新潟大学管弦楽団第44回サマーコンサート
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2023年7月8日(土) 14:30 新潟県民会館 大ホール
指揮:河地良智
 
チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71a
 1. 小序曲
 2. 性格舞曲
  a 行進曲 b 金平糖の精の踊り c ロシアの踊り(トレパック)
  d アラビアの踊り e 中国の踊り f 葦笛の踊り
 3. 花のワルツ

(休憩15分)

ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98

(アンコール)
エルガー:エニグマ変奏曲 作品36 より ニムロッド

 

 今週は雨が降ったり猛暑になったりと、天候不順な1週間でした。今日も雨が降ってあいにくの天候でしたが、新潟市音楽文化会館では、東京藝大の同門会による「第14回アカンサスコンサート」、新潟県民会館では、この新潟大学管弦楽団のサマーコンサート、そして、りゅーとぴあコンサートホールでは、高嶋ちさ子さんらによる「めざましクラシックス in 新潟」が開催され、ホールはフル稼働です。
 どれもが魅力あるコンサートですが、時刻は重なっており、どこに行くか選択せねばならず、悩ましく感じました。選んだのは、もちろん新潟大学管弦楽団です。

 私は新潟大学の卒業生であり、はるか昔の入学式での式典演奏で、「ニュルンベルクのマイスタジンガー前奏曲」を聴いたのがこのオケとの出会いであり、以後半世紀近くに渡って何度も演奏を聴かせていただいています。結婚前に、デートで聴きに行ったこともありありましたが、古き良き時代の思い出です。
 学生オケの宿命として、毎年団員の入れ替わりがあり、その年により演奏の質にばらつきがありますが、若者たちのひたむきな演奏に毎回感動をいただいてきました。その中には、2006年の五來貴洋さんがコンマスだったときの、伝説の「シェエラザード」など、長きに渡り記憶に残っている演奏もあります。

 さて、COVID-19は、学生オケには多大な苦難をもたらし、2019年12月の第56回定期演奏会とそれに続く第9回東京公演を最後に、長期間の活動自粛を余儀なくされました。
 2021年にオケとしての活動が再開されても、有観客での演奏会は開催できず、第58回定期演奏会は無人のホールからの配信を視聴させていただきました。
 2022年6月の第43回サマコンサートから、新潟県在住者に限定して人数を絞って有観客での演奏会が再開され、2022年12月の定期演奏会から、一般公開の有観客での演奏会が再開されました。私も行く予定にしてチケットを買っていたのですが、大雪に見舞われたりもあって、残念ながら行くことはできず悔しい思いをしました。
 ただし、演奏会は再開されたものの、常任指揮者の河地さんを新潟に招くことはできず、学生指揮者による演奏でした。
 今年度になって、漸く河地さんを招いての練習が再開され、4年ぶりに河地さんの指揮による演奏会を開催することができることになり、その記念すべき最初の演奏会が今回のサマーコンサートです。
 ただし、今日コンサートがあることは伝え聞いていたのですが、コンサートに関しての案内は直前まで公式には発表されず、公式サイトで告知されてポスターが公開されたのは、6月14日と差し迫ったときでした。
 本当に開催されるのか心配していましたので、無事に開催できて何よりに思います。願わくは、もっと早めに案内してくると予定が立てやすくて良かったのですけれど。
 ホールの予約はかなり前から行う必要がありますが、演奏会の開催が見通せず、日程が定まらなかったものと思います。本来であればりゅーとぴあで開催されるはずなのですが、ホールの予約が高嶋ちさ子さんに先を越され、今回は新潟県民会館での開催になったものと推測します。

 前置きが長くなってしまいましたが、ポストコロナ、ウィズコロナの時代になって、通常開催になった最初の演奏会です。新入生の勧誘や全員集まっての練習は困難を極めたことは想像に難くありません。
 苦難に満ちた厳しい状況下で練習を積み、頑張りぬいた学生たちを応援するためにも、コンサートに参加させていただき、その演奏を心に刻みたいと思います。

 昨日は猛暑でしたが、今日は雨模様となり、時折雨足は強まりました。新潟県内でも大雨警報が出された地域もあり、被害が出ないことを祈ります。
 いつものように、与えられた雑務をこなし、雨の中に車を進め、白山公園駐車場へと向かいました。車をとめて、土砂降りの雨の中、白山神社を抜けて上古町へと急ぎました。
 いつもの楼蘭で極上の冷やし中華をいただきましたが、中に入るなり「いつものですね」と言われて、注文は確定してしまいました。ワンパターンを見抜かれていて、もはや他の品は注文できません。
 美味しくいただき、幸せな気分で県民会館へと向かいました。幸い雨は上がっていて、傘をささずに済んで良かったです。
 県民会館に行く前に、りゅーとぴあに立ち寄ってチラシ集めをしましたが、高嶋ちさ子さんのコンサートの開場までにはかなり時間があるにもかかわらず、開場待ちの列が延び、ロビーは賑わっていました。さすがの人気ですね。まあ、正直言って私も好きなんですけれど。

 県民会館に移動して当日券を購入し、開場待ちの列に並びましたが、列は南側の入口まで伸びていました。ほどなくして開場となりましたが、前売り券は電子チケットでしたので、皆さんスマホ画面を提示していました。当日券は紙チケットでしたが、やっぱり紙がいいですよね。完全に時代に乗り遅れてしまっていますが・・。
 ということで、列に並んで入場し、2階最前列中央に席を取りました。県民会館ではここが一番好きです。客席はそれほどの混みようではなく、特に2階席には余裕があり、ゆったりとコンサートに臨むことができました。

 配布されたプログラムには、前半・後半それぞれの出演者の名前と席順が記された紙が挟み込まれていましたが、これは良いですね。他の団体もまねしてくれると良いのですけれど。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場してチューニング。白ジャケットの河地さんが登場して、前半はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲です。
 演奏は、アンサンブルの正確さや、弦楽合奏の美しさという点では、今一歩と感じざるを得ませんでしたが、親しみやすい名曲の魅力と楽しみは十分に伝わってきました。
 ちょっとしたミスが耳に付いたり、音の美しさに難があったりはありましたが、音楽としては十分に楽しめました。客演のチェレスタとハープもいい仕事をしてくれて、うっとりと聴き入りました。

 休憩後の後半はブラームスの交響曲第4番です。前半同様に、弦楽合奏の粗さや、聴かせどころでの演奏の乱れは感じましたが、ブラームスの音楽世界は十分に表現されていました。重厚感あふれる演奏で、ブラームス晩年の傑作を、曲としてしっかりと楽しむことができました。
 演奏技術を論じることなど意味を成さないことを知らしめてくれる何かがあり、音楽の喜びを感じさせてくれました。音は汚い、でも音楽は素晴らしい!

 大きな拍手が贈られて、花束贈呈の後、河地さんの挨拶があり、アンコールにエルガーの「ニムロッド」が重厚に演奏され、心に染み入る感動の演奏で、コロナ禍から復活した記念すべき演奏会を締めくくってくれました。

 悪条件の中で練習を積んできた学生たちの音楽への熱い思いが伝わってくる演奏会でした。真摯に音楽に取り組むひたむきさを賞賛したいと思います。
 荒削りながらも、若さと躍動感に溢れる音楽は、魅力に溢れ、聴く者の心に迫ってきます。個々の演奏技術を超越した世界がそこにあり、若者たちからパワーをいただくことができました。

 くすぶるような感動を胸に、雨の切れ目を狙って駐車場へと急ぎ、断続的に雨が降る中に車を走らせて家へと向かいました。

 次回は、12月9日に河地さんの指揮で、第60回定期演奏会がりゅーとぴあで開催されます。曲目は未定ですが、練習を積んで、今回以上の演奏を聴かせてくれるものと期待しています。

 なお、休憩時間に2階のトイレを利用しましたが、随分ときれいに改修されていて驚きました。しばらくぶりの県民会館でしたが、私がご無沙汰していた間に、きれいになっていたんですね。
 ただし、従来以上に空調の音がかなりの音量で聴こえており、クラシックコンサートには問題に思いました。これは残念でした。

  

(客席: 2階1-18、当日券:\800)