反田恭平ピアノリサイタル
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2018年9月8日(土) 14:00  長岡市立劇場 大ホール
 
ピアノ:反田恭平
 

ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」

(休憩20分)

ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」

ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番 ヘ短調 作品57 「熱情」

(アンコール)
ショパン:アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ
ショパン:エチュード Op.72、No.12
ショパン:24プレリュード Op.28

 このところ生活があわただしく、コンサートから遠ざかっていましたが、久しぶりのコンサートに出かけました。今日は反田恭平のリサイタルです。TVでの演奏で、そのすごさを見聞きしていましたが、実演を聴いたことはなく、このコンサートのチケット発売とともにネット購入し、楽しみにしていました。

 今週末は天候が優れず、今日も小雨が降って、肌寒さも感じます。いつものように、分水・与板経由で長岡入りしました。信号のない農道は快適です。予想外に順調に到着したため、某所でゆっくりと休憩して長岡市立劇場に到着しました。
 長岡市立劇場は長期の改修工事で休館していて、この夏にリニューアルオープンしました。リニューアルオープン記念の催しがたくさん行われていますが、今日のコンサートも記念公演のひとつになっています。
 
 中に入りますとすでに開場されていて、ホール内は多くの観客でにぎわっていました。席に着いてびっくり。何と隣の席に知人の姿が・・。偶然とはいえ、こんなこともあるんですね。さらには後方の席にも知人がいてさらに驚き。新潟市からの遠征組も多いようです。

 開演時間となり、ゆっくりとした足取りで反田さんが登場。今日はオール・ベートーヴェン・プログラムですが、「創作主題による32の変奏曲」で演奏開始です。
 緩急自在、ダイナミックレンジを大きくとり、1曲目にして実力を見せつけられました。音量豊かながらも音のクリアさを失わず、あふれ出る音楽性の豊かさに驚くばかりでした。

 続いては「悲壮」。第1、第3楽章は変幻自在にダイナミックに演奏し、それとは対極的に、緩徐楽章である第2楽章は、これでもかというくらいにゆったりと歌わせて、夢幻の世界へと誘いました。もう参ったというしかありません。

 休憩後は「月光」。ゆったりとした第1楽章。寒々とした風景ではなく、広葉樹林の深い森に降り注ぐ満月をイメージしました。まさに、一色まことの名作「ピアノの森」の森の風景です。
 第2楽章はギアを一つ上げて現実に立ち戻り、そして圧倒的スピードとパワーで駆け抜ける第3楽章。ただただ圧倒されました。

 そして真骨頂は「熱情」。爆発する音楽は気分爽快です。最終楽章のスピードは、これ以上ないほどのもの。制限速度無制限のアウトバーンをF1マシンで駆け抜けるかのようでした。

 これで興奮しないわけはなく、スタンディングオベーションとなり、アンコールはショパンを3曲。これもベートーヴェンと同様に、メロディラインと強弱を大きく揺り動かし、最初はショパンかどうかも分からないほどでした。
 すべての曲を反田さんの体内に取り込み、反芻され、新たな生き生きとした音楽に変化させ、火山が爆発するがごとく、燃えるような音楽が生み出されました。

 もう、反田ワールドの虜です。噂以上の実力と魅力。大したものです。もっと驚きは、今月24歳になったばかりということ。これからの楽しみが尽きません。

 おそるべき才能に心踊らされ、気分よく新潟へと帰路につきました。

 

(客席:20-36、\3500)