津軽三味線 小林史佳 撥からの挑戦
            
〜弦楽四重奏とのコラボレーション〜
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2007年1月21日(日)14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
津軽三味線:小林史佳
Vn1:阿部奈穂子 Vn2:生田絵美 Vla:阪本奈津子 Vc:村田真紀子 パーカッション:和田 啓
 
 
1.三味線じょんがら  
2.十三の砂山(編曲:和田啓):三味線+弦楽四重奏+パーカッション
3.津軽三下が(編曲:和田啓):三味線+弦楽四重奏
4.津軽あいや節
5.津軽じょんから新節:三味線+パーカッション

(休憩15分)

6.三味線よされ
7.ROOTS 〜tabibito〜 (作曲:Fumiyoshi、編曲:和田啓)
                     :三味線+弦楽四重奏+パーカッション
8.ダブルスコープ(作曲:和田啓):三味線+弦楽四重奏+パーカッション
9.津軽音頭
10.じょんから中節
11.即興曲

(アンコール)
津軽よされ節

 
 

 昨年末から今年に入って、新潟ではめぼしいコンサートが全くありません。子供向けのコンサートがあった程度で、例年のウインナワルツの公演もなく、全く寂しい年明けでした。各ホールの公演予定もガラガラであり、政令都市になろうという新潟の現状がこのありさま。元気のない新潟を象徴するように思われます。

 来週の東響定期まで待ちきれず、今日は津軽三味線のコンサートに出向きました。真冬とは思えない快晴の空の下、りゅーとぴあに着くと、ものすごい人だかりでした。それもご高齢の方々ばかり。今日は劇場では桂三枝の公演、能楽堂では文楽のミニ講座があり、コンサートホールではこの津軽三味線の公演と、どれも客層は中高齢者ばかりでした。全席自由席なので、開場待ちの行列ができていましたが、これだけ中高年が並んでいると圧巻です。当日券を買い求め、私もその行列に身を投じましたが、かく言う私も立派な中年オヤジなのでありました。

 開場すると皆さんは1階席へと向かって行きましたが、私はいつもの2階Cブロックに席を取りました。だんだん混み出して、3階席は開放されませんでしたが、1階席、2階席の使用された客席はほぼ満席の大盛況となりました。
 小林さんは新潟市出身の三味線演奏家で、かの高橋竹山の流れをくみます。調べましたら、私の高校の後輩のようです。CDを出したり、活発な活動をしています。今回は弦楽四重奏との共演ということで期待されました。

 スポットライトの中、三味線独奏で演奏開始です。三味線の演奏会にしてはホールが大きすぎるのではないかと心配しましたが、杞憂に終わりました。三味線の音は残響豊かなホールにこだまし、十分な音量で胸に迫まりました。2曲目から弦楽四重奏とパーカッションが加わりました。三味線と和太鼓なら想像できますが、三味線と弦楽四重奏というのは合わないような気がしましたが、きれいな音色で絶妙のハーモニーを聴かせてくれました。まさに東洋と西洋の融合。全く違和感を感じさせず、三味線の魅力を引き出させていました。

 後半も最初は三味線独奏で開始されましたが、その後弦楽四重奏とパーカッションが加わってオリジナル曲が2曲披露されました。現代的な洗練された曲の中に、津軽三味線のエッセンスが織り込まれた佳曲でした。最後は三味線独奏3曲で締めくくられました。三味線の曲弾きで、抜群のテクニックを披露し、観客を魅了しました。アンコールを演奏してコンサートは終わりました。

 小林さんの解説を交えながらの演奏は全く飽きさせず、津軽三味線のすばらしさ、奥深さを体感させてくれました。小林さんのトークもうまく、メジャーな演奏家として花咲く予感を感じさせました。2月にはウィーンとバルセロナで公演するといいます。今後の活躍に期待したいと思います。
 

(客席:2階C2-31、自由席・当日券:3000円)