日本・リヒテンシュタイン公国友好99周年記念コンサート
イタリア音楽、黄金時代 ツィンク・ソプラノ・オルガンによる 16世紀17世紀の珠玉の響き
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2018年10月28日(日) 14:30  新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール
 
ソプラノ:アリーチェ・ボルチャーニ
ツィンク:ピエトロ・モデスティ
オルガン:ムリス野田亜希
 

ジョヴァンニ・パオロ・チーマ:「我が愛する者よ、立ちて急げ」
レオーネ・レオーニ:「見よ、あなたに大いなる喜びを告げる」
アレッサンドロ・グランディ:「ああ、甘美なるイエスの御名」
ジョヴァンニ・ガブリエーリ:カンツォン 第2番
カルロG:「その影の下で」
バルトロメオ・バルバリーニ:「来たれ、主よ」
カルロG:「咲け、花々よ」
タルクイニオ・メールラ:半音階によるカプリッチョ
タルクイニオ・メールラ:「全てのものよ、喜ばん」

(休憩)15分

アンドレア・ガブリエーリ:パッサメッツォ・アンティコ
ジャック・アルカデルト:「ああ、幸福な私の目よ」
ベネデット・フェッラーリ:「この鋭いトゲよ」
ステファノ・ランディ:「ああアマリリスよ、来ておくれ」
タルクィニオ・メールラ:カンツォーネ ハ長調
クラウディオ・モンテヴェルディ:「西風が戻り」

(アンコール) ふるさと
 

 このコンサートは、どういう趣旨のコンサートか良く分からなかったのですが、チラシの端に、小さく日本・リヒテンシュタイン公国友好99周年記念コンサートとあり、2018年第14回SWISS WEEK とも書かれていました。そういえば、同趣旨のコンサートが以前にも開催されていたことを思い出しました。

 スイスのバーゼル在住の野川等氏を中心に、2008年に創設された「若手音楽家育成アヤメ基金」の主催によるコンサートで、日本、スイス、その他の国の若手音楽家が共演する機会を提供することにより、関係国の文化交流促進に寄与することを目的としているそうです。
 バーゼルの音楽大学「スコラ・カントルム」は、古楽の教育・研究・普及に貢献しており、ここの卒業生・在校生を初め、世界の優秀な若手音楽家による、古楽のコンサートが「SWISS WEEK」であり、今回が14回目ということになるようです。これまで日本の各地で開催されてきましたが、何度かは新潟でも開催されています。また、日本リヒテンシュタイン友好協会が協賛となっていて、友好コンサートの冠が付いているようです。

 そういう趣旨は別にしまして、聴いたことのないツィンクという楽器に興味があり、オルガンとソプラノとの組み合わせも面白そうであり、聴きに行くことにしました。でも、なぜ江南区文化会館なんでしょうね。集客しにくいと思うのですけれど・・・。

 ということで、期待を持って楽しみにしていたのですが、所用が入り、行けないものと一旦はあきらめたのですが、用件が予定より早く終わり、途中からではありましたが聴くことができました。

 前半の途中の曲間に入場し、前方に席を取りました。客の入りは・・・。少数精鋭ということで・・。あまり宣伝されず、知名度も無い出演者、ちょっとマニアックな古楽、そして車がなければ行きにくい会場、いろんな要素が重なったのでしょうね。

 ステージ中央にポジティブオルガン、左にツィンク、右にソプラノという配置でした。オルガン独奏を間に挟みながら、オルガンとツィンク、オルガンとソプラノ、オルガンとツィンクとソプラノなど、曲毎に組み合わせを変えて演奏されました。
 野田さんの楽器解説(ツィンクとオルガンの解説)がありましたが、ツィンクはなかなか面白い楽器ですね。ツィンクはドイツ語で、イタリア語ではコルネットというそうです。現代にあるコルネットとは別の楽器であり、15〜17世紀に栄えたようですが、その後滅んでしまったそうです。
 弓状に反り返った木製の楽器で、マウスピースに唇を震わせて音を出し、音孔により音程を調節するそうです。音色はトランペットに似ていて、人間の声のように、歌うように演奏されました。

 曲目は標題のように、16〜17世紀のイタリア音楽で、前半は宗教曲で歌詞はラテン語、後半は世俗曲で歌詞はイタリア語だそうです。
 どれもが初めて聴く曲でしたが、宮廷でのサロンコンサートというような優雅な雰囲気で、気持ち良く音楽に身を委ねることができました。

 アンコールに「ふるさと」を演奏し、アヤメ基金の野上理事長の挨拶があって終演となりました。来年も音楽文化会館で開催するとの話がありました。

 新潟市との共催ということでしたので、もう少し集客できても良かったのではないかと思いました。2500円の入場料でしたが、配布されたプログラムは曲目が書かれたA4の紙が1枚だけで寂しかったです。曲目解説でもあると良かったですが・・・。
 演奏そのものは良かったです。オルガンもソプラノも良かったですが、ツィンクという楽器を知ることができたのが一番の収穫でした。

 古楽に疎い私ですが、たまには良いですね。ちょっと優雅な気分に浸りながら会場を後にし、バイパスを家路に着きました。
 

(客席:4-11、¥2500)