プロジェクト・リュリ 第11回演奏会 クープランの諸相
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2018年11月4日(日) 14:00  だいしホール
 
ヴァイオリン:佐野正俊、ヴィオラ・ダ・ガンバ:中山 徹、チェンバロ:師岡雪子
(友情出演)ソプラノ:風間左智、ヴァイオリン:庄司 愛
 


フランソワ・クープラン:組曲「フランス人」より 「ソナード」

フランソワ・クープラン:「趣味の和、または新しいコンセール」より
              第11番 ハ短調

ジャン=マリー・ルクレール:
   ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバ、チャンバロのためのトリオ op.2-8

(休憩15分)

フランソワ・クープラン:ガンバ組曲 第1番 ホ短調

マルカントワーヌ・シャルパンテイェ:牧歌劇「花咲ける芸術」 H.487 抜粋
    序曲
    第1場から
    第4場
    第5場から

(アンコール)
アダム・クリーガー:愛(の神)は昼と夜とを支配する

 古楽アンサンブルのプロジェクト・リュリの演奏会です。旧知のN先生からご案内をいただき、2009年の第3回演奏会から2015年の第8回演奏会までは毎回聴かせていただいていましたが、2016年、2017年と、ほかの予定と重なってしまって行くことができず、今回こそはということで駆けつけました。
 今回は回数を重ねて11回目の演奏会です。古楽という馴染みにくいジャンルではありますが、長らく継続されているのは素晴らしいことと思います。

 りゅーとぴあから急ぎ足で古町を抜けて、開演2分前にだいしホールに到着しました。受付にはN先生がおられて挨拶しましたが、開演直前なのに、ここにいていいの? と、余計な心配。

 いつもの席に着席。マニアックなコンサートではありますが、客の入りとしましては、なかなかではなかったでしょうか。

 開演時間となり、最初は、佐野、庄司、中山、師岡の4人で、クープランの組曲「フランス人」から「ソナード」です。ノンビブラートの古楽奏法で奏でられる音楽は優雅であり、一気に現代からフランス王宮へとタイムスリップしたかのようでした。
 熟練の佐野さん、今が盛りの庄司さん。微妙な音色の違いが良いですね。中山さんのガンバが音楽を支え、師岡さんのチェンバロが華を添えました。

 続く「趣味の和、または新しいコンセール」は、佐野、中山、師岡のプロジェクト・リュリのメンバーで演奏されました。安定感のある演奏で、気持ち良く心に響きました。

 前半最後のルクレールの「ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロのためのトリオ」は、庄司、中山、師岡の3人で演奏され、それぞれが持ち味を発揮して、聴き映えのある演奏で楽しませてくれました。

 休憩後の後半最初は、中山さんと師岡さんによるクープランの「ガンバ組曲」です。これは中山さんの真骨頂とでもいいますか、卓越した演奏技術をバックに、熟練の技を披露してくれました。ガンバの魅力を知らしめるような演奏に、ただただ聴き惚れるばかりでした。

 最後は4人に風間さんが加わって、シャルパンティエの「花咲ける芸術」の抜粋が演奏されました。4人の演奏の良さはこれまでと変わることはありませんが、ここは、風間さんの魅力が際立ちました。古い時代の音楽には風間さんは欠かすことができず、新潟の第一人者と言っても良いでしょう。
 ステージを移動しながら優雅な歌で魅了し、音楽の世界へ引き込まれるようでした。さすがですね。アンコールはドイツのクリーガーの歌曲で〆て終演となりました。

 音楽的素養のない私は、古楽を理解するには至りませんが、優雅な宮廷世界に誘われ、耳に優しく、心に優しく、癒しのひと時を過ごしました。
 プロジェクト・リュリの3人、そして友情出演の2人、それぞれの音楽性の高さが伺えた素晴らしい演奏会だったと思います。11回の歴史の中で、音楽が磨き上げられてきたものと思います。

 先日江南区文化会館でイタリアの古楽を聴く機会がありましたが、新潟の音楽家による古楽も良いですね。プロジェクト・リュリの皆さんの益々の活躍を祈りつつ、会場を後にしました。
 
 

(客席:F-6、¥1000)