今日は、2024年度のシーズン最後を飾る東京交響楽団第140回新潟定期演奏会です。前回の第139回新潟定期演奏会は昨年の10月6日でしたので、実に5ヶ月半も間が空いてしまいました。
逆に他公演の間隔は狭まることになり、第138回は9月15日 第139回は10月6日と、この間はわずかに3週間しかありませんでした。
東響との日程調整もあるのでしょうが、最近こういうアンバランスなパターンが定着しており、関係者の配慮のなさを嘆かずにいられません。
今回は「春の第九」というキャッチフレーズで、ベートーヴェンの「第九」が演奏されます。「厳しい新潟の冬を乗り越えて芽吹きの春を迎える3月にはぴったりな曲目」とのことですが、どうして3月のこの時期に「第九」を聴かなければならないのかと疑問に思い、不満に感じましたが、定期会員ですので、聴くしかないとあきらめました。
当初予定されていた指揮者は、2018年3月の第106回新潟定期演奏会以来、実に7年ぶりとなる桂冠指揮者の秋山和慶さんということで、これが唯一の楽しみでした。
しかし、ご存知のように秋山さんは2025年1月26日に急逝され、新潟への来演はかないませんでした。秋山さんのご冥福をお祈りし、新潟の地に数々の名演を届けてくださいましたことに感謝申し上げたいと思います。
代演の指揮者は藤岡幸夫さんとなり、チラシも差し替えられました。藤岡さんは、毎週土曜日朝にBSテレ東で放送中のエンター・ザ・ミュージックを毎週観ていますので、すっかりお馴染みです。
新潟では、2022年12月の第129回新潟定期演奏会で、フォーレのレクイエムのラター校訂版やラヴェルの名曲を演奏し、その感動が忘れられません。
今回は、残念ながら曲目に新鮮味がなく、魅力を感じませんが、藤岡さんが、にいがた東響コーラスとともに、どのような演奏を聴かせてくれるか楽しみにしたいと思います。また、ソプラノに新潟が誇る歌姫・鈴木愛美さんが出演されますので、これにも期待したいと思います。
春分の日が過ぎて気温が上がり、暦通りに春がやって来ました。今日も朝から青空が広がって、爽やかな日曜日になりました。早起きして、苦労しながら昨日の演奏会の記事を書き上げてアップし、ひと息つきました。
当初の予定では、12時からの東響ロビーコンサートを聴き、その後昼食を摂り、だいしほくえつホールに移動して14時半からの新潟サクソフォーン協会の演奏会を聴き、大急ぎでりゅーとぴあに戻って定期演奏会に臨むということをもくろんでいましたが、このところ疲労がたまっており、強行スケジュールは断念し、夕方からの定期演奏会一本に集中することにしました。
ゆっくりと昼食を摂り、体を休めて15時過ぎに家を出ました。白山公園駐車場に車をとめて、好天に誘われて、信濃川の河畔を散策しました。
川面を吹き渡る風も清々しく、春の訪れを実感しました。雄大な信濃川の流れを眺めていますと、心が癒されるように思います。
こんなロケーションにあるりゅーとぴあは素晴らしいですね。白山公園から信濃川まで、一体化した環境は全国に誇るべきものだと思います。
りゅーとぴあに入りますと、既に開場が進んでいましたので、私も入場しました。受付で配布されたプログラムは、1月と3月の公演をまとめたものでした。指揮者は秋山さんのままになっていて、藤岡さんに変更になった部分は紙片が挟み込まれていました。プログラムに掲載された秋山さんの写真を眺め、あらためて秋山さんの功績に思いを馳せました。
今日は休憩なしとの案内がありましたので、用を足して席に着きますと、ちょうど恒例のプレトークが始まるところでした。
榎本さんと廣岡団長とのトークに、ステージマネージャーの山本聡さんが呼び出され、ステマネの仕事についてなどの楽しいお話がありました。
ステージを見渡しますと、後方に合唱団席が設置され、その前に独唱者用の椅子が4つ並んでいました。オーケストラは規模が縮小されて、ステージ前方に密集するように配置され、ティンパニ・打楽器は、ステージ前方の左に設置されていました。
開演時間となり、私のすぐ近くの席に廣岡団長が着席されました。拍手の中に団員が入場し、全員揃うまで起立して待ち、最後に今日のコンマスの田尻さんが登場して大きな拍手が贈られ、チューニングとなりました。弦の配置は通常の配置で、弦5部は、私の目視で11-10-8-6-5
のようでした。
アシスタントコンサートマスターを長らく努められていた田尻さんは、2024年4月からコンサートマスターに昇格しましたが、新潟定期では、今回がコンマスとしての初仕事となります。
藤岡さんが登場して、1曲目はべートーヴェンの「エグモント」序曲です。聴く機会の多い曲ですが、曲の冒頭の低弦によるメロディの響きが、小編成の弦楽とは思えない重厚さがあって、最初から魅了されました。
藤岡さんの曲作りによるのでしょうが、緩急を大きく揺らせて、明るく生き生きとした演奏は、メリハリがあって、躍動感に溢れて気分爽快でした。田尻さんが率いる弦楽の切れの良いアンサンブルに魅了され、今日の天気のような、春の喜びを感じるようでした。
ここで合唱団が左右からステージ後方に入場して着席し、オケの増員メンバーも席に着きました。藤岡さんが登場して、いよいよベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付」です。
ホルンと共に、霞立つような弦楽の響きで演奏が始まりましたが、その後は、力強く、速めに、元気よく演奏が進みました。少し乱暴にも思えるほどに、躍動感とエネルギー感に溢れ、個性的な独特なアクセントの付け方は、藤岡節とでも言えましょうか。
ティンパニがステージ左前方に配置されていて、小編成のオケ以上に力強く鳴り響いていました。猛スピードで駆け抜ける爆速の演奏であり、こんなにも荒れ狂う演奏は初めてのように思います。
正直申し上げれば、毎年年末に新潟交響楽団と新潟第九合唱団の演奏を聴いていて、それに慣れてしまっており、プロによる熱い演奏に圧倒されたと言うべきかもしれません。
第2楽章も同様にスピーディに突き進みました。やはりティンパニが鳴り過ぎに思いましたが、歯切れのよい躍動感に溢れる演奏は心地よく感じました。
ここで拍手の中に4人の独唱者が入場し、オケの後方、合唱団の直前の席に着席しました。鈴木さんは真っ赤なドレス、郷家さんはシルバーのドレスでした。
第3楽章は、さすがにゆったりと歌わせました。美しいアンサンブルで魅了し、天上の世界へと誘われるように、うっとりと聴き入りました。
そして、アタッカで第4楽章へ。低弦の力強い響きに導かれて演奏が進みました。この迫力が演奏の芯となり、気分を高めました。
合唱団とバスが立ち上がって、いよいよ聴きどころです。合唱団も独唱者も楽譜なしです。バスが力強く歌い、鍛え込まれた合唱団がパワーに満ちながらも透明感のある歌声で魅了しました。決して人数が多いわけではありませんが、オケと互角に対峙し、ときに圧倒し、熱くて厚い歌声がホールいっぱいに響きました。
行進曲の場面の大太鼓の響きは私好みで理想的でした。腹に響く低音が心地良かったです。この行進曲を爆速に飛ばしました。その後も早めに、軽快に突き進みました。合唱団の美しいハーモニーは素晴らしく、にいがた東響コーラスの水準の高さが伺われました。
藤岡さんがどんどんとオケを煽り、それに応えたオケはスピードを上げて、興奮と感動のフィナーレへと燃え上がりました。
合唱団の頑張りに比して、独唱陣では、テノール、バスは存在感がありましたが、ソプラノとアルトは目立ちませんでした。鈴木さんはコンディションが良くなかったように感じられましたが、いかがでしたでしょうか。
ともあれ、私好みのスピードで、快適に走り抜け、胸を高鳴らせてくれました。少々荒っぽさも感じましたが、藤岡さんにドライブされて、熱い演奏を聴かせてくれた東響の皆さんを称賛したいと思います。
メンバーは客演が多いようで、必ずしもベストメンバーではなかったように推察しましたが、素晴らしいパフォーマンスでした。
「春の第九」なんて聴きたくないなあ、もっといいプログラムはないのかなあ、と不平・不満を感じながら臨んだ演奏会でしたが、終わってみれば大きな感動をいただき、2024年度の最後を飾る演奏会としては良かったかなと思いました。
終演時間は早く、もう1曲くらいサービスで、アンコールがあっても良かったかなと思いました。なお、カーテンコールは写真撮影可とのことでしたので、撮影させていただきました。
いい音楽に接した喜びとともに外に出ますと、日中の暖かさが残っていて、気持ちよく感じられ、晴れやかな気分で家路に着きました。
(客席:2階C**-**、S席:定期会員¥6100) |