| 新日本フィルハーモニー交響楽団第569回定期演奏会 | 
  
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    | 2017年2月25日(土)14:00 すみだトリフォニーホール | 
  
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    | 指揮:アントニ・ヴィット ピアノ:クシシュトフ・ヤブウォンスキ
 コンサートマスター:西江辰郎
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    | (ロビーコンサート ヴァイオリン:西江辰郎、ハープ:池城菜香) 
 ピアソラ:タンゴの歴史 より
 1900 売春宿/1930 カフェ/1960 ナイトクラブ
 
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 モニューシュコ:歌劇「パリア」序曲
 
 ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
 
 (ソリストアンコール)
 ショパン:ワルツ第2番 Op.34-1
 ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調 「遺作」
 (休憩20分) シマノフスキ:交響曲第2番 変ロ長調 Op.19 |   | 
  
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    |  今日は夕方から東京での仕事があり、せっかくですので、早めに上京し、コンサートを聴くことにしました。いくつか興味ある公演がありましたが、移動時間を考慮して、このコンサートを選びました。
 今日のプログラムは、ポーランドを代表する3人の作曲家の作品をポーランドが誇る名指揮者ヴィットの指揮で演奏しようというものです。さらにショパン演奏の権威と言われるヤブウォンスキとの共演も注目されます。
 ポーランドを代表する作曲家というものの、ショパンやシマノフスキは知っていますが、モニューシュコの名前は初めて聞きました。日本での知名度は低いですか、ポーランドではショパンと双璧をなす大作曲家なんだそうです。ともあれ、ポーランドの曲をヴィットの指揮でどう演奏されるか楽しみでした。
 
 私が新日本フィルを聴くのは ワールド・ドリーム・オーケストラとしては昨年7月に聴いていますが、新日本フィルとしては2014年10月以来です。
 
 東京駅から総武線快速で錦糸町へ。駅前で昼食をとりトリフォニーホールへと向かいました。途中に東京スカイツリーが良く見える場所があり、しばし眺めてからホール入りしました。
 このホールに来たのは2012年1月以来ですので5年ぶりです。毎回思うのですが、このホールは駅から近いのは良いのですが、ビルの中にあって、周囲に広場もなく、音楽を楽しむ環境としては良いとは言えません。館内もゆったり感はなく、階段が多いのも困りものです。
 
 開場後にロビーコンサートがありましたが、ロビーが狭くて混雑していました。私は2階のバルコニーで聴きましたが、非常に窮屈でした。
 今日のロビコンの出演は、コンマスの西江辰郎さんとハープの池城菜香さんです。ビアソラが演奏されましたが、しっとりと、情感ある演奏にうっとりと聴き入りました。本番直前の演奏ご苦労様でした。
 
 客席に着いていよいよ開演です。今回は3階席後方の安席ですが、見晴らしは良好です。拍手がない中に団員が入場。コンマスが登場して拍手が贈られました。チューニングの後少し時間をおいておもむろにヴィットが登場しました。
 
 ヴィットは気合い十分なようで、指揮台に上がるやいなや、まだ拍手が消えないうちに演奏が開始され、ちょっとびっくりしました。前記しましたようにモニューシュコの名前は聞いたこともなく、もちろん「パリア」というオペラも知りませんが、曲は親しみやすく、オケの美しい演奏もあって、楽しく聴けました。
 
 ステージ中央にピアノが運ばれて、続いてはショパンのピアノ協奏曲第1番です。オケもピアノも、しなやかに、流れるような演奏でした。
 この曲はショパンコンクールで必ず演奏されますが、いつも指揮はヴィットだったように思います。私はこの曲を甘ったるく感じて毛嫌いしていた時期があったのですが、山本貴志のショパンコンクールライブを聴いてからこの曲の良さに目覚めました。このときの指揮がやはりヴィットでした。
 ヴィットは、この曲を誰よりも理解し、演奏しているという自信にあふれているように感じました。ヤブウォンスキのピアノも美しく、情感あふれる第2楽章に涙し、情熱が高ぶる第3楽章で燃え上がって大きな拍手とブラボーが贈られました。
 拍手に応えてアンコールにショパンのワルツを軽やかに演奏し、さらに大きな拍手でホールが満たされました。興奮収まらず、もう1曲ノクターンが演奏されましたが、これはしっとりと胸を打つ演奏で、感動に涙しました。最後の一音の後の数秒の静寂が、感動の大きさを物語っていたものと思います。
 
 後半はシマノフスキの交響曲です。この曲もはじめて聴きましたが、透明感のある演奏で、最初のコンマスによるヴァイオリンのソロから一気に曲に引き込まれました。20世紀の曲ながら非常に馴染みやすい曲であり、ごてごて感がなくてクリスタルのような輝きを感じました。最後のフーガで大きく盛り上がって、気分爽快の中に終演となりました。
 
 さすがにヴィットにとってはお国物ということで、指揮者としても楽しく指揮していたのではないでしょうか。オケの皆さんも指揮に良く応えて、美しい音楽を創り出していました。
 日頃東響ばかり聴いていて、新日本フィルを聴くのはまれですが、素晴らしい演奏だったと思います。特に弦楽のアンサンブルの美しさに感銘しました。
 
 この素晴らしい演奏によって、隠れた名曲を知ることができて、非常に楽しめたコンサートでした。気分爽快な中、仕事へと向かいました。
 
 
 (客席:3階10-13、C席:¥4000) |