前橋汀子 無伴奏オール・バッハ・プログラム
←前  次→
2017年7月21日(金) 19:00  新潟市音楽文化会館
 
ヴァイオリン:前橋汀子
 

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001
  第1楽章 アダージョ  第2楽章 フーガ:アレグロ
  第3楽章 シチリアーナ  第4楽章 プレスト

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005
  第1楽章 アダージョ  第2楽章 フーガ・アラ・ブラーヴェ
  第3楽章 ラルゴ  第4楽章 アレグロ・アッサイ

(休憩20分)

J.S.バッハ:無判奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006
  第1楽章 プレリュード(前奏曲) 第2楽章 ルール
  第3楽章 ガヴォットとロンド  第4楽章 メヌエットT 第5楽章 メヌエットU
  第6楽章 ブーレ  第7楽章 ジーガ

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
  第1楽章 アルマンダ  第2楽章 コレンテ 第3楽章 サラバンダ
  第4楽章 ジーガ  第5楽章 シャコンヌ 

(アンコール)
J.S.バッハ:無判奏ヴァイオリン・パルティータ第1番より サラバンド
パガニーニ:カプリース第13番 変ロ長調
 

 新潟市音楽文化会館開館40周年記念事業としてのコンサートです。「おんぶん40周年ヴィンテージ・リサイタル・シリーズ」として、前橋汀子と堤剛による「無伴奏オール・バッハ・プログラム」が企画され、今夜は前橋汀子のリサイタルです。一般料金5000円ですが、N-PACmate会員は3000円という優待料金となっており、会員増を期待しての企画と思います。

 前橋さんのコンサートは、2012年7月の「デビュー50周年記念ヴァイオリンコンサート」以来5年ぶりになります。50周年記念ということですので、そのとき既に熟年でいらっしゃったと思いますが、あれから5年が過ぎ、どんな演奏が聴けるか楽しみでした。

 毎度のことながら、スケジュールを考えぬままチケットを買ってしまい、平日のコンサートで、行けるか心配でしたが、何とか開演時間に間に合いました。
 駐車場に車をとめ、改修工事中のりゅーとぴあを横目に見ながら音分に到着しました。後方に若干の空席がありましたが、客の入りは良いようでした。私の席は後方の左寄りです。

 開演時間となり、白いドレスの前橋さんが、ゆっくりとした足取りで登場。ソナタ第1番で開演しました。音分の横を流れる信濃川のごとく、雄大な大河の流れのように、ゆったりと朗々と響くヴァイオリンは、まさに熟練の巨匠の風格が漂います。技術をひけらかすような派手さはなく、熟成されたヴィンテージ・ワインのように濃厚であり、聴くものの心を優しく包み込みます。ホールを埋めた聴衆を、ヴァイオリン1本で魅了するパワーは、若い者には負けないという気概を感じさせました。

 退場することなく、続いてはソナタ第3番。ゆったりとしたアダージョの後の長大なフーガで聴衆を圧倒し、拍手を誘いました。終楽章ではスピードアップし、年齢を超越した指さばき、弓さばきで興奮をもたらしました。

 休憩の後は、衣裳換えして、真っ赤なドレスで登場し、パルティータが2曲演奏されました。前半のソナタは悠々自適というような、セピア色した、ちょっと枯れた感じもある演奏でしたが、後半は真っ赤なドレスに象徴されるように、色彩感ある演奏でした。前半同様に、退場することなく2曲を弾ききりました。
 各楽章の対比も鮮やかに弾き分け、ジーガからシャコンヌへと休みなしに突入し、興奮のフナーレを迎えました。加齢に伴う技術的衰えはあるはずですが、そんなことは意味もなく、圧倒的迫力、有無も言わせぬ魂の揺さぶりに身震いを禁じ得ませんでした。

 大きな拍手とブラボーに応えて、アンコールを2曲演奏して終演となりました。ステージに出入りするお姿は、足腰の衰えを感じさせましたが、無伴奏の大曲を4曲という2時間以上のステージをこなした体力と圧倒的な存在感は、まさに巨匠と呼ぶべきでしょう。
 ヴァイオリン1本からもたらされた感動と興奮を胸に、束の間の夢幻の世界から、悩み多い現実世界へと戻って行きました。ワインや宿泊券のプレゼントがあったのですが、見事に落選しました。これも現実ですね。

 次は9月2日に堤剛さんの無伴奏オール・バッハ・プログラムが予定されています。次回も素晴らしい演奏が聴けるものと期待が高まります。皆さんもいかがでしょうか。
 
  

(客席:16-8、会員優待:¥3000)