川崎市&東京交響楽団 Live from Muza! マッチングギフトコンサート Vol.1
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2020年6月23日(火) 19:00  ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:原田慶太楼
 
フィリドール: 2対のティンパニのためのマーチ

ラッセル・ペック: LIFT-OFF! 

中村八大: 見上げてごらん夜の星を

(休憩15分)

ロジャース: 映画「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー

(アンコール)
山本直純: 好きです かわさき 愛の街
 

 新型コロナ感染の拡大により、長期に渡りオーケストラ公演が開催できず、各オーケストラとも経営危機に瀕しました。緊急事態宣言が解除され、全国の移動自粛の解除や、千人以下(収容人数の半分以下)のイベント開催も可能となり、各オーケストラとも公演再開に向けて、一斉に動き出しました。

 こんな中、川崎市とフランチャイズ契約を結び、ミューザ川崎シンフォニーホールを活動拠点とする東京交響楽団は、ミューザ川崎シンフォニーホールから無観客コンサートを無料配信することになりました。

 東京交響楽団は、感染拡大により観客を入れてのコンサートができなくなった3月に、無観客での演奏を「東京交響楽団Live from Muza!」として、ニコニコ生放送による無料配信を行い、のべ20万人以上が視聴し大きな話題となりました。私も大友直人さん指揮によるサン=サーンスの交響曲第3番を聴き、鬼気迫るような演奏に感動しました。また公演の録音はCD化されて好評を博しています。

 その後、緊急事態宣言が発令され、無観客での公演すらできない状況が続き、苦難の日々が続きました。そして長いトンネルを抜け、ようやくコンサート活動が再開できるようになりました。手始めとして、無観客での演奏を無料配信しようという試みがこのコンサートです。

 この配信では寄付金を同時に募り、9月30日までに集まった寄付金額と同額相当分を、1,000万円を上限に川崎市が支援することになり、マッチングギフトコンサートと命名されました。
 音楽の街・川崎の中心となるのが東京交響楽団であり、コロナ禍で経営難に苦しむ東京交響楽団を川崎市が支援するというイベントです。

 生配信は仕事で聴けませんでしたが、9月30日までの期間限定でタイムシフト機能により観ることができますので、時間をずらして視聴させていただき、コンサートに参加させていただくことにしました。


 開演時間が迫り、コンピューター前に静かに着席しました。ステージ上には、前方に2組のティンパニが向かい合って配置されており、左がやや小型、右が通常サイズです。中壇には3組の大小の太鼓、最後方には大・小のマリンバ、ビブラフォン、グロッケンシュピール等が並んでいます。

 時間となり、マスクをした2人の奏者が登場し、「2対のティンパニのためのマーチ」で開演しました。マーチというだけあって、リズム感、躍動感にあふれ、左右のティンパニが見事にシンクロし、ステレオ効果もたっぷりに楽しませてくれました。

 続いては、大小の太鼓の3組による演奏です。3人が力いっぱいに太鼓を打ち鳴らし、和太鼓のようにリズムを刻み、鼓童の演奏を聴くかのようでした。魂を揺さぶるリズムは、否応なしに胸を高ぶらせます。ホールで生で聴いたなら、体にダイレクトに振動が伝わり、感動もひとしおだったことでしょう。

 次は、マリンバ(大・小)、ビブラフォン、グロッケンシュピールの、4人の奏者による演奏で、「見上げてごらん夜の星を」です。マリンバとビブラフォンの柔らかな調べに煌びやかなグロッケンの音が絡み合い、胸を打つ優しい調べに感動を誘われました。


 休憩のアナウンスがあり、私もトイレ休憩しました、ステージが整えられ、後半は弦楽アンサンブルです。開演の鐘が鳴り、開演のアナウンスの後しばらくして、弦楽器奏者が登場しました。全員おそろいのグレーのマスクを着けています。
 弦5部は 8-6-4-3-2 という編成で、コンマスは水谷さん、次席は田尻さんです。ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置で、中央にチェロとヴィオラ、最後部にコントラバスが並びました。チェロ以外は立っての演奏です。

 指揮の原田さんが登場して、サウンド・オブ・ミュージックの誰もが知る名曲の数々がメドレーで演奏されました。軽快な見事なアンサンブルに、東響の弦楽セクションの力が示されました。

 無観客で拍手はありませんが、アンコールに「すきです かわさき 愛の街」が演奏されました。スポンサーの川崎市に捧げる曲だと思います。川崎市民なら誰もが知る曲らしいですが、歌詞も表示されました。

 全員がカメラに向かって手を振って終演となりましたが、パソコンの前で拍手しました。1時間足らずのコンサートではありましたが、このような素晴らしい演奏を無料で聴かせていただいて感謝です。
 
 

(客席:自宅 、無料)