第2回大谷康子とアンサンブルNORTH新潟
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2018年12月1日(土) 14:00  新潟市北区文化会館
 
ソロヴァイオリン:大谷康子
アンサンブルNORTH新潟
  ヴァイオリン:西本幸弘、新井貴盛、武田桃子、安達優希、盛川奈々、伊東翔太
  ヴィオラ:市坪俊彦、戸原 直 チェロ:ドミトリー・フェイギン、辻本 玲
  コントラバス:樋口 誠  ゲストパーカッション:小倉玲美

ゲスト:(ソプラノ)今井あい
 

ヨハン・シュランメル:ウィーンはいつもウィーン
大島ミチル/横山真男編:天地人 より オープニングテーマ
クライスラー:愛の喜び
(西本幸弘)
クライスラー:愛の悲しみ
(新井貴盛)
クライスラー:美しきロスマリン
(大谷康子)
ヨハン・シュトラウスII:ウィーンの森の物語
ヨハン・シュトラウスII/ヨーゼフ・シュトラウス:ピチカートポルカ
ハンス・クリスチャン・ロンビ:シャンパンギャロップ
ヨハン・シュトラウスII:狩り

(休憩15分)

ヘンデル/ハルヴォルセン編:ヘンデルの主題によるパッサカリア
(武田桃子、戸原 直)
オッフェンバック:チェロ二重奏曲 Op.52-3
(ドミトリー・フェイギン、辻本 玲)
フベンティーノ・ローサス:波濤を越えて
ヨハン・シュトラウスII:春の声
(ソプラノ:今井あい)
ヨハン・シュトラウスII:観光列車
ヨハン・シュトラウスII:雷鳴と稲妻
ヨハン・シュトラウスII:美しき青きドナウ

(アンコール)
ヨハン・シュトラウスI:ラデツキー行進曲

 昨年から始まった大谷康子さんとアンサンブルNORTH新潟のコンサートです。昨年の第1回演奏会に引き続いて聴きに行くことにしました。今回のテーマは“ウィーン”です。

 雨がぱらついたり、寒風が吹いたりと、天候がすぐれない中、北区文化会館に到着しました。実は、開演前にロビーコンサートがあるかもしれないと期待し、早めに会場入りしたのですが、残念ながらなかったです。ロビーで開場を待ちながら、この文章を書き始めました。

 大谷さんは1998年の東京交響楽団新潟定期演奏会の開始以来、新潟との親密な関係が始まり、人気は絶大となり、その縁もあって、北区文化会館との関係も始まったようです。
 アンサンブルNORTH新潟は、北区文化会館の座付きプロアンサンブルとして昨年結成され、若手、ベテランを含めて実力者揃いです。昨年のメンバーとは若干の入れ替わりがあるようです。
 コンマスは、仙台フィル、九州交響楽団のコンマスを務める西本さんです。ヴィオラには、先日長岡での澤クヮルテットコンサートに出演されていた市坪さんのお姿もありました。大谷さんをはじめとして、女性陣はカラフルなドレス姿で容姿端麗。美しさにうっとりです。

 開演時間となり、「ウィーンはいつもウィーン」で開演しました。ステージには大谷さんの姿はなく、他にも空席があってどうしたのかと思いましたが、オレンジ色のドレスの大谷さんが、ヴァイオリンの新井さん、盛川さん(うすピンクのドレス)、ヴィオラの戸原さんとともに客席から登場し、演奏しながら回ってステージに上がりました。私はこういう演出を予想して前方の通路横の席を確保していましたので、私のすぐ横で大谷さんが演奏してくれました。

 以後、大谷さんの曲目紹介と解説を交えながら演奏が進められました。2曲目は新潟にちなんだ曲ということで、昨年同様に「天地人」のテーマが演奏されました。和太鼓は昨年同様にゲストの小倉さんです。ちなみに小倉さんは北区フィルの打楽器奏者とのことです。和太鼓の迫力ある響きとともにダイナミックな演奏を聴かせてくれました。

 続いてはクライスラーの名曲を3曲、曲ごとに独奏者を変えて演奏されました。ソロは、「愛の喜び」は西本さん、「愛の悲しみ」は新井さん、そして「美しきロスマリン」が大谷さんでした。いずれのソロも魅力がありましたが、大谷さんの存在感はさすがですね。

 次はウインナワルツの名曲「ウィーンの森の物語」でしたが、チターの部分は弦楽四重奏で演奏されてムードたっぷりでした。この辺のことを大谷さんは詳しく解説してくれました。

 続いて「ピチカートポルカ」。オレンジのドレスが麗しいヴァイオリンの安達さんがグロッケンシュピールを演奏して華を添えました。

 次は「シャンパンギャロップ」。シャンパンの栓を抜く音を出す役を客席から募りましたが、私のすぐ前の男性が手を上げてステージへ登壇しました。実は一般人はでなくて、仕込まれた人で、コンサートの企画をされた伊藤裕太さんでした。楽譜を見ながらしっかりとポップガンで音を出し、見事な演奏。これは素人には真似できませんね。

 そして前半最後は「狩り」で、コンマスの西本さんが大太鼓と鉄砲(ピストル)で大活躍されて楽しませてくれました。

 休憩後の後半は、名人芸披露のコーナーとして、水色のドレス姿が美しいヴァイオリンの武田さんとヴィオラの戸原さんによる「パッサカリア」。重音により二重奏ながらも弦楽四重奏を聴くかのような豊潤な響きがあり、演奏技術の素晴らしさもあって、聴き応えある仕上がりに感動しました。

 続いてはフェイギンさんと辻本さんによる「チェロニ重奏曲」。オッフェンバックといっても「天国と地獄」しか知らない私には初めて聴く珍しい曲でしたが、美しいアンサンブルにうっとりと聴き入りました。

 次は新潟港開港150周年を記念してとのことで、「波濤を越えて」が演奏されました。美しい弦楽アンサンブルの厚い響きで魅了しました。

 続いてゲストの今井あいさんを迎えて「春の声」。今日のためにパリから帰国したとのことです。裾に花模様があしらわれた白いドレスが春を演出していました。今井さんの歌声を聴くのは2015年7月以来ですが、妖艶さが漂い華を感じさせます。美しいコロラトゥーラソプラノで歌いきりました。

 次は「観光列車」。西本さんが帽子をかぶって駅員を演じて、汽笛の笛を吹いて大活躍。ホールを沸かせました。コンマスがここまで芸をするなんて、このコンサートならではでしょう。

 続いて「雷鳴と稲妻」。今度は大谷さんが大太鼓を担当し、見事に雷鳴を演じてくれました。迫力ある音で演奏効果を上げていました。さすがに芸達者でいらっしゃいますね。

 そして最後は「美しき青きドナウ」。美しいワルツの調べでプログラムの最後を締めくくってくれました。アンコールはもちろん「ラデツキー行進曲」。和太鼓を叩いた小倉さんの小太鼓とともに演奏開始。企画の伊藤さんが大太鼓、そして今井さんは手拍子と全員参加です。
 大谷さんのほかに、今井さんと美しき女性ヴァイオリン奏者も客席に出て演奏しました。最初と同様に私のすぐ横で大谷さんや他の奏者が演奏し、音楽的にも視覚的にも楽しませていただきました。良い席を選んでよかったです。

 実力あるプロ奏者からなる弦楽アンサンブルにより作り出される極上のサウンド。贅沢なひと時を過ごさせていただきました。曲目も馴染みやすい名曲ばかりで、大谷さんの楽しいトークもあって、あっという間の2時間でした。
 客席には空席もありましたが、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいですね。来年の開催も決まっており、来年は11月30日だそうです。皆さん是非聴きに行きましょう。
 

(客席: 8-8、¥3800)