華麗なるガラ・コンサート
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2021年11月27日(土)15:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:円光寺雅彦
管弦楽:スーパー・クラシック・オーケストラ (コンサートマスター:川田知子)
合唱:藤原歌劇団合唱部、二期会合唱団
ヴァイオリン:奥村 愛、フルート:佐久間由美子、ピアノ:横山幸雄
ソプラノ:伊藤 晴、メゾソプラノ:加納悦子、テノール:村上敏明、バリトン:上江隼人
司会:坪井直樹
 
第1部
エルガー:威風堂々 第1番 op.39-1
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ op.28
モーツァルト:ロンド ニ長調 K.Anh184
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調 op.23〜第3楽章
ラヴェル:ボレロ

(休憩15分)

第2部 「輝く未来に向かって」
今井光也=古関裕而:東京オリンピック・ファンファーレ=オリンピック・マーチ
ガーシュウィン:歌劇「ポーギーとベス」より「サマータイム」
ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」〜「街の何でも屋」
プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」〜「ある晴れた日に」
ヴェルディ:歌劇「アイーダ」〜凱旋行進曲
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」〜「誰も寝てはならぬ」
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱付」〜第4楽章

 新型コロナ禍に伴い、数々のイベントが中止や縮小が余儀なくされており、クラシック音楽界も大きなダメージを受けています。
 このような状況下で、困難に直面しているクラシック界の活性化を目的として、日本クラシック音楽事業協会は、文化庁の支援事業として、全国各地でコンサートを開催しています。
 クラシック音楽を啓蒙するとともに、演奏の場を奪われた演奏家に活動の場を提供し、次代を担う若い演奏家を認知してもらうという機会にもなります。

 大ホールでの公演では、特別編成されたオーケストラとソリスト、合唱団により「華麗なるガラコンサート」を、小ホールでの公演では、小品の演奏のほかにサン=サーンスの「動物の謝肉祭」、ストラヴィンスキーの「兵士の物語」が演奏されます。
 9月から12月まで、全国13ヶ所で19公演開催されますが、大ホールでの 公演は11公演、小ホールでの公演は8公演開催されます。各公演の出演者は異なりますが、一流どころが名前を連ねています。

 新潟では「華麗なるガラコンサート」として開催されます。事前に発表されていた曲目を見ますと、多彩な内容で驚きました。まさにガラコンサートですね。第4楽章だけですが、第九まで演奏するというのですからたいしたものです。

 ということで、せっかく大人数で新潟まで来てくれるわけですから、音楽家への支援のためにも、コンサートに参加して盛り上げたいと思い、早々にチケットを買いました。通常ならS席設定のCブロックにA席に設定された席があり、迷わずその席を買いました。


 今週は連日の雨模様。冷たい雨に強風が吹き荒れ、山間部では積雪となりました。今日も新潟市内でアラレが降り、雨が断続的に降っています。悪天候で気分も落ち込みます。暗い気分でりゅーとぴあ入りしました。

 14時15分の開場とともに入場し、この原稿を書き始めました。私の席はCブロック右側最前列。どう考えてもS席の場所なのですが、A席でありがたいことです。パイプオルガンには照明が当てられていて、いい雰囲気を醸し出していました。
 ステージではオケのメンバーが音だししていて、気分が盛り上がりました。残念ながら、大規模なコンサートにも関わらず、満席とは言えず、もったいなく感じました。
 正面席の混雑に関わらず、サイド席は無人であり、もともと集客を期待せずに、サイド席は発売されなかったようですね。
 コンサートの趣旨がうまく伝わらず、音楽ファンへの認知度は良いとはいえなかったように思いました。第九も演奏することを宣伝すれば、もっと集客できたように思いますが・・。

 時間となり、オケメンバーが登場。ガラコンサートというためか、オケの女性メンバーは色とりどりのドレスで華やかでした。最後にコンミスの川田知子さんがスポットライトを当てられて登場して大きな拍手が贈られました。オケのサイズは14型で、弦5部は私の目視で、14-12-9-8-6でした。

 円光寺さんが登場して、「威風堂々」で開演しました。フリーランスの音楽家を中心に作られた臨時編成のオケですが、ちょっと粗っぽさがあって潤い感は足りませんが、さすがにプロの音ですね。どうせならパイプオルガンも使えば良かったかなと思いましたが、迫力いっぱいに楽しませてくれました。

 ここで司会者の坪井さんが登場し、コンサートの趣旨の説明があり、以後出演者と曲目紹介を交えながら演奏が進められました。ステージの照明は暗めで、ソリストにスポットライトが当てられました。

 まずは、アズキ色のドレスの奥村愛さんが登場し、サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」です。優しく、ソフトな音色で、情感豊かに演奏しました。カーテンコールは1回のみで、ステージから去るとすぐに再登場。以後の出演者は、皆さん同じようなパターンでした。

 次は、オケのサイズが小さくなって弦は10型となり、管はオーボエとホルンだけになりました。青と黒のドレスの佐久間さんが登場し、モーツァルトの「ロンド」です。軽快なフルートの調べが爽やかでした。

 オケのサイズは大きくなって、ピアノが設置され、司会者の紹介の後、横山幸男さんによるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番から第3楽章です。横山さんは上着ではなく、ベストを着用しておられました。
 いきなりの第3楽章で、気持ちも入っていきませんでしたが、乱れながらも力の入ったピアノとオケのせめぎ合いも心地良く、盛り上がりを感じましたが、腹も八分目。始めから聴きたかったというのが正直な気持ちでした。

 司会者によるMCの後、前半最後は、ラヴェルの「ボレロ」です。かすかな小太鼓のリズムにフルートがメロディを重ね、以後のソロをとった各楽器もすばらしく、どんどんとクレッシェンドし続け、最後はホールが飽和するような大音響で締めくくり、オーケストラの醍醐味を堪能できました。

 休憩時間中に、P席に合唱団が着席しました。左からソプラノ、テノール、バス、アルトと、1席ずつ空けていました。

 後半の最初は、オリンピックイヤーにちなんで、4人のトランペット奏者による東京オリンピック・ファンファーレが奏でられ、連続してオリンピック・マーチが演奏されました。フルオーケストラによる軽快なマーチが快く、心もウキウキさせられました。いい演奏でした。

 続いては、オペラの名曲コーナーです。司会者による紹介の後、日本を代表するソリストが順に登場して、素晴らしいアリアが歌われました。パイプオルガンの前方に電光掲示板が設置され、歌詞の日本語訳が表示されましたが、私の席からはかなり上の方向で、ちょっと見にくかったです。

 最初は、メゾソプラノの加納悦子さんによるガーシュウィンの「サマータイム」です。白と黒のドレスで登場。加納さんは9月の東京交響楽団川崎定期演奏会のライブ配信で歌声を聴いたばかりでしたが、存在感を感じさせる素晴らしい歌声ですね。けだるさを感じるような、情感あふれる歌声に感動しました。

 続いては、バリトンの上江隼人さんによるロッシーニの「セヴィリアの理髪師」からの「街の何でも屋」です。早口言葉のような歌詞を軽妙に歌って楽しませてくれました。

 次は、ソプラノの伊藤 晴さんが水色のドレスで登場し、プッチーニの「蝶々夫人」から「ある晴れた日に」です。声量豊かに切々と歌い、オペラの世界に引き込まれるようでした。

 続いては、ヴェルディの「アイーダ」から「凱旋行進曲」です。アイーダトランペットが、ステージ後方の左右に2人ずつ配され、合唱も加わっての迫力あるステージになりました。この曲は、オケだけでも楽しめますが、合唱が入ると素晴らしいですね。左右に分かれたアイーダトランペットのステレオ効果も聴き映えがあり、合唱とともに感動の演奏になりました。

 次は、テノールの村上敏明さんによるプッチーニの「トゥーランドット」からの「誰も寝てはならぬ」です。さすがに日本を代表するテノール歌手の村上さんだけあり、テノールの定番曲を見事に歌い上げ、大きな感動を誘いました。

 司会者による紹介の後、最後の曲は、ベートーヴェンの第九の第4楽章です。独唱者は先ほどアリアを歌った4人です。加納さんは青緑のドレスに着替えて登場しました。
 オケも、4人が独唱も合唱も素晴らしく、感動の演奏となりました。円光寺さんが創り出しだ感動の音楽が、コロナ禍で沈滞する現実世界からの脱却、飛躍を期待させる希望の光をもたらしました。
 毎年恒例の新潟での第九コンサートは今年も中止になりましたので、今日の第九は貴重でした。素晴らしい歓喜の歌を、もっとたくさんの人に聴いてもらいたかったですね。

 盛りだくさんなガラコンサートで、2時間半の長丁場でしたが、素晴らしい音楽を聴いて心は晴れやかでした。音楽家の皆さんの活動の場が増えることを祈念して、ホールを後にしました。

 今回はクラシックキャラバンとして、個別に活動する音楽家が参集して全国を巡演するコンサートでしたが、プロのオーケストラが全国を巡演するオーケストラキャラバンも行われています。新潟では、12月24日に東京ニューシティ管弦楽団(指揮:飯森範親)、1月29日に九州交響楽団(指揮:マルディロシアン)の公演が予定されています。是非聴きに行って、オーケストラを応援しましょう。
 

 
(客席:2階C2-31、A席:¥5000)