新潟交響楽団第100回記念定期演奏会
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2017年10月22日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:伊藤 翔
ソプラノ:澤江衣里、アルト:福原寿美江
合唱:「復活」記念合唱団(合唱指揮:箕輪久夫)
 
ブラームス:運命の歌

(休憩15分)

マーラー:交響曲第2番 ハ短調 「復活」

 新潟交響楽団の栄えある第100回定期演奏会です。本来100回目は6月の公演だったはずですが、りゅーとぴあでマーラーの「復活」をやるために、6月は「ファミリーコンサート」にして、今日の日を待ったものと推測します。

 マーラーが大好きの私。若い頃はマーラーといえば「巨人」か「復活」ばかりでしたが、年を取った今は、9番に心酔しています。「復活」のCDを聴く機会はめっきり減りましたが、「復活」への熱い思いは今も忘れてはいません。
 学生時代にFM放送で聴いたメータ指揮ウィーン・フィルの演奏が「復活」との、いやマーラーとの出会いだったのですが、2枚組5千円のLPが買えなくて、エアチェック(今は死語ですね)したカセットテープを聴いていました。新潟でマーラーを聴く機会はなく、生演奏を聴くまでには出会いから長い年月を要しました。

 初めての生演奏は、1999年3月の「新潟市民芸術文化会館落成記念演奏会」(指揮:十束尚宏)で、りゅーとぴあの開館を祝して、新潟市内のアマオケが結集しての記念すべき演奏会でした。
 その後は2003年10月の「東京交響楽団第23回新潟定期演奏会」(指揮:井上道義)、2008年7月の「東京交響楽団第49回新潟定期演奏会」(指揮:金聖響)で演奏されましたが、以後新潟での生演奏はなく、今回は9年振りとなります。
 新潟で聴けないので、県外遠征して聴いたこともありましたが、2012年9月の「東京芸術劇場コンサートホール リニューアルオープン記念演奏会」(指揮:下野竜也)が最後ですので、「復活」を聴くのは5年振りになります。

 このように、大編成のオケと合唱団を必要とするこの曲は、新潟で演奏される機会はめったになく、まさに第100回を記念するにふさわしい演目だと思います。

 今日は衆議院議員選挙の日。そして超大型台風が接近中という生憎の日になってしまいました。雨が降るなかホールに到着。100回記念の特別なコンサートということで、満員の大盛況となるかと思ったのですが、いつもの入りでしょうか。私が大好きなマーラーですので、指定席券を購入し2階正面に席を取りました。実はチケットを買った後に団員のK先生からチケットをいただいたのですが、その分は有効に使わせていただきました。

 合唱団が入場し、その後オケが入場。最後にコンミスの松村さんが入場して大きな拍手はが贈られました。伊藤さんが登場し、最初はブラームスの「運命の歌」です。
 せっかくの合唱団ということで選曲されたものと思いますが、「復活」に比して静かで渋い曲です。優しく柔らかく演奏し、大曲の前の前菜にはぴったりの曲であり、演奏だったと思います。

 休憩を置いて、続いてはいよいよ「復活」です。冒頭のヴァイオリンのトレモロに続く低弦の唸りを聴いて、今日の名演が確信されました。もちろん演奏技術はプロにはかないませんが、集中力、気合の入り方はプロ以上ではないでしょうか。大音響でも音は濁らず、りゅーとぴあの音響を知りつくした潟響と、伊藤さんの卓越した統率力のなせる業でしょう。これほどの演奏を聴かせていただいて、何も言うことはありません。

 第2楽章、第3楽章も快適に飛ばし、しばしの盛り上がりの後に、暗闇に光が差し込みように第4楽章のアルトの朗々とした歌声がホールに響きました。アルトの福原さんの歌声は、この「原光」にぴったりであり、胸にしみました。

 そして圧巻の終楽章。バンダを含めて演奏は鬼気迫るもので、神憑り的名演とでもいいましょうか、音楽の神様が降臨し、一期一会の演奏を作り上げてくれたのではないでしょうか。
 後半に合唱団が立ち上がり、合唱団席にライトが当てられますと気持ちは高ぶります。ソプラ、アルトの二人に負けずに、合唱団も実力を存分に発揮しました。クライマックスではオルガンに照明が当てられ、興奮と感動のフィナーレを迎えました。

 アマチュアという限界を超越した、プロでもなかなか聴けない感動的演奏だったと思います。接近する超大型台風も蹴散らすようなパワー溢れる演奏を聴かされて、興奮せずにはいられず、私の前席のブラボー屋さんに負けずと拍手をし続けました。

 これからの潟響のさらなる発展を祈念しつつ、収まらぬ感動を胸に家路に着きました。

(客席:2階C4-11、指定席:¥1500)