第3回大谷康子とアンサンブルNORTH新潟
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2019年11月30日(土) 14:00 新潟市北区文化会館
ソロ・ヴァイオリン:大谷康子
アンサンブルNORTH新潟
 Vn:西本幸弘、新井貴盛、安達優希、武田桃子、三宅音菜、福田麻子
 Va:中村翔太郎、鈴木まり奈  Vc:ドミトリー・フェイギン、西谷牧人  Cb:黒木岩寿
ソプラノ:今井あい
 
大島ミチル/横山真男編:天地人〜オープニングテーマ
ヴィヴァルディ:「四季」より 秋 第1楽章
アラール:「椿姫ファンタジー」より 乾杯の歌
J.シュトラウスU:「こうもり」より 公爵さま、あなたのようなお方が
ヴェイヴォダ/横山真男編:ビア樽ポルカ
J.シュトラウスU:酒、女、歌
ロンビ:シャンパン・ギャロップ
ビゼー:歌劇「カルメン」より ハバネラ
ミローネ:カルメン・ファンタジー

(休憩15分)

ヴュータン:アメリカの思い出
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲「アメリカ」より 第1楽章
ピアソラ:私は期待する
ピアソラ:同じ悲しみ
フォスター:ケンタッキーの我が家
フォスター:おお、スザンナ
フォスター:草競馬
アンダーソン:ワルツィング・キャット
アンダーソン:シンコペーテッド・クロック
アンダーソン:フィドル・ファドル

(アンコール)
聖者の行進
 

 2017年に始まった「大谷康子とアンサンブルNORTH新潟」のコンサートです。2017年の第1回、2018年の第2回と聴いていますので、第3回も聴かせていただくことにしました。今回のテーマは「酒と米と歌」。どんな曲をどんな演奏で聴かせてくれるか楽しみでした。

 「アンサンブルNORTH新潟」は、北区文化会館の座付きアンサンブルとして、新進気鋭の若手プロ音楽家11人によって結成されています。
 毎回メンバーの入れ替わりがありますが、若手というには失礼なベテラン音楽家もいらっしゃいます。コンマスは、仙台フィル、九州交響楽団のコンマスを務める西本さんです。今回はチェロに東京交響楽団を今年退団された西谷さんも参加されています。ゲストは昨年同様に今井あいさんです。

 大谷さんは東京交響楽団の定期演奏会を通じて新潟では絶大な人気を誇るヴァイオリニストです。私も東響新潟定期が始まってコンミスとして来演されたときからのファンです。
 活発な演奏活動をされており、先週はウクライナでキエフ国立フィルとの公演を終えて、ヨーロッパから帰られたばかりのはずであり、ご苦労様です。(前日に新潟入りしてリハをされていたようです。)
 テレビでもご活躍であり、毎週土曜日朝8時からBSテレ東で放送されている「おんがく交差点」はときどき観させていただいています。今朝も拝見しましたが、その大谷さんが眼前におられるというのは幸せなことです。

 11月も今日で終わりです。今週は海岸平野部でも雪が降り、いよいよ冬到来を実感しました。今日の夜は月岡温泉で仕事関係の忘年会です。北区文化会館は月岡に行く途中にありますので、ついでといっては失礼になりますが、ちょうど良いコンサートです。

 今日も天候はすぐれず、鉛色の空が広がり、肌寒さを感じます。某所で昼食を摂り、ゆっくりと会場入りしました。中に入りますと、ロビーでは日本酒のイベントをやっていて、オープニングの鏡開きのときには大谷さんのお姿もありました。北区内の酒蔵の酒が振る舞われていましたが、車で来た私は飲めなくて残念でした。
 そう言えば、今日のコンサートのテーマは「酒と米と歌」でしたものね。入場時には、枡酒用の桧枡と新之助の煎餅が配られました。


 時間となり、白地に赤い薔薇のドレスの大谷さんと、アンサンブルNORTHの皆さんが登場。最初は和太鼓の小倉さんをゲストに迎え、新潟にちなんだ曲ということで毎回恒例の天地人のテーマで開演しました。和太鼓の連打で盛り上げ、オープニングを飾るにふさわしい演奏でした。

 以後、大谷さんのMCで演奏が進められました。前半は「酒」にちなんだ曲が選曲されました。福田さん独奏による「秋」、大谷さん独奏の「乾杯の歌」と、素晴らしい弦楽アンサンブルと独奏ヴァイオリンで魅了しました。
 続いてソプラノの今井さんを迎えての「公爵さま、あなたのようなお方が」でオペレッタの世界へと誘い、「ビア樽ポルカ」、「酒、女、歌」、「シャンパン・ギャロップ」と楽しい演奏が続きました。「シャンパン・ギャロップ」では、昨年同様に、コンサートを企画した伊藤裕太さんが私の後方の客席から登場し、効果音で盛り上げました。
 次は再び今井さんが衣裳替えして登場して「ハバネラ」。今井さんの妖艶な容姿と歌にノックアウトされました。
 そして前半最後はミローネのカルメン・ファンタジー。ヴァイオリン4人(大谷、武田、安達、三宅)とコントラバス(黒木)という珍しい編成で、なかなか演奏されない曲とのことでした。途中「カルメン」とは関係ないメロディも出てきたりして、内容に富んだ曲であり、聴き映えするいい演奏でした。

 休憩後の後半は、「米」にちなんだ曲ということですが、「米」→「米国」→「アメリカ」ということで、かなりのこじ付けでの選曲です。
 最初は新井さんのヴァイオリン独奏で「アメリカの思い出」。ピアノとヴァイオリンの曲を無伴奏ヴァイオリンに自身で編曲したとのことで、超絶技巧で魅了しました。
 次は弦楽四重奏(西本、武田、中村、フェイギン)で「アメリカ」。臨時編成とは思えない素晴らしい演奏であり、さすがプロと唸らせました。全曲聴いてみたかったです。
 続いてはチェロ(西谷)とコントラバス(黒木)で南米の曲ということで、ピアソラの「私は期待する」と「同じ悲しみ」を情感豊かに演奏しました。
 続いてアメリカに戻り、全員で登場してフォスターの名曲を3曲、さらにアンダーソンを3曲演奏して予定されたプログラムを終了しました。「シンコペーテッド・クロック」では西本さんが時計の音を刻み、芸達者振りを披露。大谷さんもトライアングルを鳴らして楽しませてくれました。
 肩の凝らない曲を、抜群のアンサンブルで楽しく演奏し、聴く方も心が和みました。大谷さんが口にしていた音楽は楽しくなければいけないということを実感しました。

 内容豊富なプログラムで、予定はかなり遅れ、大急ぎでのアンコールは「聖者の行進」。大谷さんと女性ヴァイオリニスト、そしてチェロの西谷さんが客席に出て演奏して大盛り上がりになりました。これを見越して、前方の通路沿いの席を取りましたので、見事に私のすぐ横で演奏してくれて良かったです。西谷さんの歩きながらのチェロ演奏もたいしたものですね。

 ボリュームたっぷりのプログラム。そして名手による素晴らしい演奏。サービス精神に溢れる大谷さん。いずれをとっても大満足の内容でした。来年はどうなるのか不明ですが、継続してもらいたいものですね。

  

(客席:6-8、\3900)