新潟室内合奏団第88回演奏会
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2023年10月29日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:近藤高顯
 
モーツァルト:「劇場支配人」序曲

ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」

(休憩)

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

 今日は新潟室内合奏団の演奏会に参加させていただきました。これまでの演奏会は土曜日の夜ばかりで、なかなか都合がつかなくて行けないことが多かったのですが、今回はなぜか日曜日の午後の開催です。私にとってはありがたい時間帯であり、今後もこの時間帯にしていただけるとうれしいです。

 新潟室内合奏団はこれまで何度も聴かせていただいてきましたが、今年の春の演奏会は都合が合わずに行けませんでしたので、昨年の11月の第86回演奏会以来、1年ぶりの参加になります。

 しかし、チケットは買っておいたものの、今日は昼まで某市での仕事があり、残務処理や移動時間、精神的疲労度も考慮しますときつい面もあり、予定通りに聴きに行けるかどうか心配でした。
 
 幸い仕事は順調に終わり、気力も残っていましたので、予定通りに参加することとして、大急ぎで安全運転の範囲内で車を進めました。
 白山公園駐車場に車をとめて、上古町の馴染みの店で急いで昼食を摂り、早足でりゅーとぴあへと向かいました。
 りゅーとぴあに入館しますと既に開場されており、ロビーは閑散としていました。インフォメーションで某コンサートのチケットを買って入場しました。客はそれなりに入っていましたが、左右に間隔をもって席を取ることができました。

 さて、今日の指揮者は、新日本フィルの主席ティンパニ奏者として長く活躍されていた近藤高顯さんで、2020年の演奏会で共演して以来関係が続き、合奏トレーナーとして指導を受けていたそうです。
 今回は指揮者として指導してもらうこととなり、今回は近藤さんの指揮者デビューという記念すべき演奏会です。今回のプログラムは、全て近藤さんの選曲によるものだそうです。

 開演時間となり、団員が入場。通常の配置で、弦5部は 7-6-6-6-2 で、コンミスは井口 歩さんです。ヴァイオリン13人のうち、賛助出演が9人というのには驚きましたが、その中に風岡優さんの名もありました。

 近藤さんが登場して、モーツァルトの「劇場支配人」序曲で開演しました。軽快な滑り出しで、アンサンブルもバッチリ。弦に艶やかな潤い感があれば最高ですが、アマオケとしては高水準だと思います。挨拶代わりの演奏としては良くまとまっていて楽しめました。

 続いては、ハイドンの交響曲第103番「太鼓連打」です。乾いた音のティンパニの連打で演奏開始です。低弦とファゴットがそれに続き、ヴァイオリンがゆったりとメロディを奏で、その後の生き生きとした躍動感のある演奏に引き込まれました。
 第2楽章は、何となく耳なじみの良いメロディを美しい弦楽アンサンブルで聴かせ、遅れて管が加わって、楽しげな音楽で心を和ませました。コンミスのソロも軽やかで、ティンパニがスパイスのようにアクセントを付け、おどけたような音楽を楽しませてもらいました。
 第3楽章もティンパニが要所に味付けをしながら、リズムを刻んでステップを踏むように音楽が流れ、中間部もゆったりと美しく、メリハリ感のある音楽に身を委ねました。
 第4楽章は、ホルンに始まり弦の各パートが川の流れのようにメロディをつないで行きましたが、ここでもティンパニがいい味付けをして締めていました。流れは次第に大きくなって勢いを増し、大きなうねりとなりました。ティンパニに煽られながら、スピードを上げて熱を帯び、フィナーレへと燃え上がりました。日頃ハイドンを聴く機会は少ないのですが、躍動感のある演奏で楽しむことができました。

 休憩後の後半は、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」です。ゆったりとした穏やかな音楽が、泉のように湧き出ました。アンサンブルも美しく、音楽の流れに身を任せ、心地良さを感じました。
 第2楽章も淀みのない音楽が気持ち良く、数日来の寝不足の頭を優しく癒してくれて、意識が薄れそうになりましたが、鳥の鳴き声に我に帰りました。
 第3楽章は、快活に足早にリズムを刻み、ホルンも快調。オーボエとファゴットの掛け合いもバッチリでした。村祭りの踊りも賑やかに、管楽器のソロも軽やかで、ステップを踏みながら気分良く駆け足しました。
 第4楽章は、寒冷前線の通過か、爆弾定気圧か、突然暗雲が空を覆って嵐となり、激しい雷雨に襲われました。幾度となく落雷した後、嵐は過ぎ去り、雲の切れ目から日が差し込み、次第に青空が広がりました。雨露に濡れた緑が美しく輝き、穏やか田園風景が眼前に広がり、染み渡るような感動と、落ち着いた気分の中で演奏が終わりました。

 アマオケですので、所々にミスはありますが、生み出される音楽には生命感が溢れており、聴く者の心を穏やかにし、疲れた心を癒し、明日からの仕事に立ち向かう力と、家庭内に潜む暗雲を振り払う力をいただくことができました。

 良い音楽を聴かせていただいた喜びを胸に、雲行きの怪しい空を見上げながら駐車場へと急ぎました。帰り道、雨に見舞われ、束の間の癒しの世界から現実へと引き戻されました。

 

(客席:2階C6-9、¥1000)