東京交響楽団川崎定期第92回 Live from MUZA!
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2023年7月15日(土) 14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ジョナサン・ノット
ヴァイオリン:神尾真由子
コンサートマスター:小林壱成
 
エルガー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 op.61

(休憩20分)

ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 op.73



 

 恒例の東京交響楽団の生配信です。先月の「川崎定期第91回」に引き続いて、今月は「川崎定期第92回」です。せっかくの配信ですので、今回も視聴させていただきたいと思います。

 ニコニコ生放送のサイトに接続しますと、ミューザ川崎のステージが映し出されていて、すでに客席はかなり埋まっているようでした。
 開演時間となり拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待ち、最後にコンマスの小林さんが登場して大きな拍手が贈られました。弦はヴァイオリンが左右に分かれる対向配置で、12型です。ノットさんのときは必ず対向配置です。

 ノットさんとベージュ色で右肩に大きなひだ、左肩は露出という少しタイトなドレス姿が麗しい神尾さんが登場して、エルガーのヴァイオリン協奏曲の演奏開始です。神尾さん用の譜面台にはタブレットが置かれていました。
 オケの長い序奏の後にヴァイオリンが加わりました。目を閉じて弾く神尾さんが神々しく感じられました。日頃聴く機会は少ない曲ですが、緊張感が漂い全身を大きく揺り動かしながら、朗々と響くヴァイオリンが切々と訴えかけて胸に迫ります。終盤の熱さにノックアウトされました。
 第2楽章は、ゆったりと歌わせますが、甘くなることなく緊張感は途切れません。曲自身がそうなのかもしれませんが。
 第3楽章は激しいパッセージにいきなり圧倒されました。緩徐部での緊張感は心地良い疲労を生み、次第に熱を帯びて坂を上り、神尾さんの超絶技巧と熱さに息をのみました。
 弱音の美しさも格別。染み入るような緩徐部からギアチェンジして堂々としたフィナーレへ。長大で緊張感を強いられましたが、楽しませていただきました。ピチカートトレモロを見れたのはネット配信ならではでした。
 後半のブラームスよりも演奏時間が長い長大な協奏曲を飽きずに聴けたのは、神尾さんの演奏があってのことだと思います。ソリストアンコール無しに休憩に入りました。

 休憩後の後半は、ブラームスの交響曲第2番です。弦は14型になりました。指揮台に譜面台はなく暗譜での指揮です。ノットさんが登場して演奏開始。
 非常にゆったりしたテンポで演奏が始まり、メロディを朗々と歌わせました。その後もスローテンポは変わりなく第1楽章を終えました。
 第2楽章もゆったりと、この上なく美しく歌わせて、第3楽章へ。相変わらずゆったりですが、緩急・強弱のアクセントが効いていました。
 静けさの中から若干スピードアップした第4楽章へ。ふたたびゆっくりになりましたが、これまでため込んでいたエネルギーを徐々に開放して、堂々と力強くリズムを刻み、音量を上げてフィナーレを迎えました。
 終始ゆっくりしたテンポを貫き通して、ぶれることのないノットさんの指揮。私の好みとは少しずれましたが、堂々と歌わせた演奏は、いかにもブラームスを聴いたぞという満足感を与えてくれて素晴らしかったです。

 演奏もさることながら、視聴者からのリアルタイムのコメントを読み、女性団員の美しい姿をアップで見れるのも配信の楽しみであり、大いに楽しませていただきました。
 次の配信は9月2日の予定です。これも楽しみにしたいと思いますが、その前に、8月20日に第132回新潟定期があり、期待が高まります。暑い夏を、熱い演奏で楽しませていただきたいと思います。

  

(客席:PC前、無料)