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今日は、2024年初めてのコンサートです。高関 健さん指揮による「富士山静岡交響楽団ニューイヤーコンサート2024
in りゅーとぴあ」と題されたコンサートで、新年を彩るにふさわしい名曲を楽しむことができます。
私は娯楽として音楽を楽しめるこういう名曲コンサートは大好きですし、富士山静岡交響楽団はこれまでに聴いたことがありませんので、参加させていただくことにしました。
文化庁の助成を受けたオーケストラ・キャラバンとしての開催のため、低料金で聴けるというのも大きな魅力です。
プログラムは、前半はモーツァルトのコジ・ファン・トゥッテ序曲とグリーグのピアノ協奏曲（ピアノ：高木竜馬）、後半はウインナ・ワルツの数々を楽しめます。アンコールはもちろんあの曲でしょうし、大いに楽しませていただきたいと思います。
ちなみに、このニューイヤー・コンサートは、新潟公演の後、7日は長野市、8日は伊那市、12日は静岡市、13日は浜松市で開催されます。
さて、富士山静岡交響楽団の演奏を聴くのは今回が全く初めてです。1998年11月に静岡県初のプロオケとして活動を始めた静岡交響楽団が、2020年11月に、1998年に創立された浜松フィルハーモニー管弦楽団と合体して、2021年4月より、高関
健さんを首席指揮者に迎えて、富士山静岡交響楽団として演奏活動を始めたそうです。
指揮者の高関 健さんは、何度か新潟に来演しておられますのでお馴染みですが、2022年2月のNHK交響楽団長岡特別演奏会以来になります。
前半のソリストとして共演する高木竜馬さんは、1992年千葉市生まれで、ウィーン国立音楽大学やイタリアのイモラ国際ピアノアカデミーで学び、数々のコンクールで入賞を果たし、国内外で活躍されていますが、私は今回が初めてです。
昨日は午前中は快晴でしたが、予報通りに天候は崩れ、午後からは雨模様となりました。今日も天候は優れず、雨が降り続いていました。
今日のコンサートは自由席でしたので、早めにホール入りすることにしました。与えられた雑務を終えて、某所で昼食を摂り、小雨が降る中りゅーとぴあへと向かいました。
地震に被災し混雑した道路を避けましたが、途中舗装が剥がされた場所があって、徐行で通り過ぎましたが、順調に白山公園駐車場に到着できました。
開場時間は開演の1時間前と早かったのですが、開場5分前にりゅーとぴあ入りしますと、既に開場待ちの列は長く伸びており、私も列に並んで開場を待ちました。
ほどなくして開場となり、いつもの2階正目に席を取りました。開演まで時間がありましたので、ビュッフェでコーヒーをいただきながら、ガラス壁を滑り落ちる雨粒を眺めていました。やがて雨は止み、雲間から日が差し込んで、木の枝に付いた雨粒が輝いていました。
再び日が暗い雲に隠れたところで客席に戻り、この原稿を書きながら開演を待ちました。客席は3階席は使用されず、1階とステージ周りを除いた2階席のみでしたが、それでも空席が多く、もったいなく感じました。安価でお得なコンサートなんですけれど。新潟では知名度がほとんどないオケのネームバリューの問題でしょうか。
客席には十分過ぎる余裕があるのですが、私がロビーで寛いでいる間に、私の席の周辺ば混雑していて、お喋りが賑やかでした。
ステージにはピアノが設置されており、木管やコントラバスが音だしをしていましたが、クラリネットがいい音を出していました。
開演時間となり、拍手の中に団員が入場。最後にコンミスが入場して大きな拍手が贈られました。オケのサイズは12型、ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置ですが、ヴィオラが左、チェロとコントラバスが右という並びで、日頃目にする対向配置とは異なっていて新鮮に感じました。弦5部は、渡しの目視で12-10-8-5-5
です。
高関さんが登場して、「コジ・ファン・トゥッテ」序曲で開演しました。オケの音色は期待以上に美しく、低音も良く響き、なかなか素性の良いオケであることがすぐに感じられました。コンサートの開演を告げる序曲としては十分な美しい音楽にうっとりと聴き入りました。
ピアノの蓋が開けられ、管が増員され、2曲目はグリーグのピアノ協奏曲です。髙木さんと高関さんが登場し、ティンパニの連打の後の強靭なピアノの打鍵で演奏が始まりました。
ピアノはパワーにあふれ、堂々とオケと渡り合い、風格すら感じました。第1楽章終盤の長大なカデンツァも見事であり、攻め込んでくる音楽に圧倒されるほど。感情を込めて揺り動かし、自己主張も忘れず、髙木さんの素晴らしさが伝わってきました。その後のオケの入りがスムーズでなかったですけれど。
第2楽章はうっとりと聴き入りましたが、弦に包み込むようなふくよかさと艶やかさがあればもっと感情移入できて良かったかなと感じました。
第3楽章はスピード感、躍動感も十分であり、ピアノとオケとのせめぎ合いも聴き応え十分でした。途中で息切れ感を感じなくもありませんでしたが、ピアノとオケは次第に熱量を増していき、興奮をもたらしで終演となりました。
大きな拍手に応ええて、髙木さんによる挨拶があり、アンコールにグリーグの 「夏の夕べ」をしっとりと演奏し、協奏曲の興奮を鎮めてくれました。
髙木さんの演奏は初めて聴きましたが、なかなかの実力者で、アンコールを含めて大いに満足させていただきました。さすがに2018年グリーグ国際ピアノコンクールで優勝＆聴衆賞受賞だけはあり、グリーグは得意なレパートリーなんだと思います。私が不勉強なだけて、活発な演奏活動をされており、今後注目していきたいと思います。
休憩後の後半は、いかにもニューイヤーコンサートという、シュトラウス一家の曲が並びます。ピアノが片付けられて、左端にハープが設置されました。
後半最初は「こうもり」序曲です。軽快な演奏で心をウキウキさせてくれました。新年の幕開けを祝うに相応しい曲であり、これからのウインナワルツの演奏の始まりを告げ、期待感を高めてくれました。
ここで高関さんによるお話しがあり、能登半島地震の犠牲者への追悼の言葉と、昨日から新潟入りしてリハーサルを行っていたことなどを話してくれました。
そして、これから演奏する曲目の中で、あまり知られていない3曲についての解説がありました。チャールダーシュ、カドリーユについてや、これから演奏する「とんぼ」についての説明を興味深く聞きました。こういう曲を選曲するところに高関さんの魅力が感じ取られました。
マイクを置いて演奏が始まりましたが、「とんぼ」は、正にトンボが風に揺られながら飛んでいる光景を思い浮かばせてくれるような曲で、メロディも美しく、楽しめました。
お馴染みの定番曲「春の声」は、明るく爽やかな演奏で、ウキウキするような春の日差しや新春の喜びを感じました。
「チャールダーシュ」は、前半は憂いを秘めたような感情のうねりを感じさせ、その後リズムを速めて次第に熱を帯び、フナーレへと盛り上がりました。
「カルメン･カドリーユ」は、お馴染みのビゼーの「カルメンの」メロディが次々と複雑に出たり引っ込んだりする曲で、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい曲でした。
そしてプログラム最後は定番の「美しく青きドナウ」でした。ウィーンへは行ったことがありませんが、ウィーンの香りを勝手に感じながら、ドナウの流れに身を任せました。
拍手に応えてのアンコールはもちろん「ラデツキー行進曲」です。ウィーン･フィルなら太鼓の前奏で始まるのですが、いきなりメロディが始まります。今か今かと待ち構えていた観客の手拍子も慣れたもので、楽しく手拍子して、新年を祝い、1年の平穏を祈りました。ここは素直に楽しまなければニュイヤーコンサートに来る意味はありませんものね。
富士山静岡交響楽団は初めて聴くオケでしたが、なかなか良いオケですね。高関さんによって鍛えられて、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。
静岡県にこのようなプロオケがあるのに、新潟には・・・。まあ、高望みですね。東響新潟定期がありますから、良しとしましょう。
大きな満足感を胸に外に出ますと、小雨が降り続いており、コートのフードをかぶって、駐車場へと小走りしました。
帰り道に車のTVをつけましたら、NHKのEテレで、元日に観ることができなかったティーレマン指揮によるウィーン･フィルのニューイヤーコンサートが放送されていました。
「美しく青きドナウ」～「ラデツキー行進曲」と、先ほど聴いたばかりの曲が流れて、感動を新たにしました。ウィーン･フィルと比較するのもなんですが、富士山静岡交響楽団も決して負けることなく、良い演奏だったと思います。
（客席：2階C5-11、￥3000） |
