筋ジストロフィーの正しい理解のために 


注意:
内容は古くなりました。遺伝子治療が始まるなど、筋ジス研究は年々進歩しています。
このテキストの内容は参考に止めてください。
     


 進行性筋ジストロフィー(Progressive muscular dystrophy:PMD)とは、「骨格筋の変性・壊死を主病変とし、進行性の筋力低下をみる遺伝性の疾患」です。筋線維は進行性に失われ、筋肉はやせ(筋萎縮)、筋力は低下します。乳幼児期から発症した場合は、発達障害として気付かれます。
 筋ジストロフィーを略して、しばしば「筋ジス」と呼んでいます。筋ジストロフィーと言っても、実は様々な病型の総称であり、遺伝の仕方、発症時期、進行の早さ、寿命もいろいろであるため、遺伝的、 臨床的な違いから種々の病型に分類されています。
 このような進行性の筋萎縮・筋力低下を来す原因としては、筋ジストロフィー以外にも様々な病気があります。筋肉そのものに原因がある場合(筋原性)のほか、筋肉そのものには異常はありませんが、筋肉に脳からの命令を伝える運動神経系に異常があって筋肉が働けず、二次的に筋萎縮・筋力低下を来す場合(神経原性筋萎縮症)があります。筋ジストロフィーは、そのうち筋原性疾患の代表です。(→進行性の筋萎縮を来す疾患) 
 厳密には筋ジストロフィーは、遺伝性の筋自体の原因による筋肉病(ミオパチー)で、筋線維の変性・壊死、線維化、再生といった特有の病理像を示し、他の筋肉病や神経原性疾患と区別しなければなりませんが、臨床症状では必ずしも区別できないことも多く、これらの進行性の筋萎縮・筋力低下を示す類似の疾患を含めて、広く「筋ジス」とか「進行性筋萎縮症」と呼ぶことが多いです。

 

1.遺伝の基礎知識

2.筋ジストロフィーの診断

3.筋ジストロフィーのいろいろ

4.筋ジストロフィー研究の進歩

5.筋ジス治療の進歩と問題点

6.筋ジス医療の現状

7.おわりに


このテキストについて

(最終改訂2003/12/14)