東京交響楽団 第40回新潟定期演奏会
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2007年1月28(日)17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:大友直人
アルト・サクソフォン:須川展也
コンサート・マスター:大谷康子
 
細川俊夫:オーケストラのための「空の風景」(2006)ー東京交響楽団委嘱新作ー

(休憩10分)

イベール:アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲


 (
アンコール) スコットランド民謡「美しいドゥーン川のほとりにて」

(休憩15分)

シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43

 
 

 先週津軽三味線のコンサートに行きましたが、クラシックコンサートは今年初めてです。実は金曜日に能楽堂で行われたヴァイオリンとギターのコンサート(デュオ・プリマ+鈴木大介)に行くはずだったのですが職場の新年会と重なり、チケットは知人に贈呈してしまいました。もったいなかったですが、仕方ないですね。今日その知人からすばらしいコンサートだったと聞き、悔しさもひとしおです。

 真冬のはずなのに雪は全くなく、冬らしくありません。暖冬もここまでになると不気味です。日差しが心地よく、ジャケットだけでコートなしでホールに向かいました。開演前にチラシ集めをしましたが、やっぱりいいコンサートがありません。寂しいですね。

 さて、1曲目は東響のコンポーザー・イン・レジデンスの細川俊夫の新作です。当初発表されていた題名は「スカイスケープ(空の風景)」となっていましたが、今日配布されたプログラムの題名は「オーケストラのための「空の風景」(2006)」となっていました。ベルリンで作曲したとのことであり、初演は昨夜のサントリー定期でしたから、今日が2度目の演奏ということになります。
 中央に置かれたピアノの両側に、オケが2組左右に分かれて配置されました。本日のコンミスは大谷さん。新潟では抜群の人気であり、いちだんと大きな拍手が湧き上がりました。大友さんが登場して演奏開始です。
 静寂の中から音が徐々に左右に揺らぎながら大きくなっていきます。空にうつろう雲をイメージしたとのことであり、空気の流れを感じさせます。しかし、精神の集中は疲労感をもたらします。徐々に音が小さくなり、静寂の中に曲は終わりました。全くの無音を体験できるのは貴重な瞬間ですが、芸術を解せない無教養な私には、このような現代曲は試練に感じます。

 ここで10分間の休憩が取られ、ステージの模様替えが急ピッチで行われました。2曲目は小編成で、須川さんによるアルト・サクソフォンの協奏曲です。 
 弦5部は 8-6-4-3-2 の編成で、これにフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペットが各1加わります。弦5部と管楽器6種で11の楽器ということでしょうか。
 須川さんといえば、日本を代表するサックス奏者であり、私もCDを持っています。個人的には密かに楽しみにしていました。初めての曲でしたが、須川さんの好演もあり、期待通りに楽しむことができました。ただ、2楽章だけの短い曲だったのが残念でした。
 拍手に応えて、須川さんはアンコールに静かな小品を演奏してくれましたが、もっと聴きたかったというのが実感です。

 再び15分間の休憩が置かれ、またまたステージの模様替えがなされ、フル編成のオケの配置になりました。実はシベリウスはあまり好きではないのですが、有名な第2番は何とか馴染めます。この曲を実演で聴くのは、2004年のミッコ・フランク指揮ベルギー国立管弦楽団の公演以来です。第2楽章から第3楽章にかけては意識が薄れてしまいましたが、終楽章のすばらしさに我に返り、大いに感動しました。
 キビキビした大友さんの指揮ぶりに応える東響の演奏は乱れもなく、ダイナミックでした。管も弦も東響の実力を遺憾なく発揮したのではないでしょうか。最近では最高の演奏だったように思います。
 やっぱり、指揮者もさることながら、大谷さんが出演するときの東響は外れがないというのが実感です。途中眠りかけた私が言うのもなんですが、すばらしい名演でした。ホール内にブラボーの声がこだましていましたが、皆さんも満足できたのではないでしょうか。

 さすがに外に出るとコートなしでは肌寒かったですが、名演を聴いた後の足取りは軽く、シベリウスのメロディを口ずさみながら駐車場へと駆け足しました。これで、2006年度の新潟東響定期は終わりです。次年度からは年間6回に増えるので楽しみです。しかし、次の定期が5月までないのは寂しいです。もっとも、3月に政令都市移行記念の「にいがた祝祭コンサート」で東響を聴くことができますけど。
 

(客席:2階C5-35、S席:定期会員 4800円)