新潟A・フィルハーモニック第一回定期演奏会
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2022年6月11日(土) 14:30 新潟市民音楽文化会館
ソロ・コンサートマスター:渡辺美穂
Vn:荒木江里香、印田千裕、枝並清香、小宮直、嶋村由美子、中澤真理子、平山真紀子、廣川抄子
Va:村松龍、小室明佳里、高野香子、Vc:海野幹雄、渋谷陽子、奥村景
Cb:倉持敦、Chem:長久真実子
 
グリーグ:ホルベルグ組曲(ホルベアの時代から)op.40

ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリンのための協奏曲 ロ短調

(休憩15分)

ヴィヴァルディ:四季
  第1番 ホ長調「春」
  第2番 ト短調「夏」
  第3番 ヘ長調「秋」
  第4番 ヘ短調「冬」

(アンコール)
モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136 から 第2楽章

 今日は、新しく結成された「新潟A・フィルハーモニック」の記念すべき第1回の演奏会です。オーケストラ大好き人間で新し物好きの私としましては、聴かない訳にはいきません。門出の演奏会を楽しみたいと思います。
 とは言え、どういう趣旨の団体なのか良くわかりません。チラシの文面によりますと、新潟待望の地元プロオーケストラとのことで、ソロ・コンサートマスターの渡辺美穂さんを中心に、国内外で活躍する新潟ゆかりの魅力的なトッププレイヤーが集結して、5年間の準備期間を経て、今日のデビュー公演になったとのことです。
 
 今回の公演は弦楽アンサンブルですが、今後はメンバーを徐々に増やしながら様々なスタイルでコンサートを創り上げるそうです。定期演奏会のほか、小・中学校を巡回してのワークショップ事業、巡回演奏会、ファミリー・ふれあい演奏会、依頼による演奏活動などを計画しているそうです。

 新潟にはすでに地元のプロの音楽家によるアンサンブルである「新潟ARS NOVA」がありますし、プロもどきの「新潟セントラルフィル」があります。今はどうなったか不明の北区文化会館の臨時編成の「アンサンブルNORTH新潟」というプロアンサンブルもありました。

 この「新潟A・フィル」がどう発展していくのか、「A・フィル」という名にどういう意味が込めれているのかなど、不明な点が多々あります。
 ソロ・コンサートマスターの渡辺美穂さんからして知らない人であり、メンバーも、枝並清香さん、平山真紀子さん、廣川抄子さん、渋谷陽子さん、奥村景さんなど新潟で活躍されていてお馴染みの人もおられますが、知らない人も多数あって、どのような点で新潟とゆかりがあるのか知りたいところです。
 調べてみますと、ソロコンサートマスターの渡辺美穂さんは、第53回全日本学生音楽コンクール全国大会第一位となり、東京藝術大学及び大学院を卒業され、東京フィルの第2ヴァイオリン・フォアシュピーラー、大阪フィルのコンサートマスター等を歴任され、2014年からはソロ活動をされているそうですので、なかなかの経歴の待ち主です。でも、新潟とはどういう関係なのでしょうね

 前置きが長くなってしまいましたが、白山公園駐車場に車をとめて、チラシ集めのためにりゅーとぴあに行きますと、日本老年歯科医学会が昨日・今日・明日の予定で開催中でした。WEB配信併用のハイブリッド開催のようですが、全国からの歯科医で賑わいをみせていました。
 新潟で全国規模の学会といえば朱鷺メッセが主体なのですが、りゅーとぴあ・県民会館も良い場所であり、新潟が誇る素晴らしい環境を堪能し、新潟の街を楽しんでもらいたいですね。

 さて、音楽文化会館に行きますと開場時間となっており、検温を受けて入場し、この原稿を書きながら開演を待ちました。今回の席は左前方です。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場。弦楽のみで、5-4-3-3-1の16人編成です。グリーグの「ホルベルグ組曲」で開演しました。
 もともとはピアノ独奏用の5曲からなる組曲ですが、弦楽合奏曲として有名ですので、しばしば聴く機会がありますが、躍動感に溢れ、生き生きとした前奏曲から一気に演奏に引き込まれました。
 当然ながらまさしくプロの音。それぞれに魅力ある5曲を鮮やかに演奏しました。胸に染み入る悲しげなアリアから、優しさと美しさを兼ね備えながらも軽快な舞曲で明るく盛り上がり、コンサートのスタートを鮮やかに飾りました。

 ステージが整えられて、ステージ中央にソリスト4人の場所が作られ、チェンバロも用意されました。2曲目はヴィヴァルディの4つのヴァイオリンのための協奏曲です。渡辺さんはソロには立たず、コンマス席です。
 4人のソリストが登場しましたが、その中には第2ソリストとして廣川さんのお姿もありました。4人のソリストも安定しており、バックのアンサンブルも素晴らしく、爽やかな演奏で楽しめました。実力者揃いのこのオケのメンバー紹介的な意味でも相応しい選曲だったものと思います。

 休憩後の後半は四季です。ソロ・コンサートマスターの渡辺さんが中央に立って演奏されました。お馴染みの曲ではありますが、新鮮な感動をいただきました。
 渡辺さんの雄弁なヴァイオリンソロと、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのトップ奏者との絡み合いも楽しめました。曲の良さ、演奏の良さが余すところなく伝わってきました。特に激しさを感じさせる夏が心に迫りました。

 拍手に応えて、渡辺さんの挨拶と今後の抱負が述べられましたが、自然豊富で四季の変化が鮮やかな新潟にちなんで四季を第1回のプログラムに選んだということのようでした。

 アンコールは優しい曲ということで、モーツァルトのディベルティメントが柔らかく、しっとりと演奏されて、コンサートが締めくくられました。

 各奏者のの力量は素人の私でも良くわかり、実力者揃いであることが実感されました。ここにはとても書き切れませんが、調べてみればすごい人たちであることがすぐにわかります。
 個人的にはチェロの海野幹雄さんが特に素晴らしく感じられ、終始目配せしながらリードし、陰のコンサートマスターをしておられたように感じました。 

 来年は6月10日に次の演奏会の開催が決定しているとのことです。これからがこのオケの真価が問われます。単発で終わることなく、さらなる発展を祈念したいと思います。

(客席:4-8、¥4000)