祭のパンフレットが置いてあり、それを眺めながら文化都市・観光都市として賑わう金沢をうらやましく思いました。
席に着いて、この原稿を書きながら開演を待ちました。ステージの後方にオケが配置され、前方中央に四角い舞台が作られ、その左右には黒いシートが張られていました。ステージの出入り口前には板塀が設置されて、客席から出入りが見えないようになっていました。
1階席最後方にPA 調整卓やテレビカメラが何台も並んでおり、ステージの四角い舞台上にはフラメンコギターの公演用に、すでに2人分の椅子とPA用のスピーカーが設置されていました。
客席はP席は使用されませんでしたが、開演が近付くに連れて客席はどんどんと埋まり、1階から3階まで、ほぼ満席の大盛況となりました。客層はいつものクラシックコンサートとは明らかに異なり、野村萬斎さん目当ての人も多いようでした。東響新潟定期にもこれくらい入ってほしいなあ、と思いながら開演を待ちました。
開演時間から3分ほど遅れて拍手の中に団員が入場し、最後にコンミスが登場して全員で礼をし、チューニングとなりました。弦は通常の配置で、私の目視で
6-6-6-4-2 でした。
最初の演目は、徳山美奈子の交響的素描「石川」から第3楽章「海の男(七尾まだら)」です。曲名のように、加賀や能登など石川県を題材にした曲で、OEKの創設期の音楽監督であった岩城宏之氏の委嘱により作られた曲だそうです。
松井さんが登場して演奏が始まりました。右奥のティンパニに始まり、左前方の太鼓が加わり、それらに挟まれるようにオケの演奏が始まりました。
「御陣乗太鼓」と「七尾まだら」が盛り込まれているそうですが、勇壮な和太鼓の響きが表現され、和を感じさせるオケのメロディが郷愁を誘い、盛り上がりの中に終わりました。OEKの地元である石川県をアピールするには良い曲だと思いました。
大きな拍手が贈られてオケが退場するとともに、野村萬斎さんが紋付袴姿で登場し、トークがありました。挨拶の後に、この公演についての解説がありました。
「恋は魔術師」のストーリーについての説明があり、この演目の演出をする経緯など、ユーモアたっぷりのお話しで楽しませてくれました。
そして、松井さんを呼び出して、曲についての詳しい解説があり、フラメンコのリズムのこと、複雑な変拍子のことなど楽しく拝聴しました。
なお、ステージに作られた四角い舞台は檜の舞台で、日本舞踊や狂言などで使用される「所作舞台」というものだそうです。足踏みすると大きな音が出るのでびっくりしました。
二人が退場し、続いては新潟出身の徳永兄弟によるフラメンコギター演奏です。左に兄の健太郎さん、右に弟の康次郎さんが座って、照明による演出を交えながら演奏が進められましたが、プログラムには曲目の記載はありませんでした。
1曲目は、足踏みも交えながら、フラメンコらしい激しいリズムや演奏法で盛り上げるとともに、情感も感じさせて、一気に演奏に引き込まれました。PAが使用されていて、最初は違和感を感じましたが、次第に慣れるとともにうっとりと聴き入りました。
2曲目は、静かな美しい曲で、しっとりとした情感に溢れ、胸に染み入るような切ない音楽に心奪われ、大きな感動を誘いました。
ここで挨拶とトークがありましたが、フラメンコについて詳しく話すつもりでしたが、先ほど松井さんにより説明があって、話すこともがなくなったとのことでした。掛け声の仕方の説明や、フラメンコの手拍子は難しいことなど面白く話してくれました。
そして、最後の3曲目は「プレリア」という曲だそうで、手拍子・足拍子とともに情熱的に演奏し、熱い興奮をホールにもたらして演奏が終了しました。
このままもっと聴いていたいと感じさせるほどの見事な演奏であり、3曲で終わってしまったのが残念に思いました。久しぶりに演奏を聴かせていただきましたが、新潟出身でこんな演奏家がいるというのは誇らしいですね。
休憩後はいよいよ「恋は魔術師」です。全13曲からなりますが、有名な「火祭りの踊り」は聴く機会が多いものの、13曲を通して聴くことはなく、今回は貴重な機会となりましした。オケの配置は前半と同じですが、左にあった太鼓は片付けられて、左にピアノが設置されていました。
オケの演奏とともに、物語が展開しました。夫を亡くしたカンデーラが、恋人と愛を交わしたいが、死んだ夫は亡霊となって邪魔をしてばかり。カンデーラは友人のルシーアに浮気者だった夫の亡霊を誘惑するように頼んだのですが・・・、というような物語が奇抜な衣裳と振付で演じられました。
スペインが舞台のはずですが、出演者は派手な和服や能衣裳を着ていて、日本舞踊や狂言の所作を交えた振付で楽しませてくれました。
足踏みによる大きな音が良いアクセントになって、和洋折衷の舞台を盛り上げてくれました。萬斎さんは亡霊役で、P席に移動したりと大活躍でした。メゾソプラノの歌声も良かったです。
最後は華やかなエンディングで、演奏とともに視覚的にも楽しませてくれて、大きな盛り上がりで会場を沸かせました。
カーテンコールでは再度「火祭りの踊り」で盛り上げて、興奮と感動とともに公演は終了しました。オケが退場しても拍手は鳴りやまず、萬斎さんがステージに出てきて拍手に応え、お開きになりました。
萬斎さんの演出による物語は唯一無二のものであり、スペインの音楽をバックに日本舞踊を踊るという、なんともいえない摩訶不思議な世界が展開しました。
大きな感動を誘ったかというと、ちょっと疑問ではありましたが、滅多に見れない演目を観ることができたということは収穫でした。
曲も楽しめるもので、「火祭りの踊り」以外にも良い曲がたくさんあり、しっとりとした美しい曲もあって、しみじみとした感動もいただくことができました。
演奏としましては多少のミスはありましたが、小編成のオケながらも、迫力ある演奏を聴かせ、途中で出てくるチェロやコンマスのソロも美しかったです。
また、野村萬斎目当てと思われる人も多かったようですが、ほぼ満席の客席は壮観であり、いつものオーケストラコンサートもこれくらいの集客がほしいなあと感じました。
その昔、OEKは新潟定期演奏会と称するコンサートを開催していた時期がありましたが、何回も公演しないうちに頓挫してしまい、たまにしか来演してくれません。また演奏を聴ける機会を楽しみにしたいと思います。
珍しい演目を楽しんで喜ばしい気分で外に出ますと、雲間から西日がさしていました。このまま天気が回復してくれるといいなあ、と願いながら駐車場へと向かいました。
(客席:2階C4-11、S席¥6500) |