東京交響楽団 第69回新潟定期演奏会
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2012年1月15日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮: 秋山和慶
ヴァイオリン: セルゲイ・ハチャトゥリアン
コンサートマスター: グレブ・ニキティン
 



ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」

(休憩20分)

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61

 (ソリストアンコール)
 コミタス:アプリコット・ツリー






 

 
 

 さすがにこの時期は寒い日々が続いています。今日も雪模様で、うんざりです。

 今日は、1時からのロビーコンサートを聴き、その後某所に出かけ、再び開演に間に合うべくホールに戻りました。今日はベートーヴェンのみ。曲目に魅力はありませんが、久々の秋山さんの指揮ということで、楽しみにしていました。

 いつものように拍手の中楽員が入場。全員揃うまで起立して待ち、ニキティンさんが登場して一礼。これが新潟では当たり前ですが、東京や川崎ではそうでないというのは面白いところです。

 通常コンチェルトは前半で、交響曲は後半が普通と思うのですが、今日はいきなり田園です。秋山さんの指揮の下、美しい演奏を聴かせてくれました。ロビーコンサートで素晴らしい演奏を披露してくれた荒さんをはじめ、管楽器の各奏者は皆さん見事な演奏でした。
 演奏は奇をてらわないオーソドックスな田園で、新味は感じられず、個人的にはちょっと退屈というところでした。どこが悪いというところもないのですが、聴き飽きた感のある名曲ですから、プラスアルファが欲しかったように思います。

 後半はハチャトゥリアンのソロでヴァイオリン協奏曲です。黒シャツのハチャトゥリアンは繊細な透明感のある演奏で、音の美しさは特筆できると思います。力強さは乏しく、線の細さを感じましたが、技巧的には優れています。
 燃え上がるような熱い演奏とは裏腹の、今日の天候のような冷たさを感じました。聴く方にも精神的緊張を強いられ、聴いていて心地よい疲労感を感じました。

 これはこれで素晴らしい演奏であり、ブラボーの声も上がっていましたが、私としましては疲労感を感じすぎて、精神的高揚感が打ち消されたように感じました。

 アンコールも弱音の美しさが素晴らしかったですが、息を殺して聴くわけですので、さらに疲労感が増してしまいました。アンコールピースとしては静か過ぎる曲でしたが、演奏そのものは良かったです。こういう選曲をするのも自信の表れなんだと思います。若手のヴァイオリニストで、これだけ自分の世界を創り出しているというのは、すごいですね。今度はじっくりと単独のリサイタルを聴いてみたいところです。
 

(客席:2階C5-**、S席:定期会員、5500円)