山本さんのオルガンリサイタルも回を重ねて18回目。今回のテーマは「フランス近現代のオルガン音楽」ということですが、何といっても、にいがた東響コーラスと共演するデュリュフレのレクイエムが注目されます。合唱団で出演される某氏よりもご案内をいただき、平日開催ながら万難を排して駆けつけました。
6時に仕事を切り上げ、大急ぎで車を飛ばし、開演5分前に到着。いつものリサイタルより客の入りは多いようでした。いつもは3階に席を取るのですが、今回は合唱がありますので、2階正面に席を取りました。
前半はオルガン独奏でした。多彩な音色とパワーで豪華絢爛なオルガンの愉しみを満喫させた「鐘」に始まり、重低音のしっとりとした響きで神秘的な響きの中に癒しを感じさせた「月の光」で山本ワールドに引き込まれました。
りゅーとぴあの誇るグレンツィンオルガンの能力をフルに引き出し、圧倒的迫力と立体感ある響きでホールを満たしたフランクの「コラール第2番」。
前半最後は、後半の前座的な意味なのかデュリュフレの2曲。曲名の如く柔らかな音楽の「瞑想」。そして、ちょっと賑やかで華やかながらもすぐに終わってしまったフーガ。
ここまででも、十分楽しめた内容でしたが、やはり圧巻はメインのレクイエムですね。
合唱団はステージに並び、その前にソリストが2人。指揮台に載った安藤さんの指揮で演奏が進められました。出演者と合唱団、ソリストの数と観客数を勘案しますと、随分と豪華なコンサートです。天上やステージ上にはマイクが多数並べられていましたので、ライブ録音されたものと思います。
オルガンに指示を出すためか、安藤さんは身振りが大きめの指揮でした。オルガンの良さは今さら言うまでもないですが、合唱の良さは特筆すべきでしょう。独唱の2人は楽譜を見ていましたが、合唱団は楽譜なしです。
フォーレのレクイエムが好きな私は、フォーレを参考にして作られたこの曲も好きであり、オーケストラ版、オルガン版ともCDではときどき聴いてますが、生で聴くのは初めてです。演奏の質に関して論ずるほどの素養は私にはありませんが、やはりホールで聴く音楽はCDでは味わえない喜びを感じます。
合唱団の熱演もあって、オルガンと合唱、独唱が見事に溶け合い、豊潤な響きのホールは大聖堂となったかのようでした。ダイナミックさ、ドラマチックさが感じられる良い演奏だったと思います。
個人的好みからしますと、静かな場面での、傷ついた心を癒してくれるような、心に染み渡る柔らかな響きがもっとあったら良かったかなと感じましたが、新潟でこんな演奏を聴けるなんて幸せだと思います。
オーディションで選ばれた皆さんですから当然なのかもしれませんが、にいがた東響コーラスの皆さんの頑張りには拍手を贈りたいと思います。独唱の二人も、出番は少なかったですが、声量豊かに朗々と歌声が響いて良かったです。
山本さんはいつもオルガン席ばかりですが、今回のカーテンコールではステージに出てきてくれました。良い音楽を聴かせてくれてご苦労様でした。そして、ストップ操作で大忙しの助手さんもご苦労様でした。
山本さんのリサイタルは益々円熟し、新たな展開をみせてくれています。これからもオルガンの喜びをわれわれに伝えてくれるものと期待しています。次回の案内はありませんでしたが、楽しみに待ちたいと思います。
(客席:2階 C6−4、会員割引:\2700) |