2009 アンサンブル オビリー 室内楽演奏会 
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2009年6月7日(日) 14:00  長岡リリックホール コンサートホール
 
 
 

ロッシーニ:弦楽のためのソナタ 第4番 変ロ長調
       
(Vn1:太田玲奈、後藤はる香、Vn2:佐々木将公、加野晶子、Vc:片野大輔、Cb:星野勝彦)

ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 作品96 「アメリカ」
       
(Vn1:佐々木将公、Vn2:後藤はる香、Va:太田玲奈、Vc:片野大輔)

(休憩10分)

シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 D.667 「ます」
       
(Vn:後藤はる香、Va:加野晶子、Vc:片野大輔、Cb:星野勝彦、Pf:品田真彦)

(アンコール)
七つの子
茶摘み



(コンサートナビゲーター:若井道夫)
  

 中越地方を中心に活発な活動をしているアンサンブル・オビリーのコンサートです。昨年もこの時期に、三条、長岡、新潟で室内楽コンサートを開催しており、私は三条でのコンサートを聴いています。会場の問題もあって、必ずしも音色的に満足できなかった記憶がありますが、今年1月に聴いた見附での演奏に感動し、今回のコンサートも是非行きたいと考えていました。しかし、昨日の新潟での演奏会当日は山本さんのオルガン・リサイタルがあり、連続で行けないこともありませんでしたが、残念ながらチケットも完売になっていて、新潟でのコンサートは断念しました。そこで、ドライブがてら、わざわざ長岡まで出向いた次第です。

 昼に新潟を出て、昼食をとった後リリックホールに向かいました。ここは広い駐車場があり、無料なのが有りがたいです。コンサートホールは卵形で、小振りですが、室内楽にはちょうど良い、響きの良いホールです。
 当日券を買って入場し、中ほどに席を取りました。700席のホールですが、半分くらいの入りでしょうか。まずまずというところでしょう。ステージ上には竹で作られたモニュメントが飾られていました。客席後方にはテレビカメラが入っていました。

 コンサートは曲目の解説付きで、分かりやすく楽しめました。1曲目はロッシーニの弦楽のためのソナタです。ヴィオラが入っていない変則的な編成の曲です。初めて聴きましたが、なかなか美しい魅力的な曲でした。これをロッシーニは12歳のときに作曲したというのは驚きです。ホールの響きも美しく、演奏としては楽しめたのですが、細かい点では、2人ずつの第1、第2のヴァイオリンが揃わない場面があり、速いパッセージではバラバラになっていたのは残念でした。チェロ、コントラバスの鳴りの良さに比べて、ヴァイオリンの音は、アンサンブルの乱れもあって、線が細く感じられました。

 2曲目はドヴォルザークの「アメリカ」です。超有名曲ながらも新潟で聴く機会はなかなかありません。熱の入った素晴らしい演奏ではありましたが、第1ヴァイオリンの節回しに癖があり、他の人たちと噛み合わない面も感じられました。ヴィオラやチェロに比して、ヴァイオリンの音が弱いように感じ、バランスが良くなかったように思いました。でも、曲としては十分に楽しめました。

 休憩後の後半はシューベルトの「ます」です。このも「アメリカ」同様に超有名曲ですが、生で聴くのは、昨年9月のTOKI弦楽アンサンブル以来になります。前半に比べて、音色的には聴きやすかったように思います。演奏も良く、今日の演目では最も楽しめましたが、ピアノに軽快さがあったらもっと良かったように思いました。

 アンコールは全員が登場して、童謡が2曲演奏されました。これは素晴らしい演奏で、音色もきれいであり、文句のないものでした。始めからこういう音を出してくれればいいのになあ、とため息。

 総じて、細かいことを言えば、各楽器の音色が微妙に良くないように感じました。楽器のせいなのか、演奏のせいなのか、素人の私にはわかりませんが、そう感じました。全体のアンサンブルも微妙にずれていて、音色の濁りを感じる場面がありました。チェロ、コントラバスは良く鳴り、ホールに心地よく響いていました。ヴィオラもまずまずの音でしたが、ヴァイオリンは金属的な音色で、柔らかさが感じられなかったのが残念に思いました。実は昨年三条で聴いたときも同様な感想を持ったのですが、会場のせいもあるのだろうと考えていました。今回は音楽専用ホールですから、必ずしも会場の問題ではないことが分かりました。

 と、2500円の入場料を取るプロの音楽家として評価すると、難点が感じられましたが、新潟県でこれだけの演奏を聴けることはありがたいと思います。これからも、朝日酒造室内楽シリーズやピアノトリオシリーズなどが予定されており、益々の活発な活動に期待したいと思います。
 

(客席:11-21、全席自由、当日券:2500円)