新潟中央高等学校音楽科は、今年で設立20周年になります。これを記念して、卒業生の会が発足し、その第1回コンサートに11人の卒業生が集いました。
北区文化会館から大急ぎで音楽文化会館に到着。開場とともに入場し、前方やや左寄りに席を取りました。記念すべき第1回コンサートということで、混み合うかと危惧したのですが、予想に反して混み合うことなく、ゆったりと聴くことができました。
卒業生の会代表で、第一期生の品田真彦さんの挨拶で開演となりました。最初は室井さんのピアノ独奏です。薄紫色のドレスで登場し、緊張した表情ながらも、流れるように爽やかな演奏を聴かせてくれて、トッブバッターの重責を果たしてくれました。
続いては水色のドレスの小武内さんとモスグリーンのドレスの加藤さんが登場。小武内さんの挨拶の後、2曲演奏されました。お二人は共に旧吉田町の出身で、度々共演されており、私も2013年3月のデュオリサイタル以来何度か聴かせていただいています。
最初のギャロンの曲は初めて聴きましたが、優しいメロディラインの曲で、ファゴットのふくよかな響きが心地良く感じられました。ビッチの曲は、はじめは映画音楽のような美しいメロディで始まり、たっぷりと歌わせ、カデンツア的部分の後は混沌とした音世界へと移行し、聴き応えある音楽を作り出していました。
次はティファニーブルーの桑野さんと黒いドレスの高津さんによるソプラノ二重唱で、伴奏はクリーム色のドレスの小林さんです。
桑野さんは度々聴いていますが、高津さんは初めてです。リリカルな桑野さんとドラマチックな高津さんの対比が興味深く、同じソプラノでも声質によってずいぶんと違うことを直接比較できて面白かったです。桑原さんの良さは改めて言うこともないですが、声量豊かで存在感のある高津さんの歌声に感動しました。
伴奏ピアニストとしては新潟随一と言って良い小林さんの演奏に支えられて、2曲とも聴き応えあるものであり、ブラボーと叫びたいほどでした。
前半最後は、水色のドレスの紫竹さんのチェロで、ピアノは再び小林さんです。紫竹さんの挨拶の後、演奏が開始されました。
多彩なテクニックを要求される局を、緊張感の中にドラマティックに演奏し、容姿とは裏腹の力強さで圧倒し、魅了されました。
後半最初は、お馴染みの品田さんのピアノです。品田さんの活躍はここに紹介するまでもないですが、さすがこの会の代表者というべき落ち着きと風格を感じさせる演奏でした。
穏やかな優しさの中に燃える思いを秘め、情熱の青い炎がほとばしり出るようでしたが、決して攻撃的ではなく、温かさに満ちていました。
続いては黒いドレスの伊藤さんのソプラノです。伴奏は新潟を代表する若手ピアニストである小黒さんですが、小黒さんも黒いドレスで驚きました。
長身の伊藤さんはピアノに手をかけて、体をかがめるようにして、切々と、朗々と歌い、ドラマチックであり、訴えかけるようでした。
特に“歌に生き、恋に生き”は鬼気迫るものであり、感動に心が揺り動かされ、魂が揺さぶられるようでした。これは圧巻であり、今日のコンサートの中で一番の感動をいただきました。
最後は青地に黒い模様のドレスの吉井さんのピアノです。吉井さんの演奏は初めて聴かせていただきましたが、力強く、ダイナミックに演奏し、トリの重責を果たしてくれました。
カーテンコールに全員登場し、品田さんの挨拶があって終演となりました。初めてのコンサートということで、準備は大変だったと思いますが、内容の濃い素晴らしいコンサートだったと思います。
音楽科は開設20周年ですから、ほかにもたくさんの卒業生がおられ、それぞれの道を歩んでおられるものと思います。同窓会として、この会が発展され、コンサートが積み重ねられることを祈念し、ホールを後にしました。
(客席:6-9、¥2000) |