Noism15周年記念公演 『Mirroring Memoriesーそれは尊き光のごとく』 新作『FratresT』
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2019年7月19日(金) 19:00 新潟市民芸術文化会館 劇場
Noism1
演出振付・出演:金森 穣
 

『Mirroring Memories−それは尊き光のごとく』

  00 『Distant Memory』(2018)
  01 『Nameless Hands-人形の家』(2018)より「彼と彼女」
  02 『Nameless Poison-黒衣の僧』(2009)より「病んだ医者と貞淑な娼婦」
  03 劇的舞踊『ホフマン物語』(2010)より「アントニオの病」
  04 劇的舞踊『カルメン』(2014)より「ミカエラの孤独」
  05 『Nameless Voice-水の庭、砂の家』(2012)より「シーン9-家族」
  06 『Psychic 3.11』(2011)より「Contrapunctus」
  07 『ASU』(2014)より「生贄」
  08 劇的舞踊『ラ・バヤデール-幻の国』(2016)より「ミランの幻影」
  09 『ZAZA』(2013)より「群れ」
  10 『マッチ売りの話』(2017)より「拭えぬ原罪」
  11 『Scherazen(痛み)』(2019) (新作)
  12 『Traume-それは尊き光のごとく』(2018)


(休憩10分)

『Fratres T』
   音楽:アルヴォ・ペルト:Fratres for strings and percussion
 

 2004年に設立された Noism の15周年記念公演です。私は数回しか公演を観ていませんが、15周年という節目の公演であり、また、今後の活動延長がどうなるのか市長の判断に委ねられている現状もあり、応援の意味も含めて、観に行くことにしました。

 今回の公演は、新潟で3公演、東京で3公演開催されますが、その初日に参加しました。平日は行きにくいのですが、予定を調整して予定通りに無事行くことができました。

 私の席は後方のA席。ステージ全体を見渡せるのが利点です。平日ではありますが客席は老若男女で賑わいを見せていました。

 場内が暗転して、前半の開演です。Noismの歴史を振り返るような映像投影に続き、Noismの最近10年間の作品から、オムニバス形式で11演目、それに新作の1演目が加えられ、連続的に演じられました。
 ステージにはマジックミラーが円弧状に配されただけで、いたってシンプルですが、各場面ごとに反射したり、透過したりして、すばらしい効果をあげていました。
 金森さん自身の出演もあり、舞踊の素晴らしさは言うまでもありませんが、音楽も素晴らしく、うっとりと見入るのみでした。もっと前からNoismに接していたら、私の人生はもっと豊かになっていたに違いありません。それぞれの作品のエッセンスを目にし、圧倒され、この場にいることの幸せを実感しました。

 短い休憩の後、後半は12分ほどの短い新作「Fratres I」です。「I」が付いているように、冬の公演に「II」が予定されているそうです。
 ステージ上に並んだ各出演者に個々に丸いスポットが当てられ、私の好きなペルトの音楽に載せて、一糸乱れぬダンスが繰り広げられました。寸分の狂いもない群舞に目を見張る中、ラストの驚愕の演出にあっけにとられました。こんな演出を可能にするのも、りゅーとぴあの劇場ならではでしょう。(東京公演もこの演出が可能なホールが選ばれたものと推測します。)
 当初は、後半の演目の時間的短さが気になりましたが、圧倒的な演出とパフォーマンスに、静かな感動が胸に込み上げてきました。
 公演はこれからも続きますので、記載は避けますが、こんなにも見事な作品の初演に立ち会えた喜びと感動に胸を熱くしました。私の乏しい語彙では表現のしようがありません。文才のなさを嘆くのみです。

 Noismは世界に誇りうる新潟の宝であることを、改めて実感しました。これは何としても新潟の誇りとして活動を続けてもらわなければなりません。
 今後の継続は、8月に市長が判断するそうですが、中原市長の真価が問われましょう。当然公演を観て判断されるはずでしょうが、感動していただけるものと確信します。

 金森さんがプログラムに書かれていますが、このような小品の構想ばかり思い浮かび、構想・準備に長期間かかる大作に挑む気持ちが湧いてこないそうです。今後の活動継続が決まっていない中では当然であり、この15周年記念公演のメインにこの小品を演じたことの中に、金森さんの熱いメッセージが込めれているようにも思います。

 Noismの素晴らしさ、Noismが新潟にあることの喜びを感じ、Noismは新潟の誇りであり、採算抜きに維持していかねばならないことを確信しました。今後の更なる発展を祈念し、ホールを後にしました。

 

(客席:2階17-24、A席:会員割引:¥2700)