2010年〜2017年まで、新潟市では、春にラ・フォル・ジュルネ新潟というクラシック音楽の祭典が、りゅーとぴあを中心に開催されていました。あの頃の賑わいが懐かしく思い起こされます。
このラ・フォル・ジュルネ新潟が活気を見せていた時期に、クラシック音楽の祭典に対抗して、新潟発の和の祭典として始まったのがアート・ミックス・ジャパンです。2013年に初開催され、私も参加させていただきました。回を重ねて、今回は10回目になります。
記念すべき10周年のアニバーサリーイヤーを祝い、今年は過去最大のスペシャルプログラムを届けるとのことでしたが、確かに魅力的なプログラムが並んでいます。しかし、チケットがそれなりに高額であり、いくつもの公演をはしごして楽しむ余裕がありませんので、今回は、比較的安価ながらも魅力的な、胡弓の公演を聴かせていただくことにしました。
今週末の新潟は、天候に恵まれて、清々しい春の陽気となりました。桜は満開となり、行楽地は賑わいを見せていることでしょう。
今日も朝から晴れ渡り、快晴の土曜日となりました。掃除・洗濯、ネコのトイレ掃除、カメの水替え、ゴミ出しと、いつものルーチンワークをこなして午前を過ごしました。
デパートに買い物に出かけた暴君を見送って、簡素な昼食を摂り、駐車場の混雑を予想して、早めに家出て、りゅーとぴあへと向かいました。
しかし、駐車場ばどこも満車。仕方なく、遠くのコインパーキングに車をとめて、古町通りを歩いてりゅーとぴあへと向かいました。いつもは閑散としている古町通りも、人通りがあって、活気に満ちていました。
白山神社は春祭りが開催中でした。多数の露天が立ち並んで大賑わいで、混雑の中を通り過ぎるのも大変でした。白山公園の空中庭園も花見客で混雑しており、シートを広げたグループで、隙間もないほどでした。
やすらぎ堤まで足を伸ばして散策しましたが、ここもたくさんの行楽客で賑わっていましたました。川面を吹き渡る風が心地よく感じられました。
りゅーとぴあに入り、屋上を一回りして白山公園の桜を上から眺め、新潟の街並みを眺めて、春の喜びを満喫しました。
開場時間が近くなりましたので、階段を降りて能楽堂に行き、開場とともに入場して、この原稿を書きながら、開演を待ちました。
客の入りとしましては、それなりにというところでしょうか。正面の前方は隙間なく埋まっていましたが、後方や、私のいる中正面は比較的空いていて、隣席を気にすることなく、ゆったりと楽しむことができました。
開演のアナウンスが流れましたが、日本語、英語に続いて、中国語、韓国語のアナウンスがあるのは、いかにもアート・ミックス・ジャパンですね。
開演時間となり、照明が落とされた中に、演奏ユニットの KODACHI〜木立〜 の二人、胡弓の木場大輔さんとピアノの足立知謙さんが、静寂の中に能楽堂の舞台に登場しました。
左に胡弓の足立さん、右に電子ピアノ/シンセサイザーの足立さんが着席して、富山県民謡の「こきりこ節」で開演しました。胡弓は最初は弦を弾いての演奏でしたが、その後に弓での演奏になりました。ピアノとともに、しっとりと心に滲みてくるような胡弓の調べが心地良く、能楽堂は癒しの空気に満たされました。
ここで、木場さんによる挨拶と、胡弓についての説明があり、中国の二胡とは全く別であり、和楽器演奏で長音が必要なときに使用される楽器であることなどの説明がありました。私は胡弓と二胡との違いは理解していませんでした。
そして、木場さんのオリジナル曲の「あの雲の向こう」が演奏され、足立さんのピアノ/シンセサイザーともに、現代風な演奏で楽しませてくれました。
続いて、民謡で使用する胡弓と、古来からの胡弓の違い、弓の大きさの違いなどの説明があり、江戸時代の名曲である「鶴の巣籠」を胡弓の独奏で演奏し、しっとりとした演奏が胸を打ちました。
次は、足立さんの挨拶があり、木場さんの曲紹介があって、足立さんのオリジナル曲の「つむぎびと」と、名曲の「アメイジング・グレイス」の2曲が続けて演奏されて、感動を誘いました。
続いて、木場さんのMCがありましたが、胡弓は、本来は三味線と同様に3本弦ですが、今回使用している胡弓は4本弦の特注品であることの説明がありました。
そして、木場さんの出身地の淡路島の有名人である江戸時代の廻船業者・高田屋嘉兵衛についての話があり、木場さんが嘉兵衛にちなんで作ったという「嘉兵衛の海」が演奏されました。
ここで、ユニット名の「木立」についての説明がありましたが、予想されますように、木場の「木」と足立の「立」を合わせたものだそうでした。
続いては、そのKODACHIのオリジナル曲で、活動の原点の曲だという「JAPAN」が美しく演奏され、最後に「春の小川」が、足立さんの素晴らしい編曲で演奏されて、静かにくすぶるような感動の中に、公演は終了となりました。
胡弓の演奏会は初めてでしたが、能楽堂に響く胡弓は、しっとりと美しく、日本人の琴線に触れて、心の隅々に染み渡るようでした。足立さんのピアノは電子ピアノでしたが、通常のピアノでないだけ自由度が高く、和楽器の胡弓と美しくマッチし、魅力的な音楽世界を作り上げていました。オリジナル曲も美しい曲であり、他の曲も編曲の良さが際立っていました。
期待以上の内容と感動で、大きな満足感をいただき、能楽堂からの階段を下りていきました。りゅーとぴあのロビーは人であふれ、その熱気に圧倒されました。
外に出ますと、白山公園は花見客でさらにごった返しており、白山神社は大混雑で、抜けるのも大変でした。夜も夜桜見物する人で賑わうことでしょう。新潟の春、真っ盛りです。
(客席:中正面6-11、¥3500) |