東京交響楽団新潟定期演奏会の日の昼下がりに開催される恒例のロビーコンサートに、前回に引き続いて参加させていただきました。
今回の出演は、フルート主席の相澤政宏さん、第1ヴァイオリンの水谷有里さん、ヴィオラ主席の武生直子さんの3人です。ロビーコンサートでヴィオラといえば、青木篤子さんの出演が多く、今回は密かにファンである武生さんが出演されるというのも楽しみでした。
東響が誇るフルート奏者の相澤さんと、美しき二人の弦楽奏者のアンサンブルということで、大いに楽しませていただこうと思います。
ということで、ゆっくりと昼食を摂り、雨降る中に白山公園駐車場に車をとめて、りゅーとぴあ入りしました。県民会館では催しがあるらしく、外まで長い行列ができていました。
りゅーとぴあに入館しますと、多くの人が開演を待ち構えておられ、ちょうど出演者3人がステージに向かうところでした。入場する3人とすれ違って、正面後方に席を取り、床に座って聴かせていただきました。ステージは、左から相澤さん、武生さん、水谷さんという並びです。
相澤さんの挨拶とメンバー紹介があり、1曲目はモーツァルトの「ドンジョバンニ」の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲です。
もともとはフルートではなく、オーボエのための曲だそうですが、お馴染みの主題が提示された後、ちょっと譜めくりの間を空けながら、変奏曲が次々と演奏されました。残響豊かなホワイエに響く柔らかでふくよかなフルートと、ヴァイオリンとヴィオラの調べにうっとりと聴き入り、美しいアンサンブルに酔いしれました。
相澤さんによる曲目紹介があって、続いては「セレナード ニ長調」です。今日の編成であるフルート、ヴァイオリン、ヴィオラのために書かれた曲で、有名なスプリング・ソナタ(Op.24)の次に書かれた曲だそうです。ベートーヴェンの曲の中でも数少ないフルートの曲だそうで、全7曲からなります。
軽やかに弾むような第1曲、ゆったりと歌わせたかと思うと、明るく経過におどけてみせる第2曲、ちょっと物悲しげな出だしから明るさ・激しさを見せる第3曲、ゆったりと伸びやかに歌わせて、中間部では駆け足してみせる第4曲、軽快に明るく跳ねる第5曲からしっとりと歌わせる第6曲と進み、最後の第7曲は明るく楽しげに駆け巡り、爽やかな気分の中に演奏を終えました。
素晴らしい演奏にブラボーの声も出て、大きな拍手でその演奏を讃えました。相澤さんのふくよかで包み込むようなフルートは期待通りであり、ホワイエの残響の良さもあって、格別でした。
武生さんのヴィオラも柔らかく美しい音色であり、卓越した演奏技術ともに演奏を支えていました。武生さんの演奏を間近に聴けて良かったです。
若き水谷さんのヴァイオリンもベテランの二人に負けることなく、濁りのない美しい音色とテクニックに演奏者としての力量が如実に示されました。
このロビーコンサートは、東京交響楽団の団員によるアンサンブル演奏を、間近で聴ける貴重な機会であり、東響への親近感を感じることができます。
日曜日の昼下がりに、このような魅力的な、音楽的にも優れた演奏を、無料で聴くことができるのは、大変幸せなことだと思います。
東京京響楽団と新潟の密接な関係に感謝し、これからも定期会員として楽しませていただき、陰ながら応援を続けたいと思います。
今シーズン最後となる次回のロビーコンサートは、12月3日(日)12時開演です。いつもより開演が早いですのでご注意ください。
ヴァイオリンの竹田詩織さん、辻田薫りさん、ヴィオラの多井千洋さん、小西応興さん、チェロの伊藤文嗣さん、蟹江慶行さんの6人により、チャイコフスキーの弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」が演奏されます。これも楽しみですね。
(客席:正面やや後方、無料) |