東京交響楽団特別演奏会 X ブロードウェイ IT'S SHOW TIME!
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2025年6月29日(日)17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:原田慶太楼
特別ゲスト・歌:シルビア・グラブ
コンサートマスター:小林壱成
 
カンダー(大橋晃一編):ミュージカル「シカゴ」より《All that Jazz》

ハーライン(大橋晃一編):映画「ピノキオ」より《星に願いを》

チャイコフスキー:バレエ音楽「眠りの森の美女」より 《ワルツ》
メンケン(大橋晃一編):映画「美女と野獣」より《Beauty and the Beast》


スタイナー(キャンベル―ワトソン編):
        映画「風と共に去りぬ」より《タラのテーマ》
ハマースタイン(ベネット編):
        ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」セレクション

(休憩20分)

シフリン(カスター編):映画「ミッション・インポッシブル」テーマ

アドキンス&エプワース(レッドフォード編):
        映画「007スカイフォール」より《スカイフォール》

ガーシュウィン:「ガール・クレイジー」序曲

ソンドハイム(大橋晃一編):
        ミュージカル「イントゥ・ザ・ウッズ」より《No One is Alone》

バーンスタイン(メイソン編):
        ミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」セレクション

(アンコール)
カンダー:《ニューヨーク・ニューヨーク》


[歌]シルビア・グラブ
 

 今日は東京交響楽団の定期演奏会とは別の特別演奏会です。昨年は「ジョン・ウィリアムズ大作戦!」と題して映画音楽界のレジェンド・ジョン・ウィリアムズの名曲の数々が演奏され、大きな感動をいただきましたが、今年は「IT'S SHOW TIME !」というテーマで、ブロードウェイ作品を中心としたプログラムが組まれています。
 指揮者は、この手の公演にはぴったりの原田慶太楼さんということで、盛り上がり必至です。原田さんの新潟での指揮は、昨年8月の「オーケストラはキミのともだち」以来10か月ぶりになります。
 そして、特別ゲストとして迎えるのはシルビア・グラブさんです。グラブさんはミュージカルを中心に活動されていますが、その歌を生で聴かせていただくのは今回が初めてです。名前だけ拝見しますと外国の方に思えてしまいますが、父がスイス人、母が日本人で、夫が高嶋政宏さんということを伺いますと親近感がわいてきます。
 
 チケットは、昨年同様に東響新潟定期会員向けの割引チケットのバリューパックを申し込みました。この公演を含めての3公演をS席エリアで1万円というものでしたが、日時や内容を考えないまま、定期会員更新の勢いで申し込んでしまいました。ともあれ、予定を調整して何とか行くことができ良かったです。

 昨日の公演の記事をまとめるのに時間がかかって、サイトにアップしたのが昼頃になってしまいました。ゆっくりと昼食を摂り、時間を調整して家を出ました。
 昨日のような青空ではなく、薄い曇り空の中に車を進め、いつもの白山公園駐車場に車をとめました。県民会館を覗いてみますと、某音楽教室のピアノ発表会が行われていて、着飾った子供たちとその親御さんが多数おられました。子供の晴れ舞台を楽しまれているものと思います。
 りゅーとぴあに入りますと、スタジオAでは昨日に引き続いてのピアノコンクールが行われていましたが、昨日よりは年長のようであり、中学生くらいでしょうか。

 時間がありましたので、外を散策し、爽やかな空気を味わいました。館内に戻りますと既に開場が行われており、直ぐに入場しました。
 入口付近では正装した廣岡団長や女性スタッフが出迎えてくれて、特別感を演出していました。その横にはブロードウェイの雰囲気を模したフォトスポットが設けられ、写真撮影をする人で賑わっていました。ホワイエから3階への階段はレッドカーペットのように赤く装飾されて、ゴージャスな雰囲気を感じさせ、ここもフォトスポットとなっていました。

 開演前の熱気に溢れるホワイエを後にしてホール内に入り、1階の席に着いてこの原稿を書きながら開演を待ちました。
 バリューパックの場合は席は選べませんが、与えられた席は1階席後方の中央で、一般的には最上の席と言って良いでしょう。いつもは2階正面で聴くことが多いので、新鮮な感じを受けました。
 客の入りとしましては、ほどほどでしょうか。いつものことですが、B席・C席といった安価な席はかなり埋まり、特にPブロックはほぼ埋まっているのに比して、それ以外の空席とのアンバランスさが目に付きました。
 ステージの両脇にはPA用の大型スピーカーが設置され、右にはピアノとチェレスタ、ハープが設置されていました。オケの配置は対向配置です。ステージ後方は赤い照明で照らされていて、定期演奏会とは違った特別感を演出していました。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場し、最後にコンマスの小林さんが登場して大きな拍手が贈られました。弦は14型(14-12-10-8-6)の対向配置で、コンマスの横は田尻さんです。

 原田さんが登場して、指揮台に上がるや否や、まだ拍手が止まないうちにオーケストラの演奏が始まりました。シルビア・グラブさんが登場して、原田さんの掛け声とともに、1曲目は「シカゴ」から「All that Jazz」です。
 ゴージャスなオーケストラサウンドとともに圧倒的な存在感で歌われ、あっというまにホールはブロードウェイの劇場の雰囲気になりました。(もちろん行ったことはありませんが)

 ここで二人による挨拶とトークがありましたが、グラブさんはりゅーとぴあは今回が初めてだそうです。曲目紹介の後、3曲続けて演奏されました。
 まずは「星に願いを」で、フルオーケストラをバックに、ディズニーを代表する名曲をしっとりと情感豊かに歌いました。
 グラブさんがステージを去り、「眠りの森の美女」のワルツが演奏されましたが、大きくテンポ・強弱を揺り動かしたポップスコンサート仕様の演奏で楽しませてくれました。
 そしてグラブさんが再登場して「美女と野獣」から名曲の「Beauty and Beast」が歌われましたが、ピアノとチェレスタが良い味付けをして、感動を誘いました。

 グラブさんが去って、曲目紹介の後「風と共に去りぬ」の「タラのテーマ」が壮大に演奏されましたが私が好きな編曲とはちょっと違いました。
 そして誰もが知るミュージカルの「サウンド・オブ・ミュージック」からのセレクションは、お馴染みのメロディが次々とメドレーで演奏されました。ドレミの歌では原田さんの指示でみんなで歌い、盛り上がって拍手が入りましたが、原田さんが制止して演奏が続きました。アルプスの山を登るように次第に盛り上がり、ホールにしっとりとした感動をもたらして前半のプログラムは終了しました。

 休憩後の後半は、原田さんがクリーム色のスーツに着替えて登場し、「ミッション・インポシブル」のテーマを格好よく軽快に演奏しました。

 衣装替えしたグラブさんが登場してトークが行われましたが、作曲したラロ・シフリンは3日前に亡くなったそうですね。数々の名曲を残してくれたことに感謝したいと思います。

 曲目紹介の後、スパイもの続きで「007」シリーズから「スカイフォール」が最初はピアノとともに歌われ、その後オケが加わって盛り上がりました。
 グラブさんが下がって、ガーシュウィンの「ガールクレイジー」序曲が演奏されましたが、「アイ・ガット・リズム」のメロディが流れ、まさにガーシュウィンというような古き良き時代のジャジーな空気感を味わいました。

 グラブさんが再登場してトークがあり、その間に椅子が用意され、好きな曲で是非とも歌いたいと思っていたという「イントゥ・ザ・ウッズ」から「No One is Alone」を、椅子に座って情感豊かに歌って、しっとりとした感動を誘いました。
 グラブさんが下がって椅子が片付けられ、最後はブロードウェイ・ミュージカルの代表ともいえる「ウエスト・サイド・ストーリー」からのセレクションをメドレーで演奏して、バーンスタインが遺した名曲の数々を楽しませてくれました 
 「クール」では原田さんから指鳴らしの指示がありましたが観客は拍手で参加しました。「アメリカ」で大きく盛り上がって興奮を誘い、ブロードウェイ・ミュージカルの雰囲気をたっぷりと味合わせてくれて予定のプログラムは終わりました。

 大きな拍手に応えて、黒い妖艶なドレスに着替えたグラブさんが登場して、「ニューヨーク、ニューヨーク」を楽しくゴージャスに歌い、グラブさんは1階席を一周して観客を沸かせました。最後はオケのメンバー全員が起立して演奏し、ホールの照明が明るくなって、興奮と感動の中に終演となりました。さらにアンコールを期待しましたが、小林さんが礼をして解散となりました。

 原田さんのノリノリの指揮に応えた東響の素晴らしいパフォーマンス、そしてグラブさんの素晴らしい歌声によって、コンサートホールはブロードウェイの劇場となりました。まさに「SHOW TIME」を気兼ねなく楽しませていただきました。たまにはこういうプログラムも良いですね。

 原田さん率いる東響の魅力を再確認し、そしてミュージカルの世界を堪能させてくれたグラブさんに感謝し、気分も明るくホールを出ました。
 

(客席:1階13-31、S席:バリューパック:¥4700)