3. 筋ジストロフィーのいろいろ




 単に筋ジストロフィーといっても、様々な病型が存在し、遺伝形式、臨床症状、経過もそれぞれに異なります。分類の仕方もいろいろですが、類縁疾患も含め、遺伝形式による分類の一例をに示します。
 先天性ミオパチー、ミトコンドリアミオパチー、代謝異常によるミオパチーなどは、学問的には筋ジストロフィーとしては分類されませんが、臨床的には類似し、区別できないため、ここでは筋ジス類縁疾患として同列に掲げます。

 診断は、臨床症状、診察所見、経過、家族歴(遺伝歴)の他、血液検査、筋電図検査(筋肉の電気活動を記録する)、筋生検(筋組織を採取して顕微鏡で調べる)などを総合してなされます。病型によっては、遺伝子検査で確定診断可能な場合もあります。
 また血液検査では、CK、LDH、GOT、GPTなどの筋細胞由来の酵素が高値となるため、ちょうど肝臓病で異常が出る項目と類似し、「肝炎」「肝機能障害」などと診断されていることもあります。

 病気の遺伝・治療を論ずるときには、筋ジスのどの病型に当たるか詳しく検討することが重要ですが、福祉サービスの享受という点では、遺伝性あるいは先天性の進行性筋萎縮性疾患は、筋原性であれ、神経原性であれ、「進行性筋萎縮症」として同列に考えるべきものと思われます。



主な筋ジストロフィーおよび類似疾患

1.Duchenne型筋ジストロフィー

2.Becker型筋ジストロフィー

3.肢帯型筋ジストロフィー

4.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー

5.福山型先天性筋ジストロフィー

6.筋強直性ジストロフィー

7.遠位型ミオパチー

8.眼咽頭型筋ジストロフィー

9.エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー

10.先天性非進行性ミオパチー

11.ミトコンドリアミオパチー

12.代謝性筋疾患

13.遺伝性の神経原性筋萎縮症

14.鑑別を要する進行性筋萎縮症