相原一智 栄長敬子 2つのピアノ協奏曲を聴く愉しみ
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2021年4月24日(土)14:00 新潟市音楽文化会館
ピアノ:相原一智、 栄長敬子
 

シューペルト=リスト:アヴェ・マリア (相原)
シューマン:トッカータ (相原)

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43 イ短調 (栄長、相原)

(休憩15分)

モーツァルト:「ああ、お母さんに聞いて」による12の変奏曲
        (きらきら星変奏曲)K.265 K6.300e  (栄長)

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 Op.26 ハ短調 (相原、栄長)

(アンコール)
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲より 第18変奏
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番より フィナーレ



 

 新型コロナ感染の拡大により暗い世の中ではありますが、季節は春爛漫。天候にも恵まれて過ごしやすい土曜日になりました。今日は休みでしたので、家の掃除、洗濯、ゴミ出しを終え、昼食を摂り、このコンサートへと車を進めました。

 ロビーで開場を待ち、開場とともに入場し、前方に席を取りました。今日は栄長さんと相原さんの2台ピアノによるコンサートです。2019年3月の栄長さんのリサイタルで相原さんとの2台ピアノで楽しませていただきましたので、今回も期待してチケットを買っていました。

 客席でこの原稿を書きながら開演を待ちましたが、ご高齢のご婦人方のおしゃべりが賑やかでした。ソーシャルディスタンスを十分取れるはずなのに、わざわざ密接しておしゃべり。どうして静かに待てないんでしょうね。これじゃあ今時の若者を批判することなどできませんね。

 開演時間となり、最初は相原さんのピアノ独奏です。「アヴェ・マリア」は、ゆったりと、うっとりと聴きたかったのですが、ちょっと固さが感じられ、癒しの音楽に身を委ねることはできませんでした。
 続くシューマンの「トッカータ」は、曲調にもよりましょうが、一転してスイッチが切れ変わり、激しく、淀みなく音の泉が湧き出て感動させていただきました。

 続いて鮮やかなライトグリーンのドレスが艶やかな栄長さんが登場し、一瞬「オ、オー!」というため息が場内から聞かれました。
 栄長さんがピアノパート、相原さんがオケパートを弾き、「パガニーニの主題による狂詩曲」です。ピアノとピアノがぶつかり合い、絡み合い、迫力いっぱいに聴かせてくれました。聴かせ所の第18変奏はゆったりと歌わせ、オケパートの低音の響きも美しく、うっとり聴き入りました。

 休憩後は、栄長さんはダークピンクのドレスに着替えて登場しました。最初に栄長さんと相原さんの挨拶があり、相原さんから後半に演奏する日本と縁があると言われるプロコフィエフの3番の解説がありました。

 相原さんが退場し、まずは栄長さんによるモーツァルトの「きらきら星変奏曲」です。明るく爽やかに、ピアノから音楽の花びらが噴水の如く淀みなく湧き出るような光景が眼前に浮かびました。心もウキウキと明るくなるような演奏に癒されました。

 そして最後はプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番です。栄長さんのオケパートと相原さんとの熱いぶつかり合いに圧倒され、そのパワーにひれ伏すのみでした。スロットル全開で駆け上がるフィナーレの興奮も凄まじく、オーケストラにも負けない満足感をいただきました。

 栄長さんの挨拶があり、アンコール1曲目は、前半に演奏したラフマニノフから第18変奏です。情感たっぷりに、思いっきり歌わせて酔わせてくれました。
 続いて相原さんの挨拶があり、最後に演奏したプロコフィエフの3番のフィナーレ部分を演奏し、興奮と感動の中に終演となりました。

 もちろんオーケストラで聴けたら最高でしょうが、実力者二人の抜群のパフォーマンスにより、2台ピアノでも十分に楽しめました。二人にブラボーを贈りたいと思います。次はどんな曲を聴かせてくれるか、楽しみにしたいと思います。
 

(客席:8-9、¥3000)