しばし某所で Part 1 の原稿を書きながら休憩をとり、りゅーとぴあに出直しました。今度の席は1列前です。客の入りは、前半より若干少なめでしょうか。
時間となり、石田さん、津田さん、譜メクリストが登場。石田さんは、前半は黒でしたが、今度は白い衣装です。後半も第9番以外、初めて生で聴く曲ばかりです。
第6番、第7番、第8番の3曲は、「ピアノのためのヴァイオリンを伴う3つのソナタ」として作曲され、同じ作品番号30です。
まずは、第6番です。第5番と同様に、明るく優しい印象です。メロディアスな曲を、ゆったりと、爽やかに歌わせて、楽しませてくれました。
休憩を置いて、第7番、第8番です。第7番はハ短調の曲で、曲調は一転して劇的で、緊張感を感じさせました。4楽章からなる大曲で、交響曲を髣髴させる展開です。解説にもありましたが、「運命」を連想させます。
第1楽章は、何度も繰り返される「ダーン、ダ・ダ・ダ・ダ・ダン」というメロディが耳から離れません。第2楽章は優しく癒しを与え、第3楽章は軽快に、第4楽章は劇的にフィナーレを迎えました。聴き応えあるいい曲であり、演奏でした。
第8番は明るさを取り戻しました。第1楽章は、軽快にスピーディに駆け回り、第2楽章はゆったりと歌わせて、第3楽章はピアノとヴァイオリンが掛け合いながら、競走馬が駆け抜けるかのように、ダイナミックにスピーディーに盛り上げ、高揚感を感じさせてフィナーレを迎えました。
休憩を置いて、第9番「クロイツェル」です。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを代表する大曲であり、冒頭のヴァイオリン独奏での導入部から一気に演奏に引き込まれ、お馴染みのメロディが出てからの劇的展開はお見事。津田さんと石田さんが激しく絡み合い、第1楽章を聴いただけで大満足。
憂いを秘めた第2楽章は、緩急のある変奏の対比も鮮やかに楽しませ、第3楽章は、ピアノの強打で始まり、ドラマチックに軽快にスピードアップし、ギアチェンジを繰り返して興奮のフィナーレへと駆け上がりました。やっぱり聴き応えあるいい曲ですね。疲れが出ていることでしょうが、エンジン全開の二人に拍手を贈りましょう。
3度目の休憩の後、いよいよ最後の第10番です。第5番、第7番と同様に4楽章からなる曲です。第9番から9年ものブランクの後に作られた曲ですが、素人の耳には大きな変化は感じられません。
第1楽章は、激しさというより優しさを感じさせ、耳によく馴染む音楽がゆったりと流れ出ました。第2楽章は、しみじみとしたメロディを優しく歌わせ、第3楽章をリズミカルに演奏して第4楽章へ。ほのぼのとしたメロディが、激しく、そして優しくゆったりと形を変え、うっとりと聴き入り、再びスピードアップして高揚感あふれるフィナーレを迎えました。
これで全10曲の終演です。疲れを感じさせず、最後まで演奏した二人に大きな拍手が贈られました。軟弱者の私は、途中で疲れたら逃亡しようかと思っていたのですが、二人の演奏に引き込まれ、飽きることなく聴き通すことができました。曲の良さを再認識したこともありますが、演奏の良さもあってのことです。
ヴァイオリン・ソナタといことで、どうしても石田さんに注目がいってしまい、実際チラシの写真も石田さんがメインになっていますが、ピアノの津田さんも賞賛すべきでしょう。
ヴァイオリン付きのピアノ・ソナタという側面もあるわけですので、津田さんの安定感ある演奏が今日の成功を導いていたことは間違いありません。
カーテンコールの後、石田さんと津田さんの挨拶があり、長い1日が終わりました。終演予定の20時30分よりは早く終わりましたが、それでも20時を回っていました。これだけ聴いても疲れを感じなかったということは、やはり演奏が素晴らしかったということでしょう。
このような企画をしてくれたりゅーとぴあの皆さんと、見事な演奏で魅了した二人に感謝してホールを後にしました。ライトアップされた公園の木々を見ながら、心も晴れ晴れと家路に着きました。
(客席:2階3-7、セット券:¥3000)
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