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今日は新潟大学管弦楽団の定期演奏会を聴かせていただくことにしました。新潟大学は私の母校であり、はるか昔の入学式で聴いた式典演奏の「マイスタージンガー前奏曲」がこのオケとの出会いであり、夏のサマーコンサートと12月の定期演奏会は、毎回楽しみにしています。
学生オケの宿命で、毎年団員の入れ替わりがありますが、毎年素晴らしい演奏で楽しませてくれます。今年も7月の第46回サマーコンサートを聴かせていただきましたので、5か月ぶりになります。
なお、サマーコンサートの指揮者は、常任指揮者の河地良智さんでなく、先回は田中一嘉さんでしたが、今回は河地さんです。
今回のメインの曲目は、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」です。この曲を演奏するのは、2014年12月の第51回定期演奏会以来、11年ぶりになります。
また、前半の曲はアマオケの定番曲のように思いますが、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲は、2003年6月以来22年半ぶりで、ビゼーの「アルルの女」第2組曲は、なんと1969年12月以来56年ぶりというのは驚きです。
このところ、11月16日に東京交響楽団、22日も東京交響楽団、23日に新潟交響楽団、30日に群馬交響楽団と、毎週オーケストラコンサートを聴き、そして今日の新潟大学管弦楽団となりました。オーケストラ好きの私ですが、さすがに疲れ気味です。若者たちの演奏から元気をいただきたいと思います。
今週は雪が降ったりと、寒い日が続いていましたが、今日は朝から青空が見えて、昼には快晴となり、過ごしやすい天気になりました。
いつものルーチンワークを終えて、某所で昼食を摂り、りゅーとぴあへと向かいました。白山公園駐車場に車をとめて、りゅーとぴあに入りますと、開場待ちの列が長く伸びており、私もその列に並んで開場を待ちました。
ほどなくして開場となり、いつもの2階正面に席を取り、すぐに始まったロビーコンサートを聴きました。木管五重奏による「見上げてごらん、夜の星を」を爽やかに演奏し、トロンボーン四重奏で童謡のメドレーをふくよかなサウンドで聴かせてくれました。
客席に戻って開演を待ちましたが、客の入りは良かったです。ステージ周りは使用されませんでしたが、1階席後方、2階正面はびっしりで、左右もかなり埋まりました。
開演時間となり、拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待ち、最後にコンミスが入場して大きな拍手が贈られて、チューニングとなりました。
弦は通常の配置の14型(14-13-13-12-9)ですが、いつもながらアンバランスで、低弦が多く、チェロはなんと12人で、コントラバスも9人います。全員参加を基本とするこのオケらしいですね。
河地さんが登場して、1曲目は、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲です。ホルンの柔らかなメロディで始まりましたが、なかなかうまくこなしていました。弦が加わって、メンヘンの世界が始まりました。中間部では絢爛豪華にオケが鳴り響き、ゆったりと、静かに音楽は終わりました。若々しさを感じさせる明るく色彩感のある演奏で、楽しませてくれました。
場内が暗転し、団員が全員退場して、しばらくの後、再び団員が入場しました。今度も14型(14-15-13-12-9)ですが、団員の入れ替わりがかなりありました。
河地さんが登場して、2曲目は、ビゼーの「アルルの女」第2組曲です。第1曲「パストラール」は、管が明るく鳴り、弦がゆったりと歌って始まりました。少し管が不安定ではありましたが、頑張ってくれて、ゆったりと、堂々と歌い上げました。中間部は、軽快な太鼓とともに、明るく歌い、再びゆったりとメロディを奏で、ピチカートとともに終わりました。
第2曲「間奏曲」は、大人数の低弦の力強い重厚な響きで始まりました。ホルンと掛け合いをして、サックスが甘く歌いました。堂々とした弦楽合奏と柔らかな管とハープとの対比も美しく、力強く終わりました。
第3曲「メヌエット」は、ハープとともに緊張感溢れるフルートソロで始まりました。ちょっとかすれて不安定ではありましたが、一番の聴かせどころを何とかこなしてくれました。ホルンが鳴り、ハープとサックスとともにフルートが美しく歌い、曲を〆てくれました。
第4曲「ファランドール」は、力強く始まり、太鼓とともにどんどんとスピードアップし、クレッシェンドしていきました。繰り返しの後に、フィナーレへとエネルギーアップし、大爆発して終わりました。
少し粗っぽかったですが、若さに溢れ、有無を言わせぬパワーで圧倒しました。終わり良ければすべて良しで、スカッと爽やかな興奮と感動をもたらして、休憩に入りました。
後半は、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲壮」です。弦は増えて16型(16-16-13-11-8)となり、団員は大きく入れ替わりました。
低弦の暗い響きに載せてファゴットが重苦しく暗いメロディを奏でて始まりました。ホルンとオーボエが嘆くように叫び、ヴィオラが歌って展開していきました。次第に緊迫感を増していき、金管が咆哮し、そして弦が甘いメロディを奏で、管との掛け合いが美しく、うっとりと聴き入りました。
展開部の始まりがばっちりと決まり、エネルギー感たっぷりに、たたみ掛けるように泣き叫びました。全員が一丸となってまとまり、緊迫感やエネルギー感が素晴らしかったです。
再び美しい主題を奏でて、大きなうねりを作り、低弦のピチカートともに金管のコラールが響き、優しく楽章が終わりました。
第2楽章は、チェロの柔らかな合奏とともに、美しいワルツが始まりました。中間部では、ひたすらリズムを刻むティンパニとともに穏やかに歌い、再び美しいワルツを踊りましたが、オケはきれいにまとまっていました。ピチカートともに、静かに楽章が終わりました。
第3楽章は、せわしない弦とともに、狂気のマーチが始まりました。エネルギーを高めて激しく突き進み、波を作りながらエネルギーを蓄え、力強く行進しました。そしてオケは大爆発し、破滅的な狂気が炸裂しました。
第4楽章は、むせび泣く弦で始まりました。悲しみの波が寄せては返し、増幅していく波紋の如く、悲しみは頂点となりました。銅鑼が鳴り、金管のコラールとともに深い悲しみにむせび泣き、どんどんと奈落の底へと落ちて行き、重苦しく消え入る低弦の響きとともに静寂が訪れ、数秒間の沈黙の後に大きな拍手が沸き起こり、ブラボーも贈られました。
前半とはまったく別のオケのように渾身の演奏を聴かせてくれました。終始緊張感を保ち続け、各楽章の対比も鮮やかであり、この曲の魅力を余すことなく知らしめてくれました。
もちろんアマオケですので、演奏上の問題がないわけではありませんが、生み出された音楽は演奏技術の優劣を論じることなど意味を成さないことを示してくれました。
大きな拍手に応えてカーテンコールが繰り返され、花束贈呈の後、最後に河地さんの挨拶があり、この曲の後なのでアンコールはない旨の説明があり、大きな感動をもたらした演奏会は終演となりました。
抽象的な表現ではありますが、学生オケならではの若さとパワーに溢れ、生き生きとして煌くような音楽は、老いていくばかりの私に元気を与えてくれました。学生たちの頑張りに、改めて大きな拍手を贈りたいと思います。
外に出ますと、快晴の空が広がり、沈みゆく夕日が眩しく、りゅーとぴあをオレンジ色に照らしていました。束の間の好天に感謝しながら夕日を眺めました。
次回の演奏会は、来年7月5日(日)14:00に、りゅーとぴあで開催される第47回サマーコンサートです。指揮は工藤俊幸さんで、ベートーヴェンの交響曲第7番ほかが演奏されます。大いに期待しましょう。
(客席:2階C6-11、¥700) |