東響新潟定期演奏会には、年に1回、にいがた東響コーラスと共演するお祭り的公演がありますが、今シーズンは飯森さん指揮によるヴェルディのレクイエムです。
通常の新潟定期は、前日に東京か川崎で公演した後に、同じ内容のプログラムをやるのが通例ですが、昨日の東響は、サントリーホールで、沼尻さんの指揮でこども定期演奏会をやっていましたから、今回は新潟独自のプログラムです。(正確には、7月29日に、同じ指揮者、同じ独唱者で八王子で演奏会がありますが。)
さて、ヴェルディのレクイエムは名曲であり、108回を誇る新潟定期の中で当然取り上げられるべき曲と思うのですが、今回が初めてになります。東響定期以外でも新潟市ではこれまで聴く機会はなく、個人的には、2002年4月に、長岡での東京フィルの演奏を聴いて以来で、実に16年振りになります。レクイエムながらもドラマチックなこの曲は、CDではなく、やはり生で味わいたいものです。
ということで、今シーズンの新潟定期の演目の中で最も楽しみにしていました。いつもはお昼にあるロビーコンサートも聴くのですが、今回は開演時間が早くて都合がつかずに断念しました。
西日本は大雨被害が続いていますが、今日の新潟は天候が回復して、青空が気持ち良い日曜日になりました。某所で休息をとり、4時過ぎに白山公園駐車場に車を入れようと思いましたが満車。今日は色々と催しが重なったようですね。隣の陸上競技場に空きがありましたので、車を止め、ゆっくりとりゅーとぴあへと向かいました。ちょうど開場が始まり、私も早めに入場して、この原稿を書き始めました。
ステージ後方には合唱団席が組まれていて、オケの配置は、ヴァイオリンが左右に分かれ、コントラバスとチェロが左、ヴィオラが右の対向配置でした。ステージ上ではコントラバスの皆さんとティンパニが音出しをされていました。開演時間が近付くにつれ客席は次第に埋まり、かなりの入りとなりました。
開演時間となり、まず黒い衣裳の合唱団が左右から入場。左からソプラノ、テノール、バス、アルトです。その後オケが入場し、最後に水谷さんが登場して一段と大きな拍手が贈られました。チューニングが終わり、独唱の4人と飯森さんが登場。独唱者はオケの後方中央に並びました。
飯森さんのタクトが振り下ろされ、静かな合唱で開演です。以後長大なこの曲を、合唱団は暗譜で歌いきりました。怒りの日の迫力は生演奏ならでは。3階の左右に配置されたトランペットのバンダも劇的な効果を上げていました。独唱者はプロとしてはそれなりにでしょうか。
90分に及ぶ大曲ですが、息もつかせず、ホールに満ち溢れる音の洪水に身を委ねるだけでした。聴く方もそろそろ疲れてきたところでちょうど終わりとなりました。こんな劇的な曲を聴かされては、死者は眠っていられないように思います。
期待にたがわぬ演奏であり、東響の素晴らしさを再認識しましたが、もちろんにいがた東響コーラスの熱演があればこそです。相当に練習が積まれたことは想像に難くありませんが、いやあ、たいしたものですね。熱演を引き出した飯森さんの手腕にもブラボーを贈りましょう。
レクイエムを聴いて興奮と感動というのも変ですが、胸の高鳴りを感じながら家路に着きました。いい演奏に感謝です。
(客席:2階C*-*、S席:定期会員) |