牛田智大ピアノリサイタル
←前  次→
2013年2月3日(日) 14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ピアノ:牛田智大
 
リスト:コンソレーション(慰め)第3番

シューベルト:即興曲 変ロ長調 op.142-3

汪立三:組曲「東山魁夷画意」第4曲“涛声”

ショパン:夜想曲 op.9

サン=サーンス/リスト編:死の舞踏

(休憩20分)

プーランク:愛の小径

プーランク:即興曲第15番「エディット・ピアフを讃えて」

ヒナステラ:アルゼンチン舞曲集 op.2

ショパン:3つのマズルカ

ショパン:バラード第3番変イ長調 op.47

リスト:ハンガリー狂詩曲第12番

ショパン:ワルツ op.64-1「小犬」

(アンコール)マルマル・もりもり
 
 

 今日は他にも聴きたいコンサートが重なっていたのですが、昨秋のチケット発売時に、勢いで買ってしまっていたこのコンサートのチケットを無駄にするのももったいないので、後ろ髪を引かれながらも、このコンサートに行くことにしました。日時がずれてくれたらいいのにねえ・・・。

 「クラシック日本人ピアニスト 史上最年少CDデビュー」というキャッチコピーが示すように、マスコミでも度々取り上げられている今話題のピアニストです。その牛田さんの新潟デビューを見届けることにしましょう。

 ここ数日、比較的過ごしやすい天候が続き、今日も晴れ間が見えたりして、心地よい日曜日になりました。今日は各ホールとも公演が重なり、駐車場も混雑していました。

 県民会館では幼児向けのキャラクターショーがあり、たくさんの親子連れで賑わっていました。りゅーとぴあに着きましたら、ホワイエに人があふれていました。

 ホールは老若男女でいっぱい。ほぼ満員の大盛況です。ピアノのコンサートで、これほどの人が入ったのは久しぶりじゃないでしょうか。最近の私の記憶にはありません。昨年のツィメルマンでさえ満席にならなかったというのに、この盛況は何?と、驚きは禁じ得ませんでした。

 牛田さんが登場して、開演です。子供っぽい容姿とは裏腹に、落ち着いた演奏です。じっと鍵盤を見つめ、しばし精神集中した後、少年から芸術家へと豹変します。この落ち着いた間の取り方には感心しました。

 演奏は期待に違わぬもの。音に透明感があり、ゆったりと情感を込めた演奏です。高音のクリアな輝きも良かったです。目を閉じて聴いていると、とても13歳の少年の演奏とは思えませんでした。激しいパッセージでは、華奢な体からは想像できないような力強い打鍵で、音量も十分でした。この年で、こんな演奏をするなんてと恐ろしさすら感じましたが、アンコールで子供らしさを演出し、ほっとさせてくれました。

 新潟デビューコンサートということで、小品を並べたプログラムでしたが、2時間以上のリサイタルをこなすなんて、やっぱりたいしたものと思います。会場に知人の顔がありましたが、すばらしかったと感動されていました。

 そういえば、中国の若手ピアニスト・牛牛(ニュウニュウ)のリサイタルが、2010年8月に、りゅーとぴあでありましたが、その時の年齢がやはり13歳。今日の牛田さんと同じ年齢です。「牛牛」と「牛田」、同じ牛同士ですが、客の入りは牛田さんの大勝。演奏も牛田さんの方が良かったかもしれません。

 CDやカレンダーの売れ行きも良く、終演後サイン会の長い行列ができていました。これほどまでの人気はどこからくるのでしょうか。可憐な容姿ということではなく、演奏の素晴らしさが心を打つものと思います。これからどのように成長されるのか、見守りたいと思います。
 

(客席:2階C2−9、3000円)