清水明日香 ピアノの調べ 〜第2の故郷へ想いを寄せて〜
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2016年3月13日(日) 14:00  スタジオスガマタ
 
ピアノ:清水明日香
ゲスト:酒井 史
 
(独奏)
ドビュッシー:「子供の領分」より 
         グラドゥスアドパルナッスム博士

(連弾)
ドビュッシー:小組曲 

チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」より 
         序曲、行進曲、トレパーク

リスト:ハンガリー狂詩曲第2番

(休憩15分)

(独奏)
フォーレ:舟歌 第1番 イ短調 作品26
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 作品60

(独奏:酒井史)
カプースチン:8つの演奏会用エチュード 作品40 より
          6.パストラール、8.フィナーレ

(独奏)
ショパン:バラード第4番 ヘ短調 作品52

(アンコール:連弾)
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番

 先週の「La feuille 」(新潟大学音楽科大学院生によるコンサート)でトップバッターで演奏された清水さんですが、そのすばらしい演奏をもう1度聴きたくなり、このコンサートを聴かせていただくことにしました。
 清水さんは群馬県のご出身であり、新潟大学で学ばれ、大学院を合わせた6年間を新潟で過ごされ、この春に卒業されます。今回は新潟生活を締めくくる記念のコンサートです。

 昨日の青空は去り、曇り空で、ちょっと肌寒い日曜日となりました。三吉屋で昼食をとり、スタジオスガマタに赴きました。新潟県音楽コンクールで最優秀賞を受賞され、昨年の受賞者コンサートでもすばらしい演奏を聴かせてくれた田口侑果さんが受付されていました。田口さんは、3月19日にCDショップのコンチェルトでインストアライブが予定されており、ご活躍が期待されます。

 前方右端に席を取り、開演を待ちました。ピアノの上には花束が飾れて、華やかな雰囲気を演出していました。薄オレンジ色のドレス姿が麗しい清水さんが登場して開演です。

 最初はドビュッシーです。明るくきらびやかな音色で、濁りのない美しい響きに魅了されました。昨日関敦子さんのリサイタルで、円熟の演奏に感嘆しましたが、それとは違った、はじけるような色彩感あふれる演奏は、若さがなせる業かもしれません。

 続いては、高校の同級生で、群馬から駆けつけてくれた酒井さんとの連弾です。ドビュッシー、チャイコフスキー、リストと、解説をはさみながら演奏が進められましたが、息の合ったエネルギーあふれる躍動感ある演奏に、心は高鳴りました。私の席は最前列でしたが、迫力ある演奏にもかかわらず、ピアノの音はあくまでも美しく、音のクリアさに感心しました。興奮の中に休憩に入りました。

 後半は清水さんはアズキ色のドレスに着替えて登場。フォーレとショパンの舟歌が続けて演奏されました。ショパンの方は、先日の「La feuille 」でも演奏されましたが、ホールもピアノもまったく違うものの、今日の方が美しく響いて良かったように思います。

 続いて紺色のドレスに着替えた酒井さんが登場して、カプースチンを演奏しました。ほとんどジャズと言っても良いようなこの曲を、軽快にかっこよく演奏し、さわやかな感動をいただきました。

 そして最後は大学院で練習していたというショパンのバラード。新潟生活の最後を締めくくるコンサートの最後の曲としてぴったりに違いありません。演奏はそんな想いがこもった力強い演奏となりました。清水さんの熱い想いが聴く方にもひしひしと伝わり、感動が胸にこみ上げてきました。まさに集大成というべき演奏を聴かせていただいてありがたかったです。

 アンコールは酒井さんとの連弾でハンガリー舞曲。緊張感から開放されたような楽しい演奏でした。興奮と感動の中に、コンサートは終演となりました。

 演奏もさることながら、お二人のトークもすばらしく、人柄の良さが伝わってきました。容姿も美しく、華を感じさせます。スター性を備えられており、これからますます大きく羽ばたいて行かれるものと思います。

 学生さんですので、卒業後に故郷の群馬に帰られるのは仕方ないこととはいえ、新潟から去って行かれるのはさびく感じられます。さらに成長され、新潟に凱旋されるのを楽しみにしたいと思います、今後に幸多かれと祈りながら帰路に着きました。

(追記:ゲストの酒井さんもすばらしいピアニストとお見受けしました。あのカプースチンは全曲聴いてみたいですね。)
  

(客席:前列右、¥500)