新潟交響楽団第92回定期演奏会
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2013年6月23日(日) 14:00  新潟県民会館 大ホール
 
指揮:諸遊耕史
ピアノ:イリーナ・メジューエワ
 


シューマン:「マンフレッド」序曲

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

(ソリストアンコール)
 J.S.バッハ:フランス組曲第5番より

(休憩15分)

シベリウス:交響曲第1番

(アンコール)
 グリーグ:ソルヴェイグの歌
 
 

 今週は新潟も梅雨入りし、どんよりとした天候ですが、暑すぎることもなく、比較的穏やかな日曜日となりました。今日は新潟の音楽好きには話題の演奏会です。潟響とメジューエワの競演ということで、期待が膨らみました。

 指定券を買えば良かったのですが、今日は自由席。早めに会場入りして開場待ちの列に並びました。選んだ席は、県民会館では一番好きな2階席最前列中央。見晴らしが良いだけでなく、オケの音響的にも良好に思います。

 メジューエワとの共演ということで、チケット完売間違いなしと思っていたのは私くらいのようで、いつもの定期と同様の入りのようでした。駐車場が混んでいて、客の入場が遅れているとのことで、開演が数分遅れました。

 いつものように拍手の中に団員が入場。最後に松村さんが一礼して一段と大きな拍手が贈られました。諸遊さんが登場して、最初はマンフレッド序曲です。好きな曲でもありませんし、正直言って退屈しながら聴きました。もう少しメリハリのある演奏でしたら楽しめたのかもしれません。

 ピアノがセットされ、いよいよチャイコフスキーの協奏曲です。赤いドレスのメジューエワさんが登場して演奏開始。いつものように楽譜を見ながらの演奏です。
 力強い打鍵から音量豊かな、パワーあふれる音楽が作り出されました。県民会館のピアノが力負けしたのか、初めはピアノの音が濁って聴こえましたが、私の気のせいでしょうか。りゅーとぴあだったらもっとクリアに聴こえるんじゃないかと思いながら聴いていました。

 強靭なメジューエワさんのピアノに対抗すべく、諸遊さんは身振り大きくオケを煽って、若干乱れながらも、熱気のこもった演奏を聴かせてくれました。
 メジューエワさんはパワーで圧倒するのではなく、楽譜を見ながら、一音一音を大切に弾いているのがわかりました。速く弾き流すことなどはなく、丁寧な演奏です。

 ものすごい熱演に、第1楽章の後に早くもブラボーの声が上がりましたが、第2楽章の後にも拍手がありましたので、感動のあまり思わずの拍手ということでもないようです。まあ、この辺は潟響の客層と東響定期の客層の若干の違いがあるものと推測します。

 アンコールのバッハがさらに良かったです。県民会館のピアノから、こんな良い音がするなんて・・。いつまでも聴いていたかったですが、終演となりました。

 前半の興奮冷めやらない中、後半はシベリウスです。考えてみればこちらがメインプログラム。期待以上の良い演奏に驚きました。チャイコフスキーでエネルギーを使いすぎたのではないかと心配したのですが、そんなことは微塵も感じさせず、凄い演奏でした。
 キビキビした諸遊さんの指揮に呼応して、潟響の皆さんがダイナミックな演奏を聴かせてくれました。出だしのクラリネットソロが見事であり、これが渾身の名演を作り出した呼び水になったように思いました。
 正直言って、この曲は好きでもなく、期待していなかったのですが、前半以上の素晴らしい演奏に驚きを禁じ得ませんでした。メジューエワさんの名演が霞んでしまうほどに感じました。

 アンコールのソルヴェイグの歌の弦楽合奏の美しさにも息をのみました。極上のアンサンブルに、潟響のすばらしさを再認識しました。

 ロビーではコンチェルトの佐藤さんがメジューエワさんのCD販売で大忙しでした。私も声をかけていただきましたが、買い物の後にコンサートに行ったもので、持ち合わせがなくてCDを買うことができませんでした。ご勘弁を・・・。終演後にメジューエワさんのサイン会が開かれましたが、長い行列を横目に家路につきました。

 さて、パンフレットに次回の定期の演目が載っていましたが、何とマーラーの9番! アンケートを書くたびにこの曲を書き続けていた私としましては、この上ない喜びです。ああ、11月が待ち遠しいなあ・・・。
 

(客席:2階1−18、自由席:¥1000)