新日本フィルハーモニー交響楽団 ルビー 第16回
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2018年7月14日(土) 14:00  すみだトリフォニーホール
 
指揮:シモーネ・ヤング
ヴァイオリン:木嶋真優
コンサートマスター:崔 文洙
 


ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 op.26

(ソリストアンコール)岡野貞一:ふるさと

(休憩:20分)

ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 WAB 104 「ロマンティック」
         (1874年初稿・ノヴァーク版)












 

 今日は夕方から東京での会合がありましたが、せっかくの上京の機会ですので、早めに新潟を出て、コンサートを聴くことにしました。今回選んだのは、新日本フィルの定期演奏会です。

 新日本フィルの定期演奏会は、トパーズだのジェイドだのルビーだのと色んな名前が付いていて、たまにしか聴かない部外者にはわかりにくいです。さらに特別演奏会はサファイアだったりしますから、混乱するばかりです。
 今回の演奏会は、トリフォニーホールでのアフタヌーンコンサート・シリーズであるルビーの第16回で、昨日・今日の2回公演の2日目になります。

 この演奏会の指揮者はシモーネ・ヤング。2016年11月の第99回東響新潟定期に出演していますので、聴くのは2回目ということになります。ヴァイオリンの木嶋真優さんも以前聴いたことがあったように思いますが、どうもはっきりしません。

 JR錦糸町駅から汗を拭き拭きトリフォニーホールへ向かいました。途中のビルの谷間からスカイツリーが見えるのが楽しみです。

 このホールに来たのは、 2017年2月に新日本フィル第569回定期演奏会を聴いて以来になります。このホールには開場待ちするロビーというものは存在せず、開場まで外で待たなければならないのは困りものです。外の暑さに耐えきれず、隣のホテルのロビーで休ませていただき、暑さから逃れました。

 開場とともに入場し、1階右後方の席に着きました。側壁がステージに突き刺さるようなデザインは何度来ても好きになれません。ホールのホワイエは狭いですし、やたら階段が多く、問題が多いと思うのは私だけでしょうか。
さすがに土曜日の午後ということで、客の入りは良く、8〜9割は埋まっていました。

 拍手のない中に団員が入場。気付いた時には入場が終わっていて、コンマスの崔さんが登場して大きな拍手が贈られました。東響新潟定期方式に慣れていますと、寂しく感じてしまいます。

 鮮やかなピンクのドレスの木嶋さんとロングヘアーを背中まで垂らしたヤングさんが登場して、ブルッフのヴァイオリン協奏曲で開演です。木嶋さんがオーボエから音をもらって調整し、演奏が始まりました。
 音量豊かにヴァイオリンがホールいっぱいに響き渡り、朗々と音楽が奏でられました。甘くなりすぎず、緊張感漂う演奏でした。
 この曲は人気曲だけあって聴く機会も多く、この5月の第107回東響新潟定期で聴いたばかりですが、そのときのヴァイトハースの風格ある演奏に勝るとも劣らない堂々とした演奏に感じました。

 ソリストアンコールは意外にも「ふるさと」でした。豪雨災害の犠牲者への追悼でしょうか。しみじみと心に響く演奏に目頭が熱くなりました。

 休憩後は編成が大きくなり、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」です。1874年の初稿版ということで、通常聴く1878/80年版(第2稿)とは大きく異なり、まるで別の曲を聴くかのようで、戸惑ってしまいました。
 個人的にこの曲で一番好きな第3楽章の「狩りのスケルツォ」は、完全に別の音楽になっていました。第1楽章のテーマが各楽章とも一貫して流れ、同じ楽章を繰り返し演奏しているかのような錯覚を感じ、ちょっと冗長さを感じました。
 これはこれで新鮮味があって良かったのですが、やっぱり通常演奏される版の方が好きです。作曲者が改訂するのには、やはり意味がある訳であり、作曲者が手直しが必要だと感じた初稿版を勝手にありがたがるのも問題かな、などと考えながら聴いていました。
 それはさておき、オケの演奏は素晴らしく、いつも聴いている東響とは違った響きを感じました。特に、終始ソロで頑張ったホルンが良かったです。ヤングさんも真っ先にホルンを讃えていました。

 緊張感を強いられる演奏で、疲労感を感じましたが、いい音楽を聴けたという満足感を いただきました。ヤングさんの隅々まで注意が行き届いた指揮から、崇高な音楽が生み出され、静かに燃え上がる精神的高揚を感じながらホールを後にしました。

  

(客席:1階24-36、S席:¥4500)