DNPフィルハーモニック・アンサンブル第40回ふれあい音楽会
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2020年2月16日(日) 13:30 サントリーホール 大ホール
指揮:山口健一
ソプラノ:新居佐和子、アルト:紙谷弘子、テノール:伊藤潤
合唱:DNPフィルハーモニック合唱団
 


ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より 「凱旋行進曲」

ヴェルディ:歌劇「十字軍のロンバルディア人」より
       「第3幕への前奏曲」
       「エルサレム!エルサレム!」

プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」より 「私の名はミミ」
ビゼー:歌劇「カルメン」より 「ハバネラ」
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」より 「誰も寝てはならぬ」

マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より
       「間奏曲」
       「復活祭の讃歌』」

(アンコール)
J.シュトラウスII:喜歌劇「こうもり」より 「シャンパンの歌」

(休憩15分)

マーラー:交響曲第1番 二長調 {巨人」

(アンコール)
エルガー:威風堂々 第1番
 

 このコンサートは、DNPフィルハーモニック・アンサンブルの創立20周年記念演奏会です。DNPフィルハーモニックといっても、どういう団体か全く知りませんでしたが、大日本印刷(DNP)グループの社員とその家族で構成された音楽団体だそうです。
 要するに企業関係者によるアマオケなのですが、サントリーホールで公演するくらいですので、それなりの実力はあることは予想されます。私の好きなマーラーがプログラムにあり、チケットも安価でしたので、聴かせていただくことにしました。前半はオペラ名曲集、後半がマーラーの交響曲第1番です。

 昨日の好天から一転して、今日は気温も下がり、小雨が降って肌寒さも感じます。仕事を終えて、昼食をとる暇もなく、大急ぎでアークヒルズに着きますと、ほどなくして開場時間となり、ホール入り口のオルガン演奏とともに開場され、入場しました。今回の席は1階のほぼ中央です。2階席が好きなのですが、ネットで席指定できず、割り当てられたのがここでした。観客のほとんどはDNP関係者と思われますが、なかなかの客の入りです。

 ご存知のように、大日本印刷(DNP)といえば、日本を代表する大企業です。社員及びその家族で、このようなオーケストラや合唱団を作ってしまうというのはさすがです。さらに、指揮者までDNP社員というのは驚きです。

 P席に合唱団が入場。しばらくして団員が入場してチューニング。指揮者が登場して「アイーダ」で前半のオペラ名曲集が開演しました。荒削りではありましたが、オケと合唱とで迫力ある演奏を聴かせてくれました。ただし、例のファンファーレは、バンダでなく、オケの中での演奏でした。

 ここで指揮者の山口さんによる挨拶があり、以後指揮者による軽妙なMCにより曲目紹介しながら演奏が進められました。

 次はヴェルディの「十字軍のロンバルディア人」からの2曲です。指揮者がこれまで実演を聴いたことがないと話されていましたが、確かに初めて聞く名前です。
 「三重唱への前奏曲」は、コンマスのソロで、切々とした美しいメロディが奏でられました。「エルサレム!エルサレム!」は、合唱による劇的な曲で、聴き応え あり、どうして演奏されないのか不思議に思えました。

 続いては、独唱者を迎えて、有名なオペラのアリアか3曲演奏されました。さすがに独唱者は社員ではなく、プロの声楽家を招聘したようですね。
 ソプラノの新居さんが「私の名はミミ」を可憐に歌い、真っ赤なドレスのアルトの紙谷さんが「ハバネラ」を妖艶に歌い、コンマスとの絡みで笑いを誘いました。テノールの伊藤さんによる「誰も寝てはならぬ」は合唱も加わって劇的な演奏で酔わせました。

 次は、「カヴァレリア・ルスティカーナ」からの2曲です。有名な「間奏曲」はパイプオルガンも加わって、心に迫る音楽に胸を熱くしました。「復活祭の讃歌」は、合唱にソプラノ、アルトの独唱、さらにパイプオルガンも加わって、劇的に盛り上がり感動を誘いました。「間奏曲」は飽きるほど聴く機会がありますが、他にこんなに素晴らしい曲があるんですね。

 拍手に応えて、アンコールとして、独唱者の3人と合唱団がグラスを持って、「こうもり」からの「シャンパンの歌」を高らかに歌って前半を締めました。

 ここまでで結構なボリュームでお腹いっぱいになりました。オケも合唱も荒らさはありましたが、音は良く出ており、指揮者の分かりやすい、劇的な曲作りによって、楽しませていただき、大きな満足感をいただきました。

 後半はマーラーの交響曲第1番です。コンマスは若手に交代し、前半の年配のコンマスは第2ヴァイオリンのトップに移動しました。
 演奏は前半同様に、パワーに溢れ、元気いっぱいでした。さすがにアマチュアを感じさせる場面が多々ありましたが、アンサンブルの乱れも何のその、管が音を外しても気にすることはなく、力の限り突き進みました。
 若さと情熱に溢れる演奏は説得力があり、これでいいのだと思わせてしまう魔力を秘めていました。フィナーレではホルンが起立して力の限り勝利のファンファーレを歌い上げ、興奮と感動をもたらしました。疲れた心にパワーを注入してくれるような演奏に、元気をもらいました。

 アンコールは合唱とパイプオルガンが加わって「威風堂々」が演奏されました。これもグイグイと畳み掛けるような演奏で、合唱が歌い、オルガンが加わりますと、否応なしに感動させられました。

 荒削りな演奏はさすがにアマチュアですが、聴衆を感動させる力はプロにも勝ります。そして、指揮に、MCに大活躍だった山口さんにブラボーを贈りましょう。
 オケも合唱も指揮者も、みんなアマチュア。それなのに、こんなに感動を与えるなんて・・。音楽って不思議ですね。2時間半にも及ぶ内容豊富なコンサートに、感動と疲労をいただき、新潟への帰路に着きました。

 と、この原稿を書き終えたところで新幹線は大清水トンネルを抜け、新潟に入りました。明日の天気はどうかな・・。

 

(客席:1階11-18、S席:\2500)