東京交響楽団 第2回新潟定期演奏会
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1999年6月27日  新潟市民芸術文化会館コンサートホール
 
指揮:秋山和慶
ピアノ:中村紘子
 

 
矢代秋雄:ピアノ協奏曲 (ピアノ:中村紘子)

(休憩)

メシアン:トゥーランガリラ交響曲

               (ピアノ:藤井一興、オンド・マルトノ:原田 節)



 

 
 
 第1回の新潟定期演奏会は聴きそびれてしまいましたので、今度ばかりはとスケジュール調整して駆けつけました。当日中に東京に帰るためか夕方5時からの開演です。コンサート終了後にゆっくり食事ができるので、こちらとしても好都合です。
 新潟定期演奏会は、前日東京で行った定期演奏会の内容をそのまま新潟に持ってきたもの。従って、曲目も通常のパターンとひと味違ったものになっています。
 今回は、「師弟の絆」という副題が付けられた地方としてはなかなか聴けない渋い演目です。メシアンとメシアンに師事した矢代秋雄の曲を並べたというのがその趣旨。また、ピアノの藤井一興もメシアンに師事しています。

 さて、会場に駆けつけると、プレコンサート・トークということで、ステージ上でオンド・マルトノという奇妙な楽器の解説をしている最中でした。大がかりな割にはか細い音の楽器です。たしかロシアで手を空中で動かしながら似たような音を出す楽器があったよなあとふと思い出すが、名前は思い出せない。(テルミンでしたね) 昔のラジオはチューニングするときあんな音がしたよなあ、と感慨に耽りました。

 1曲目、中村紘子さんが真っ赤なステージ衣装で登場。矢代秋雄のピアノ協奏曲です。中村さんのために作曲されたそうで、初演者も当然中村さんです。
 とは言っても私にとっては初めての曲。現代曲は精神集中を強いられるので苦手です。透明な、澄んだ音がホールに響き渡ります。曲の理解ができないときは音を聴こう。と心地よい緊張感を維持しているとき、とんだ邪魔が入りました。
 第1楽章が終わり咳払い休止のときに、遅刻した客が数十人もぞろぞろとご入場。ハイヒール音の軽やかな淑女もいらっしゃいました。せっかくの緊張の糸がプツンと途切れてしまいました。
 不安・緊張感を湧き起こすはずの第2楽章の出だしが台無しです。最初のピアノの単音の繰り返しを調律をしているのかと一瞬思ってしまいました。ともあれ、初めて聴くので名演かどうかはわからないのですが、なかなかの曲なんだろうとは思えました。これで中村紘子あんの演奏は終わりというのはちょっと残念でした。

 そして後半は長大なメシアンです。学生時代に小澤征爾のLPを買ったのですが、ほとんど聴いたことがありません。家では雑念が多く、煩悩だらけの私は、80分間緊張感を維持しながら聴き通すことは不可能です。コンサートでしか聴くことはないと思います。また、コンサートでも度々やるような曲でもないですし、全曲一気に聴くことは今後もうないかも知れません。
 全10楽章ですが、途中で今何楽章なのか分からなくなってしまいました。また、心ない聴衆の携帯の着信メロディは興ざめでした。
 オンド・マルトノにはもっと活躍してもらいたかったです。ピアノは大活躍。ということで、神経をすり減らしながら「芸術」を味わいました。ゲージツは疲れるなあ、と思ったところで、フィナーレの大音響でストレス解消と相成りました。

 私にとって音楽は、芸術だの精神性だの言う前に娯楽です。そう考える私には、いささか疲れたコンサートでしたが、たまにはこういう心地よい疲労もいいものだと思えました。きっといい演奏だったんだろうなあ。