東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ第107回
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2018年11月10日(土) 14:00  東京オペラシティ コンサートホール
 
指揮:ジョナサン・ノット
ヴァイオリン:神尾真由子
コンサートマスター:水谷 晃
 


 

モーツァルト:セレナード第13番 ト長調 K.525
        「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」

ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 二調

(休憩20分)

ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調 作品60

 今日は東京出張があり、せっかくですので、このコンサートを聴いて帰ることにしました。7月に次いで、東響新潟定期会員の特典である無料招待を利用し、2週連続の東京交響楽団となりました。

 今回は東京オペラシティシリーズで、指揮者は、先週驚異的な名演を聴かせてくれた音楽監督のノットさん、共演は神尾真由子さんです。神尾さんの演奏を聴くのは、2017年10月の第103回新潟定期以来になります。前回はショスタコーヴィチで、今回はストラヴィンスキーです。

 出張先の有明からりんかい線経由で新宿に出て、京王新線で初台へ。ちょうど開場時間となり、招待券を入場券に引き換えて入場しました。与えられた席は、1階席の中央、S席エリアの上席です。買えば8000円ですので、ありがたい話です。定期会員の特典ですので、皆さんも会員になりましょう。

 拍手の無い中に団員が入場。コンマスの水谷さんが登場して、漸く拍手が贈られました。先週の大曲とは違って、今日は小振りな曲ですので、オケもこじんまりしています。オケの配置は先週同様の対向配置です。

 最初は弦楽だけで、モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハト・ムジークです。編成は小さく、6-6-4-3-2の6型。
スピードは速めに、独特の節回しとアクセントで、聴き飽きた感のあるこの曲に、これまで聴いたことのないような新鮮なときめきを感じさせました。でも、ちょっと癖が強すぎたかも…。

 続いて、弦が若干増強されて8型となり、たくさんの管楽器と打楽器が加わり、ストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲です。この曲の実演を聴くのは、2008年2月の第46回新潟定期で庄司紗矢香さんの演奏で聴いて以来となります。
 青いドレスの神尾さんが登場。緊張感漂う中にぐいぐいと迫り、聴く者の心を鷲掴みにし、続く第2、第3楽章は神秘的な響きでゆったりと歌わせ、幽玄の世界へ誘いました。第4楽章は跳び跳ねるように駆け抜け、聴衆の興奮を誘ってフィナーレへと突進しました。大きな拍手とプラボーが贈られましたが、アンコールなしで休憩に入りました。

 休憩後、再び拍手の無い中に団員が入場。オケのサイズはやや大きくなって、私の目視で12型でしょうか。第1楽章は、最初はゆっくりとした足取りで、一歩一歩踏みしめるように進み、その後は爽やかに、生き生きと、草原を吹き抜ける風のように走り回りました。
 第2楽章はゆったりと穏やかに歌わせ、第3楽章はアクセントを大きくつけて快活に、そして、第4楽章はスピードアップして、高速道路をスポーツカーで蒙スピードで走り抜けるかのように、爽快感と踊り出したくなるような精神的高揚感を生み出しました。
 東響の皆さんは、弦も管も打楽器も、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。特に木管の皆さんの曲芸のような速い指使いに感動しました。
 こんな演奏を聴かされては興奮せずにはいられません。大きな拍手とプラボーの中に終演となりました。この曲のCDは、クライバー/バイエルン国立歌劇場管のライブ盤が最高と思っていますが、それにも勝る感動をいただきました。やはり生で聴かないといけませんね。
 演奏がどうの、精神性がどうのとご託を並べるのは馬鹿らしく、理屈抜きに楽しめる演奏でした。疲れもストレスも一掃される気持ち良い演奏に気分も爽やか。大きな満足感を胸に、新潟への帰路につきました。

 と、帰りの新幹線の中でこの文章を綴っていますが、書いているうちに、再び興奮がよみがえります。ノットさんと東響の相性良さは揺るぎないことを再認識しました。
 ちなみに、今回首席フルート奏者の甲藤さんが使用したフルートは、ノットさん所有のプラチナ製だそうです。素人の私には違いはわかりませんですけれど…。

 入場のときに、プログラムと共に12月2日の新潟定期のチラシも配布されました。通常は東京公演の翌日に新潟定期というパターンですが、次回は新潟独自のプログラムですので、東京からも新潟に聴きに来てくれると良いですね。
 

(客席:1階14-26、S席:定期会員招待)