NHK交響楽団 長岡特別演奏会
  ←前  次→
2022年2月26日(土) 15:00 長岡市立劇場 大ホール
指揮:高関 健
ヴァイオリン:南 紫音
 
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35

(ソリストアンコール)
パガニーニ:24のカプリース より 第13番 変ロ長調「悪魔の微笑み」

(休憩20分)

ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 作品68

(アンコール)
ブラームス:ハンガリー舞曲第4番


 
 今日は長岡まで遠征して、NHK交響楽団長岡特別演奏会を聴くことにしました。毎度のことながら、予定を考えぬまま、チケット発売とともにネット購入し、その後どうしようかと困ってしまういつものパターンでした。
 何とかスケジュールは開けられましたが、その後、この日に坂井加納さんのピアノリサイタルの開催が発表され、どちらを選ぶか悩んでいました。
 坂井さんは、長岡の平林さんとともに、その実力に驚嘆したピアニストであり、是非ともリサイタルを聴きたいと思い、今日の朝までどちらに行くか悩んでいました。
 結局、今日は天候も良く、絶好の長岡遠征日和となり、N響のチケットを無駄にするのももったいなく思い、長岡遠征を決断しました。

 N響は2018年10月の新潟特別演奏会以来ですので、久し振りです。前回はりゅーとぴあ開館20周年記念の特別演奏会でしたが、今回は長岡市文化振興財団設立25周年記念の長岡特別演奏会です。今回の指揮は高関健さんで、ヴァイオリン独奏は南紫音さんです。
 高関さんは、2021年5月の東京交響楽団第119回新潟定期演奏会以来です。来日できなかったノット氏の代演でしたが、素晴らしい演奏に感動したことは記憶に新しいです。今回は日本の最高峰のN響とどんな演奏を聴かせてくれるのか期待が高まりました。
 一方、ヴァイオリンの南さんは、2021年1月の東京交響楽団新潟特別演奏会2021睦月以来です。前回は下野竜也さんの指揮により、ベルクのヴァイオリン協奏曲が演奏されましたが、透明感溢れる鮮鋭なヴァイオリンに圧倒されたました。今回は曲調が全く異なるチャイコフスキーですが、熱い演奏が聴けるものと楽しみにしていました。
 なお、今日のプログラムは、2022都民芸術フェスティバル参加公演として2月24日に東京芸術劇場で開催されたコンサートと同じです。


 昨日まで県内は大雪に見舞われていましたが、今日は天候が回復して、気温も上がって過ごしやすい土曜日となりました。
 いつものように、分水・与板経由で長岡入り。広域農道で喜多IC手前まで行き、長生橋を渡って長岡市立劇場へと向かいました。自宅から55km、1時間半で到着できました。高速を使うより安上がりで便利です。

 14時前に到着しましたが、館内には入れてもらえず、14時15分の開場まで外で待たされました。広いロビーがあるので、中に入れてくれても良いのにねえ・・。

 開場とともに入場。席には着かず、ソーシャルディスタンスが取れるゆったりしたホワイエで、この原稿を書き始めました。漸くして、係員に促されて席に着きました。ステージでは団員が音出しに励んでいました。
 S席エリア後方に空席がありましたが、前方の席や、私のA席エリアはほとんど空席はなく、なかなかの客の入りです。

 団員が下がって、開演時間となり、拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待ち、最後にコンマスが出てきて一礼し、チューニングとなりました。オケは通常の配置で12型、コンマスは篠崎さんです。

 白とシルバーのドレスが麗しい南さんと高関さんが登場して、前半はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。
 高関さん指揮によるN響はさすがであり、一糸乱れぬアンサンブルでお馴染みの美しいメロディを奏でました。南さんのヴァイオリンは音量も豊かで、パワーに溢れていました。オケとヴァイオリンが対等に対峙し、第1楽章終盤の長大なカデンツァも緊張感に溢れて聴き応えがありました。
 第1楽章終了後に、遅刻した観客が左右の入り口からぞろぞろと入場。数十人というその数の多さに驚きました。ホール内に気まずい空気が流れました。
 その後の第2楽章はゆったりと美しく歌い、うっとりと聴き入りました。そして怒涛の第3楽章。高関さんはグイグイとオケをドライブして、スピードアップ、パワーアップ。ヴァイオリンも負けじと熱く燃え上がり、興奮と感動のフィナーレを迎えました。
 このように演奏はすさまじく、期待にたがわぬ熱い音楽に感動したのですが、ホールの問題もあって、音響的には少し残念でした。
 このホールは横幅が非常に広く、残響がほとんど感じられないデッドなホールです。そのため、オケの響きも豊潤さに欠け、フリーズドライしたような、乾燥した音になっていて、ホールいっぱいに響き渡るオーケストラサウンドを味わうことはできませんでした。
 この悪条件下でも朗々と音を響かせていた南さんのヴァイオリンは素晴らしかったです。りゅーとぴあのような残響豊かなホールで聴いたら、さらなる感動を味わえたものと思われ、ホールも楽器のひとつであることを実感しました。
 アンコールはパガニーニの「悪魔の微笑み」でした。超絶技巧に圧倒され、南さんの実力を再確認させるに十分な演奏に感動し、休憩に入りました。、

 休憩後の後半は、ブラームスの交響曲第1番です。オケのサイズは大きくなって14型になりました。これも前半同様に、オケのサウンドとしては潤いに欠けましたが、耳も慣れてきました。
 高関さんがN響を我が物として駆動し、感動の音楽を創り出していました。篠崎さんのソロも美しく、感動のフィナーレへと駆け上がりました。
 新型コロナ禍やウクライナ問題に沈む暗い世相に光をさし、苦難に立ち向かう勇気と力を与えてくれる歓喜のファンファーレに胸を熱くしました。
 アンコールにハンガリー舞曲第4番を演奏してくれましたが、これも良かったです。緩急自在に楽しく演奏し、明るい気分にさせて終演となりました。

 さすがにN響であり、いい演奏だったと思います。ただし、繰り返しになりますが、りゅーとぴあで聴く東響の豊潤なサウンドに慣れていますと、このホールのドライなサウンドは違和感を感じてしまいます。まあ、好みの問題もありましょうが・・。

 
 
(客席:28-24、A席:¥4000)