第50回新潟県音楽コンクール受賞者コンサート
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2015年11月14日(土) 14:30  だいしホール
 
田口侑果、野村彰汰、吉田早穂、田中健太郎、丸山瑞生
司会:手島千尋
 
1.ピアノ独奏:田口侑果(最優秀賞)
   ショパン:練習曲 作品10-9、作品25-8、作品25-11 木枯らし
   ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 作品52

2.ヴァイオリン独奏:野村彰汰(優秀賞) ピアノ:向井もと子
   サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番 第3楽章
   ヴュータン:バラードとポロネーズ 作品38

3.ソプラノ独唱:吉田早穂(県知事賞) ピアノ:小林ちひろ
   ヴェルディ:歌劇「イル・トロヴァトーレ」より 黄金の夢のように
   レスピーギ:「トスカーナ地方の4つのリスペット」より
            遥か遠い彼方からやってくる
   ドンビゼッティ:歌劇「アンナ・ボレーナ」より 
            あなたは泣いているの?・・・私の生まれたあのお城

(休憩15分)

4.ピアノ独奏:田中健太郎(県知事賞)
   ラフマニノフ:「幻想的小品集」より 前奏曲 嬰ハ短調
   ラフマニノフ:「13の前奏曲」より 嬰ト長調
   ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」

5.クラリネット独奏:丸山瑞生(大賞) ピアノ:伊東茉帆
   ヴィドール:序奏とロンド
   シューマン:幻想小曲集 作品73
   バッシ:ヴェルディのリゴレットによる華麗なる幻想曲
                 

 今日は天候が優れず、ちょっと憂鬱な土曜日になりました。このところだいしホール通いが続いていますが、今日は今年の新潟県音楽コンクールの受賞者コンサートです。
 開場とともに入場し、今日は最前列に席を取りました。ホールは満席。補助椅子も多数出されていて、大盛況となりました。

 開演時間となり、最初にBSNの手島アナウンサーが登場し、以後同アナの嫌みのない的確な司会進行により、出演者へのインタビューを交えながら演奏が進められました。

 最初は最優秀賞を受賞された田口さんのピアノ演奏です。紺色のドレスで登場し、力の入った演奏を聴かせてくれました。胸に秘めた情熱を鍵盤に吐き出すようであり、聴く方も身構えてしまうような渾身の演奏でした。トップバッターの重責を見事に果たしていました。

 続いては優秀賞の野村さんのヴァイオリン演奏です。最初は緊張した様子が垣間見えましたが、若者を優しく支えるピアノの好サポートもあって、丁寧に音楽を作り上げていました。初々しさの中にも集中力を感じさせる見事な演奏だったと思います。まだ高校2年生であり、今後の活躍が期待されます。

 次は県知事賞の吉田さんの独唱です。真っ赤なドレスに身を包み、ステージ映えします。声量は豊かであり、見事なソプラノ・ドラマティコです。表現力豊かなピアノ伴奏に支えられ、感情を豊かに表現し、ホールいっぱいに響き渡る歌声に魅了されました。今後は東京藝大の大学院に進学されるとのことであり、ますますの発展が期待されます。

 休憩後の最初は、県知事賞の田中さんのピアノ独奏です。高校3年生とは思えない落ち着きと風格があり、堂々とした音楽に圧倒されるようでした。ロシアン・メソッドで勉強されたとのことですが、なるほどと感じさせる、力強く響きの豊かな演奏でした。

 最後は大賞を受賞した丸山さんのクラリネット独奏です。白いドレスのピアノとともに紺色のドレスで登場。2本のクラリネットを使用し、難曲を淀みなく演奏し、卓越したテクニックと音色の豊潤さに息を呑みました。ピアノは、優しい音色でクラリネットに寄り添い、美しいクラリネットの響きを引き立てていました。さすがに大賞に値する見事な演奏でした。

 いずれの演奏も甲乙付けがたかったですが、個人的にはソプラノの吉田さんに最も感銘を受けました。体格にも恵まれて華があり、声量も豊かで、オペラの舞台にぴったりのように思います。イタリア留学でもして磨けば、新潟に留まらず、日本、いや、世界に羽ばたける素質があるように思います。

 各人の演奏には十分な時間が与えられ、ミニコンサートを5つ聴いたというような内容豊富な充実した演奏会でした。若き情熱により、超満員のホールは感動と熱気に溢れました。
 なお、受賞者の皆さんだけでなく、伴奏で参加された3人のピアニストの見事なサポートも賞賛したいと思います。受賞者に負けない熱演であったことは特記すべきでしょう。

 最後に、これから新潟から羽ばたく5人の才能あふれる若者たちにエールを贈り、今後の発展と活躍を祈念したいと思います。

(客席:A-7、¥800)