新潟室内合奏団は毎回土曜の夜に演奏会を開催しており、行きやすいようですが、実はなかなか行きにくいのが現実です。昼間だとありがたいのですが・・。
ということで、今日も所用があって行けない状況だったのですが、何とか都合をつけて演奏会に参加することにしました。
今回はソリストとして加藤礼子さんが出演するのが大きな魅力です。加藤さんの演奏を初めて聴いたのはいつだったか思い出せませんが、2014年4月の感動的な演奏に魅了されて以来、一気にファンになってしまいました。
加藤さんは、昨年9月に新潟セントラルフィルと今日の演目であるメンデルスゾーンのコンチェルトを演奏したのですが、他のコンサートと重なってしまい、そのときは聴くことができませんでした。そのためもあって、今回は是非とも聴かねばと思っていました。
そして今回は、新潟の葉加瀬太郎とも称される名コンサートマスターの小島健弘さんの最後のステージになるとの噂も耳にし、これは何としても行かねばならぬと思い、他の予定を振り切って出かけることにしました。
某所で早めの夕食をとり、6時過ぎにりゅーとぴあに到着。すでに開場されており、いつもの2階正面に席を取りました。3階席は使用されず、1階と2階B、C、Dブロックのみの使用でしたが、客の入りはまずまずというところでしょうか。
開演時間となり、拍手の中に団員が入場。室内オケですので編成は小さく、弦5部は6-6-6-4-2です。コンサートマスターは今日が最後の小島さんです。
指揮の高橋裕之さんが登場して、最初はドビュッシーの小組曲です。美しいメロディーが魅力のこの曲を、美しいアンサンブルで聴かせてくれました。フルートを初め、管楽器のソロの美しさが冴え渡り、それを支える弦楽アンサンブルもお見事でした。
そして楽しみにしていたメンコンです。濃紺のドレスの加藤さんが登場。堂々とした立ち姿で、音量豊かなヴァイオリンが流麗に歌いました。第1楽章のカデンツァは聴き応え十分。淀みなく流れる音の洪水に身を委ねました。第2楽章は朗々と歌わせ、第3楽章は一気に駆け抜けて、興奮と感動を誘いました。
新潟のオケと新潟のソリストで、こんなにも興奮するコンチェルトを聴けるなんて、素晴らしいことだと思います。目を閉じれば東響定期かと錯覚しそうなほどに、高水準な演奏だったと思います。
デザート代わりのアンコールのタイスの瞑想曲も絶品でした。疲れた心に染みわたり、優しく癒してくれるヴァイオリンの清廉な響き。暗い心に一条の光がさすようなハイトーンの美しさ。
この曲の加藤さんの演奏は、ピアノ伴奏では聴いたことがあったように思いますが、オケが絡み合いますと魅力倍増です。聴衆は心打たれ、無音の静寂から割れるような拍手が湧き上がりました。加藤さんの期待にたがわぬ演奏に胸を熱くし、オケの美しさに心を奪われました。良かったです。
さて、後半はグノーの交響曲第1番です。今年はグノー生誕200周年ということで選曲されたようです。グノーといえば、歌劇「ファウスト」の「トロイの娘たちの踊り」や、「アヴェ・マリア
」くらいしか知らず、交響曲は聴いたことはありませんでした。ネットで調べますとなかなか良い曲であり、是非とも聴いてみたかったです。
さて、演奏は・・・と、いうはずだったのですが、残念ながら後半は聴けず、ホールを後にせざるを得ませんでした。まあ、半分聴けましたから良しとしましょう。グノーの交響曲を聴けなかったのは残念でしたが、仕方ないですね。
高橋さんの指揮、小島さんのリードで作り上げたビロードのような極上のオーケストラサウンド。良い演奏を聴かせていただいて感謝です。仕事の関係で小島さんが離れられるのは誠に残念ですが、社会人としてはつらい選択だったことでしょう。新任地でのご活躍を祈念申し上げます。さて、次のコンマスは誰かなあ・・・。
(客席:2階C4-5、¥1000) |