今シーズン3回開催される「りゅーとぴあ会員限定コンサート」。7月21日の第1回は「宮田
大 & 大萩康司 デュオ・コンサート」でしたが、第2回は、「長富 彩 ピアノ・リサイタル」です。
とはいうものの、長富さんのことは不勉強で全く知らず、りゅーとぴあのサイトの紹介記事を見て初めて知りました。
2005年に東京音楽大学付属高校ピアノ演奏家コースを卒業後、ハンガリーのリスト音楽院に留学され、その後2008年にニューヨークに渡って研鑽を積まれ、その後も活発な音楽活動をされています。コンクールは受けず、小中学生時代から自分のリサイタルを開いていたというのは驚きです。
これまでに6枚のCDを出されており、演奏のネット配信もしておられます。美しい容姿にも魅了されてしまいますが、2歳の娘さんがおられるママさんピアニストでもいらっしゃいます。
初めての新潟でのコンサートになりますが、ベートーヴェンの3大ソナタという定番メニューを、どんな演奏で楽しませてくれるか楽しみであり、チケット発売早々にチケットを購入し、コンサートを楽しみに待っていました。
しかし、新型コロナウイルス感染は、デルタ株が蔓延し、新潟県全体に特別警報が出され、9/3(金)〜9/16(木)の間、他の公共施設と同様に、りゅーとぴあは臨時休館となり、9月16日に予定されていたこのコンサートも延期を余儀なくされました。幸いスケジュール調整がうまくいったのか、9月18日に延期公演が開催されることになりました。
その後、新潟市内の感染者数は多いままですが、特別警報は予定通り16日で解除され、臨時休館していた県内の公共施設は順次開館し、この延期公演は予定通り開催されることになりました。
今日は台風14号が、西日本から東海方面に進み、大雨をもたらしていましたが、新潟県には影響はありませんでした。しかし、小雨が降り続き、あいにくの天候となりました。
久しぶりに上古町の楼蘭で昼食を摂り、雨の白山公園を抜けて、りゅーとぴあ入りしました。7月31日以来7週間ぶりですので、懐かしく感じました。チラシ集めをしていますと、ちょうど開場時間となり、早々に入場してこの原稿を書き始めました。
会員限定コンサートであり、客の入りはほどほどというところでしょうか。1階席はかなり混雑していましたが、2階の私の周辺は空いていて、ゆったりと気兼ねなく音楽を楽しめました。
時間となり、黒っぽいドレスでスリムな容姿が麗しい長富さんが登場。ママさんピアニストとは思えない若々しいお姿に魅了されました。
1曲目は「悲愴」です。ゆっくりとした出だし。豊潤にピアノを響かせ、大きくためを作り、緩急・強弱を大きく揺り動かし、やりすぎと思うくらいに間を取ったりと、独自の音楽世界を創り出していました。
第2楽章は、ゆっくりとゆったりと歌わせ、第3楽章は、スピードアップし、軽やかに、淀みなく、音楽が流れ出ました。
そのまま下がらずに、2曲目は「月光」です。第1楽章は、ゆっくりとしっとりと歌わせ、第2楽章〜第3楽章は、スピードアップし、ダイナミックな演奏で駆け抜けて締めくくりました。
休憩後の後半は「熱情」です。前半同様に、ダイナミックレンジを大きく取り、荒れた海のうねりのように緩急を揺り動かし、激しい音楽とパワーに圧倒されました。途中キーンという異音が聴こえましたが、私の気のせいでしょうか。
第2楽章は、ゆったりと歌わせ、ひと時の休息を与え、シームレスに怒涛の第3楽章に突入。猛スピードで突進し、音楽の洪水か、はたまた激流下りか、ジェットコースターのようなスリリングな展開に酔ってしまいそうでした。
カーテンコールの後、長富さんの挨拶があり、キュートな容姿と落ち着いた話し振りに魅了されました。アンコールに「エリーゼのために」を優しく暖かく演奏し、母としての側面を見せてオール・ベートーヴェン・プログラムを終了しました。
スカッと爽やか。若さとパワー溢れる演奏。難しいことを考える暇もなく、21世紀のベートーヴェンを楽しみました。音楽は芸術であり、娯楽です。素直に音楽に没頭でき、楽しい時間を過ごせて良かったです。
なお、10月6日に新しいCDを発売するそうですが、曲目はラヴェルです。録音場所は魚沼市の小出郷文化会館だそうで、ちょっと興味深いですね。
(客席:2階C4-5、¥2000) |