新潟チェロアンサンブル第19回定期演奏会
  ←前  次→
2024年5月12日(日) 14:00 新潟市江南区文化会館
指揮:舘野英司
 
ビートルズ:Golden Slumbers〜Carry That Weight〜The end
ビートルズ:Michelle
ビートルズ:Something
宮下秀樹:エール・マーチ
ミロスラフ・スコリク:メロディ

(休憩10分)

ロッシーニ:ウィリアム・テル序曲
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68「田園」第1楽章

(アンコール)
チャイコフスキー:アンダンテカンタービレ

 今日は所用があり、コンサートに出かける予定はなかったのですが、所用が早く終わり、時間ができましたので、急遽このコンサートに行くことにしました。
 新潟チェロアンサンブルは、新潟市および近郊のチェロ愛好家を中心に、初心者からオーケストラ経験者まで、幅広い年齢層のメンバーが集まって、舘野英司先生の指導を受けながら活動しており、毎年この時期に無料の演奏会を開催しています。
 私がこの演奏会を聴かせていただくのは、2008年4月の第4回定期演奏会、2014年5月の第10回記念定期演奏会以来、10年ぶり3回目となります。
 これまでは新潟市音楽文化会館で開催されてきましたが、改修工事のため休館中であり、今回は江南区文化会館で開催されました。

 軽食を摂り、13時過ぎに家を出て、バイパス経由で19km、信号4つで、20分ほどで到着できました。ここは、広い駐車場があり、無料ですので、車で行くには、私にとりまして、一番便利なホールです。
 館内に入りますと、ちょうど開場が始まったところであり、ホールに入場して、中ほどに席を取りました。開演時間が近付くに連れて、客席は次第に埋まり、それなりの集客となりました。
 出演者の体調不良により、予定していたソッリマの「チェロよ、歌え!」が、スコリクの「メロディ」に変更になったとのアナウンスがありました。

 開演時間となり、拍手の中に、23人のチェロ奏者が入場。コンマス席は大石さんでしょうか。舘野さんが、杖をつきながら、ゆっくりと登場して、椅子に座って開演しました。

 最初は、ビートルズの3曲が続けて演奏されました。1曲目は「Golden Slumbers〜Carry That Weight〜The end」がメドレーで演奏されましたが、アマチュアならではの不安定さが感じられました。ゆっくりと演奏が進み、メロディラインがはっきりせず、今どの曲なのか分かりにくかったですが、これだけ大人数でのチェロ合奏を聴く機会はなく、ふくよかな響きを楽しみました。
 2曲目は「Michelle」でしたが、ソフトなチェロの厚い響きが、ゆったりと、微妙にずれながらカスケードサウンドを作り出し、快いサウンドで楽しめました。
 3曲目は「Something」でしたが、聴く方の耳も慣れてきて、ゆったりとした演奏が気持ち良く感じられ、曲としても楽しめました。

 4曲目は、新潟の作曲家・宮下秀樹先生による「エール・マーチ」です。曲の良さもありますが、編曲が良くて、マーチの明るさや軽快さも感じられて、十分に楽しめる演奏に仕上がっていました。

 ここで、団員のフォーメーションが大きく変わり、5曲目は、ウクライナの作曲家・スコリクの「メロディ」です。初めて聴く曲でしたが、美しいメロディがしっとりと心に迫ってきました。アンサンブルの微妙なずれが、音楽の絶妙なうねりとなって、泣き叫ぶような高音の響きとともに、心を揺らす音楽を創り出していました。

 短い休憩があって、拍手の中に団員が入場。舘野さんがゆっくりと登場して椅子に座って、後半最初は、「ウィリアム・テル」序曲です。
 コンマスの大石さんのソロに始まり、少人数のアンサンブルが加わって、序奏が演奏され、その後に全員合奏となりました。オーケストラ曲をチェロだけで演奏するのですが、緊張感のある聴き映えする演奏で、前半のビートルズで感じた不安定さは影を潜め、曲を楽しめました。
 緩徐部をゆったりと歌わせ、そして、軽快なマーチへ。生き生きとした音楽が生み出され、感動と興奮を誘いました。管楽器も打楽器もないにも関わらず、フルオーケストラを聴いたかのような、充実した演奏でした。

 次は、ベートーヴェンの「田園」の第1楽章です。交響曲をチェロアンサンブルに編曲するのも大変だと思いますが、いくつものパートに分かれた複雑なアンサンブルで、見事に演奏してくれました。
 当然ながらアマチュアとしての不安定さは垣間見えましたが、美しいと感じさせる場面も多くあり、十分に「田園」を聴いたという満足感を感じることができました。

 大きな拍手が贈られて、カーテンコールとなるはずでしたが、舘野さんの移動を考慮して、退場することなく、アンコールとなりました。
 アンコールは「アンダンテカンタービレ」で、ゆったりと郷愁を漂わせながら、しっとりとした音楽を聴かせてくれました。舘野さんが退場し、コンマスが一礼して解散となり、終演となりました。

 アマチュアのチェロ愛好家の練習成果の発表会ですので、演奏の質やアンサンブルの精度を求めるのは筋違いでしょうが、十分に演奏を楽しませていただきました。
 23人ものチェロの合奏は、この演奏会でしか聴く機会はなく、貴重な演奏会でした。これからまた来年の演奏会に向けて、練習を積み、チェロの演奏を楽しまれることと思います。今後のご発展をお祈り申し上げます。

 
(客席:10-10、無料)