今シーズンから年5回に減った新潟定期演奏会ですが、前回の11月12日の第134回定期演奏会から3週間で早くも第135回定期演奏会が開催されます。日程の都合でこうなったのでしょうが、これで今シーズンの新潟定期は終わりになりますので、寂しく感じます。
来年度の新潟定期演奏会の1回目は6月16日ですので、半年以上も新潟定期演奏会はないことになり、寂しい日々が続きます。もう少し日程調整できなかったものかと思わざるを得ません。そんな愚痴を言っても仕方ありませんので、今シーズン最後の新潟定期演奏会を楽しむことにしましょう。
今回は名古屋フィルハーモニー交響楽団音楽監督、札幌交響楽団正指揮者を務める川瀬賢太郎さんを迎えてのチャイコフスキーの三大バレエという親しみやすいプログラムです。あまりにも親しみやすい名曲過ぎて、定期演奏会で取り上げられることはなく、逆に新鮮なプログラムに思えてしまいます。かしこまることなく、素直な気持ちで誰もが知る名曲を楽しませていただくことにしましょう。
なお、川瀬賢太郎さんの新潟定期演奏会での指揮は、2016年7月の第96回新潟定期演奏会以来、7年ぶり2回目になります。
新潟定期演奏会は東京や川崎での同じプログラムでの演奏会の翌日というのが通例なのですが、今回は新潟独自のプログラムです。
東響の皆さんは、昨日は川崎で「モーツァルト・マチネ 第55回」で演奏しており、今日は新潟で別プログラムというのは、プロとはいえ大変なことと思います。誠にご苦労様です。
さて、最近定期会員の高齢化が進み、会員数も減ってきています。それを反映して空席が目立つようになったのですが、今回は25歳以下のU25チケットが2500円から1000円になりました。かねてより若年層の集客を図る工夫の必要性が叫ばれていましたので、こういう形で種をまくことは重要だと思います。今回のりゅーとぴあの英断は称賛したいと思います。
私のような第1回からの定期会員は、今後自然淘汰されて減っていきますので、若者への世代交代が急務です。少しでも定期演奏会が賑わいを取り戻してくれたらありがたいと思います。
前置きが長くなりましたが、3週間ぶりに東響の演奏を楽しみたいと思います。今日は12時から開催された「東響ロビーコンサート」も聴かせていただき、チャイコフスキーの弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」の熱い演奏に圧倒されました。
一旦家に帰って、その原稿をゆっくりと書き上げて、再度りゅーとぴあへ出直すべく、冷たい雨が降り続く中に、車を進めました。
昼に来たときと同様に、駐車場の案内板は満車のマークが出ていましたが、いつもの駐車場に入ることができました。偶然なんでしょうが、昼に止めた場所と全く同じ場所が空いていて、そこに車を止めることができました。
雨降る中にりゅーとぴあに入館しますと、ちょうど開場時間になっていて、私も早めに入場してビュッフェでコーヒーをいただきました。
席に着きますと、ちょうど榎本さんと廣岡さんによるプレトークが始まるところで、いつものように軽妙な榎本さんの進行により、楽しいトークが行われました。
今回の三大バレエのプログラムは、りゅーとぴあからのリクエストだったそうです。聴き所としてはニキティンさんのソロなどが挙げられていました。
今回の楽団員紹介コーナーは、新しくフルート主席として入団した竹山さんでした。団員入場のとき、一番最初に入場するのがフルート主席の竹山さんだと話されていました。
指揮者の川瀬賢太郎さんの紹介もありましたが、新潟定期演奏会への出演は、7年ぶり2回目だとの紹介がありました。
質問コーナーは、コンサートの服装で、燕尾服のときとそうでないときがある違いについてでした。基本的に夜のコンサートは燕尾服なんだそうですが、最近は決まっていないそうです。
また、廣岡さんが客席で演奏を聴いているときには、何に注目しているのかなど、榎本さんのユーモアあふれる進行によって楽しく拝聴しました。
開演時間となり、拍手の中に団員が入場しましたが、廣岡さんがプレトークで話されていたように、確かに竹山さんが1番に入場されました。
オケは14型で、弦5部は 14-12-10-8-6、通常の並びです。最後にニキティンさんが登場して、一段と大きな拍手が贈られました。
川瀬さんが登場して、「白鳥の湖」で開演しました。最初の一番の見せ場とも言える「情景」のオーボエソロは、最上さんで、期待通りの演奏でした。
プレトークで廣岡さんが話されていたハープに導かれてのニキティンさんのソロは美しく、その後のチェロの伊藤さんとの掛け合いも情感豊かであり、うっとりと聴き入りました。ゴージャスなオーケストラサウンドともに繰り広げられる音楽絵巻に、身を委ねました。
2曲目は「眠りの森の美女」です。5曲からなる組曲版から、第3曲以外の4曲が演奏されました。シンフォニックな響きで、オーケストラを聴く喜びを感じさせました。「パノラマ」は思いっきりゆっくりと歌わせ、美しい「ワルツ」で締めくくりました。
休憩後の後半は「くるみ割り人形」です。クリスマスを迎えようとする今の時期にはぴったりな曲ですね。8曲からなる組曲に、第1幕の「クリスマスツリー」と「雪片のワルツ」、第2幕の「こんぺい糖の精と王子のパドドゥ」の3曲が加えられた特別バージョンでの演奏です。
オケのメンバーとともに新潟市ジュニア合唱団の皆さんが登場して、ステージ右奥の合唱団席に着きました。聴きなじみのあるメロディが次から次へと現れて、親しみやすい音楽に心も和みました。
新潟市ジュニア合唱団が歌ったのは付け加えられた「雪片のワルツ」の1曲のみでしたが、見事に歌いきり、東京交響楽団との共演を果たしました。
その後もお馴染みのメロディが続き、最後の「花のワルツ」を美しく優雅に演奏して、夢の世界の物語を閉じました。
親しみやすい肩のこらない音楽で、楽しい時間はあっという間に過ぎました。我らが新潟市ジュニア合唱団の出番がわずかだったのは残念でしたが、大きな拍手が贈られて、カーテンコールでは指導者の馬場さんのほかに、伴奏ピアニストの高橋さんまで出てこられて拍手を受けておられました。
わざわざ通常の組曲に児童合唱付の「雪片のワルツ」を加えたのは、新潟市ジュニア合唱団の出演の機会を作って、新潟市民へのサービスということなのでしょう。
川瀬さんのダイナミックでシンフォニックな曲作りは聴き応えがあり、東響の各パートも見事なパフォーマンスで演奏を支えました。聴かせどころが多いハープは、景山さんが春に移籍してしまいましたので、助演のハーピストのはずですが、美しい演奏でした。
オーケストラを聴く喜びを示してくれた素晴らしい演奏でした。たまにはこういうプログラムも良いですね。東響の皆さんの素晴らしいパフォーマンスに、大きな拍手が贈られて、今シーズン最後の定期演奏会は終演となりました。
次の定期演奏会は来年の6月までありません。寂しい日々が続きますが、来年度の新潟定期演奏会を楽しみに待ちたいと思います。
外に出ますと、冷たい雨が強風とともに、容赦なく打ち付けてきました。雪でないだけありがたいですね。風は冷たかったですが、良い音楽を聴いた心は暖かでした。
(客席:2階C*-**、S席:定期会員:¥5300) |