SanDo concert Vol.165 チェロ&ピアノ デュオコンサート
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2024年9月21日(土)15:00 朝日酒造 エントランスホール
チェロ:片野大輔
ピアノ:中川沙也歌
 
F.シューベルト子守歌
F.シューベルト:アルペジョーネソナタ D.821
  第1楽章:Allegro mederato
  第2楽章:Adagio
  第3楽章:Allegretto

(休憩30分)

坂本龍一:Aqua
J.S.バッハ:羊は安らかに草をはみ
西村由紀江:少女が見たもの
西村由紀江:ビタミン
E.モリコーネ:ニューシネマパラダイス
A.ピアソラ:オブリビオン〜リベルタンゴ

(アンコール)
アントニオ・カルロス・ジョビン:イパネマの娘
 
 長岡市の南部、越路地区にある朝日酒造本社では、エントランスホールを利用して、毎月第3土曜日にコンサートが開催されており、第3土曜ということで「SanDo concert」と命名されています。
 アンサンブルオビリーの片野大輔さんのプロデュースによって、地元の音楽家を中心にして、毎回魅力あるプログラムで楽しませてくれています。
 私も何度か足を運んで聴かせていただいていますが、演奏者の眼前で聴くサロンコンサート的雰囲気の中で、毎回大きな感動をいただいています。
 今回は「チェロ&ピアノ デュオコンサート」ということで、チェロの片野大輔さんとピアノの中川沙也歌さんが出演されます。
 今日は他の予定が空いて時間ができましたので、4月のコンサート以来、5か月ぶりに参加させていただくことにしました。

 今日は大雨が降り続く生憎の土曜日になりました。能登半島では地震に引き続いて、線状降水帯発生により記録的な豪雨となり、浸水や土砂崩れなどで甚大な被害が出ています。新潟県でも北部を中心に被害が出ており、大雨警報や土砂災害警戒情報が出されています。

 こんな落ち着かない天候ですが、与えられたルーチンワークを終えて、ゆっくりと昼食を摂り、国道116号線を進みました。
 分水市街を抜けて、大河津分水を渡って左折し、信濃川の堤防沿いに与板市街に入りました。商店街を抜けて国道403号線から県道を直進して寺宝温泉前を通り、北陸道の下をくぐって進み、長岡市街の西部を通って越路へと進みました。
 雨は絶え間なく降り続きましたが、快適なドライブで、家から57km、1時間半で朝日酒造本社に到着できました。この道は混雑もなく、高い高速料金も払わなくて済むので便利です。

 順調に到着して駐車場もがらがらでしたので、雨を考慮して玄関に近い場所に車をとめて、開場時間まで車の中で休息しました。
 開場時間が近付いたところで玄関に行きますと、雨ということで、館内に導き入れてくれて、館内で開場待ちさせてくれました。いつものように、プロデュサーであり出演者でもある片野さんは、朝日山の前掛けをして雑用をされておられました。

 開場時間となり、受付で当日券を買って入場しました。当日券は1200円ですが、前売り券は1000円で、回数券の販売もありますので、頻回に行かれる方は回数券の利用が便利です。
 奥行きの長いエントランスホールには、円柱が立ち並び、ギリシャ神殿のようであり、奥にはステンドグラスがあって、いい雰囲気を醸し出しています。
 奥の右側にグランドピアノが設置されており、その前に多数の客席が設けられていました。私は演奏者を直視できる中央正面に席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちました。
 開演時間が近付くに連れて、びっしりと並べられた椅子は客で埋まり、追加の椅子が並べられました。すごい人気ですね。

 開演時間となり、片野さんの挨拶と朝日酒造担当者による宣伝があり、その後に、片野さんにより、前半演奏するシューベルトについての説明と、アルペジョーネについての説明がありました。
 「アルペジョーネソナタ」は、現代ではアルペジョーネで演奏される機会はほとんどなく、チェロやヴィオラで演奏されるそうですが、チェロでは高音部の響きに難があり、ヴィオラでは低音域が出し切れないという問題があるとのことでした。

 片野さんは一旦下がり、ピアノの中川さんとともに再登場しました。中川さんは、あずき色にキラキラが入ったドレスで、スリムな容姿でなかなかの美貌です。片野さんはチェロを抱え、眼鏡をして登場しました。

 前半はシューベルトですが、1曲目は「子守歌」です。誰もが聴いたことのあるあまりにも有名過ぎる曲ですが、挨拶代わりに、ゆったりと、さらりと演奏しました。

 そして、メインの「アルペジョーネソナタ」です。第1楽章は、聴きなじみのあるメロディーを、ゆったりと歌わせ、そして軽やかに、ときに力強く、美しいピアノとともに、朗々としたチェロが、残響の良いホールに響き渡りました。
 感情を大きく高ぶらせ、感情のうねりを繰り返して、ゆったりと楽章を閉じました。私は、片野さんの真正面でしたので、チェロの音がダイレクトに身体に迫って来て、片野さんの息づかいが感じられました。高音部での演奏は大変そうでしたが、切なげながらも美しく響いてきました。
 拍手が入って第2楽章は、ゆったりと穏やかに歌わせて、うっとりしました。切れ目なく第3楽章に入り、速足で駆けて行き、スピードアップ、ヒートアップしていきました。美しく歌わせながら、気持ちを高ぶらせて行き、走りすぎて息も絶え絶え。聴く方も息苦しくなるような熱演の中に曲を終えました。
 片野さんの真正面で、直接音を身体全体で受け止めていましたので、ゆったりと音楽に浸る以上に、緊迫感が伝わってきて、心地良い疲労感を感じました。

 休憩時間に入りましたが、後半は16時開演とのことで、30分ほどの休憩となりました。後半は子供たちが聴きに来る関係で16時開演にしたとのことでした。
 後半開始前に、子どもたちと片野さんとの楽しいやりとりがあり、後半のプログラムの説明がありましたが、中川さんの選曲によるプログラムだそうです。

 後半の開演時間となり、スリムで美しい中川さんが、黒いドレスに衣裳替えして登場し、煩悩だらけのジジイは、美貌にうっとりしてしまいました。
 中川さんにより後半の選曲の趣旨についての説明がありましたが、堅苦しくない癒しの音楽に心身のストレスを開放させていただき思います。以後曲目紹介の後に演奏が進められました。

 1曲目は、中川さんのピアノ独奏で、坂本龍一の「Aqua」です。穏やかに、ゆったりと、心に染みる音楽が奏でられ、疲れた心を癒やしてくれました。坂本龍一らしい名曲ですね。

 2曲目は。バッハの「羊は安らかに草をはみ」です。ゆったりと、柔らかく、爽やかに曲が流れ出ました。ピアノの直前で聴いていたためもありますが、もう少し力が抜ければ、もっとリラックスして聴けたかなと感じました。でも、良い演奏でした。

 片野さんが登場して、以後はピアノとチェロの二重奏になりました。片野さんは、今度はメガネなしです。西村由紀江作曲による「少女が見たもの」と「ビタミン」の2曲が続けて演奏されましたが、この2曲が後半のプログラムのメインだと中川さんが話されていました。
 「少女が見たもの」は、ルノワールが描いた少女の絵にインスピレーションを得て作曲された曲だそうで、ピアノの横にルノワールの絵が飾られていました。2曲とも中川さんの友人が、ピアノとチェロ用に編曲してくれたそうです
 「少女が見たもの」は、美しいピアノに載せて、チェロが雄弁に歌い、親しみやすいメロディが、熱く胸に迫り、感動を与えてくれました。
 「ビタミン」は、輝くようなピアノとともにチェロが歌い、明るくエネルギーに満ちていました。爽やかな曲を気兼ねなく楽しみ、曲の明るさから元気をいただき、まさにビタミンですね。

 続いてはモリコーネの「ニューシネマパラダイス」です。どんな楽器で演奏しても感動を与えてくれる名曲ですが、チェロによる演奏も胸に染みました。

 最後はピアソラの「オブリビオン」と「リベルタンゴ」がメドレーで演奏されました。以後の演奏は、写真撮影・ビデオ撮影可能とのことであり、私もビデオ撮影させていただきました。
 「オブリビオン」をしっとりと情感豊かに演奏し、「リベルタンゴ」を情熱的に演奏して大きな盛り上がりと感動の中で、予定のプログラムは終了しました。

 大きな拍手に応えてのアンコールは、ボサノバの名曲の「イパネマの娘」でした。軽快に、そして爽やかに演奏し、明るい気分の中で終演となりました。

 その後は、恒例の抽選会です。チケットの番号で、朝日山の銘酒が当たるのですが、残念ながら今回も外れでした。
 今回の集客は136人で、悪天候に関わらず今シーズン最高の入りだったそうです。長岡の皆さんに親しまれているようですね。
 

(客席:正面前列、当日券:\1200)